大分移住手帖

大分県で働こう!~農業編〜安心院から農業に新たな風を吹き込む農家集団

Tomomi Imai

取材者情報

お名前
宮田 宗武
出身地・前住所
出身地:大分県宇佐市安心院
前住所:東京
現住所
大分県宇佐市安心院
職業
株式会社ドリームファーマーズJAPAN 代表取締役社長
Webサイト
https://www.dreamfarmers.jp/

近年、大分県では新規就農する方が増えているのをご存じでしょうか?令和2年度には290名もの方が大分県で新規就農しています。大分県は他県に比べ、農業経験が無い人でも就農するために必要な技術や知識を身につけられる就農学校やファーマーズスクールなどが充実しているので、県外から農業をするために移住してくる方も少なくありません。

今回は実際に大分県でぶどう農家をされている、株式会社ドリームファーマーズJAPANの宮田さんにお話をお伺いしました。最後に、大分県で就農するための支援制度もご紹介します。

 

就農者インタビュー

株式会社ドリームファーマーズJAPAN代表 宮田 宗武さん

大分県宇佐市安心院町出身の宮田さん。大学・大学院へ進学し、東京で農業や経営を学び、卒業後は地元安心院に戻って家業であるぶどう農園を継ぎました。安心院は「農泊」の発祥の地でもあり、農業自体も比較的盛んな地域である一方、担い手不足などの課題も抱えているのだとか。そこで、宮田さんは農家だからこそ分かる苦悩や課題を解決すべく、10年前に地元の農家7名と「株式会社ドリームファーマーズJAPAN」を立ち上げました。農業や農村そのものに新しい風を吹き込むために日々邁進している宮田さんお話を伺いました。

横の繋がりが農家の課題を解決するポイント

安心院産の加工品

農家の抱える課題を解決するために宮田さんたちは起業しました。どのような課題を抱えていたのでしょうか。

宮田:1つ目は、家族経営などの小規模農家が栽培できる作物には品種、量ともに限界があり、シーズンが終わってしまうと売り物が無くなってしまうということです。そこで、複数の農園が集まって1つの法人を作れば、年中さまざまな種類の売り物を作ることができると気づきました。まずは加工場を作り、加工品を作るところから始めました。

ドリームファーマーズJAPANのメンバーは皆家族経営の農家でした。メンバーは皆、小規模経営の農業の枠に留まっていたら収入面なども含め、次の世代に引き継いでいくことは難しいと感じていたそうです。

宮田:2つ目は、農地の確保です。個人での農地購入は、ハードルが高く、農業委員会からの許可を得るための手続きをはじめ、すぐに作物を栽培できないような荒れている農地もあり、整備するのに時間も手間もかかります。ドリームファーマーズJAPANでは、法人化により資金や労働力を確保したことで個々の農家では難しかった規模の大きな農地の売買契約ができるようになりました。今も農地を増やしていて、フランチャイズのような仕組みで農地を貸し出しています。3つ目は個人・家族経営の農家さんは孤独になりがちです。特にそれが移住者さんならなおさらだと思います。だからこそ法人化して横で繋がりながら一緒に活動する意味があると感じています。

ぶどう農園として購入した元観光農園

農園内を案内してくれる宮田さん

農家の労働時間と収入は?

ブドウ農家の労働時間はどのくらいなのでしょうか。

自然を相手にする職業で、天候などにも左右されるため「1日9時間労働」「週休2日」のような決まった時間で働くというのは難しいとのこと。時期によっても労働時間にはばらつきがあるそうですが、大体畑作業をしているのは1日平均4〜6時間ほどとのこと。ブドウ農家の繁忙期は夏。日によっては日の出から日没まで働くことも多いそうです。収穫期は早朝作業もあるようです。

宮田:決まった休みが無く、繁忙期には労働時間も長くなるので、体力的に大変ではありますが、自分のペースで、休憩したり、仕事を進めたりできるところが良いところだと思います。相手は生き物なので農家には平日も土日もありません。サラリーマンをしていて、決まった時間に就労をしている方は、この生活リズムに慣れるのがまず大変かもしれませんね。農閑期では畑仕事をする時間は減りますが、事務作業や広報活動などそれ以外の仕事に時間を使うことも多いです。逆に急ぎの仕事であれば畑作業の時間を削って行うこともあります。

農林水産省の調査(※1)によると、主業農家(※2)の一世帯当たりの農業所得平均は662万円となっています。一方、国税庁の調査(※3)によると、給与所得者の平均給与は433万円となっています。主業農家の世帯の中で農業に関わっている人を2人とすると、一人当たりの所得は給与所得者の平均給与より少し低くなっていますが、1日当たりの就労時間を4~6時間とすると一概に低いとも言えません。
また、栽培する作物や経営面積などによっても収入には差が出ます。就農してから収穫ができるまでは無収入(果樹の場合は収穫まではだいたい3年ほどかかるそう。)ということや、作物の市場価格の乱高下などによっても収入が左右されるということも考慮しておく必要があります。ただし新規就農後、経営が安定しない間は国・県から資金面の支援もあるので活用しましょう。

※1・・・「農業経営統計調査 平成30年 経営形態別経営統計(個別経営)」
※2・・・農業所得が主(農家所得の50%以上が農業所得)で、1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家
※3・・・「令和2年分民間給与実態統計調査」

農家の収入事情についてもお聞きしました。

宮田:農家はサラリーマンに比べて賃金は下がるかもしれませんが、生活費が抑えられるんです。米や野菜は自家栽培したり、もらったりするので食費がほとんどかかりません。手取りの大部分を生活費以外のところに使えるのです。農家の収入は一見低いように見えますが十分暮らしていけると思います。とはいえ、収入面においてはまだまだ収益力を高める工夫が必要だと思っていますし、農家の担い手不足を解消するためにも大事だと思います。

農業だけでなく農村全体を盛り上げたい

農園内にあるセレクトショップ農村BASE

さまざまな課題を抱える農業において、宮田さんをはじめとしたドリームファーマーズJAPANの目標は“農村イノベーション”。宮田さんにとってのイノベーションとは「工夫する」という意味。過去のままではなく、積極的に新しいことを取り入れていくことで、農業だけでなく、農村そのものの価値をあげていこうと日々奮闘しています。

農村BASE店内

宮田:農家は各々で加工品を作ったり、情報発信をしたり工夫をしているのですがそれが連携できていないので見えづらいという現状があります。また、農業を行うためには水や土地も必要で、それらは農家だけが守っているのではなく、農村にいる様々な方々が関わって保たれています。

農業を盛り上げるには、農村全体を盛り上げる必要があります。そのためにただ商品を売るのではなく、ぶどう狩りをはじめとする体験や場づくりにも積極的に取り組んでいます。

農園内でいろいろなイベントを行っている。

 

農泊や農園内でバーベキューができるスペースを作ったり、カフェを併設したセレクトショップを開いたりするなど、新しいことに次々とチャレンジする宮田さん。近年ではYouTubeチャンネルも開設し、自ら積極的に幅広い層へ情報発信を行っています。

ドリームファーマーズちゃんねる

移住者の就農をサポートしたい

wifi電源も完備され、YouTube撮影も行われる農村BASEカフェ

実は昔、移住者が好きではなかったと話す宮田さん。都会で働くことに疲れ、「田舎でゆっくり農業がしたい」という理想だけで移住してきた人たちを見て、農業を甘く見られていると感じていたそう。しかし、最近考え方が変わったとか。他県から来てさまざまなバックグラウンドを持つ移住者は自分たちにない目線やスキルを持っているので、チームとなり、お互い補完し合うことでより良い地域を作っていけると気づいたからだそう。今は、移住者が農業に挫折せずにやりがいを見出していけるように支援する活動をしているそうです。

彼らの拠点になっている農村BASEは、その名の通り農村に関する取り組みを行う基地局になっていて、日々様々な人や情報が集まります。安心院に移住を考えている人、移住した人、就農を考えている人など来てもらって、まずは一緒に話したいと宮田さんは語ります。

宮田:農家のアルバイトってインターネットに載ってなくても結構あるんですよ。農業を学ぶために、まずは地元の農家さんの手伝いから始めるのもいいと思います。ぶどう作りの手伝いに行って、ぶどうのオフシーズンは米農家に手伝いに行ったり。いきなり地元にこういう人脈を作るのは移住者にとってはハードル高いと思います。

なので、「ここにくれば宮田がいる」と思ってなんでもまずは相談に来てほしいと思っています。僕たちは移住者が暮らしやすい環境を作りたいと考えています。「都会で子どもが心身のバランスを崩し、田舎で子育てがしたい」など就農以外の相談も多くあります。移住者は慣れない土地で不安も多いと思うので、少しでも安心できる場として農村BASEを使ってもらえれば嬉しいです。

拠点や情報発信ツールを活用しながら、今後は農作物の質の向上と共に、ームとして一緒に農村作りに寄与してくれる人を増やしていきたいと語る宮田さん。YouTubeチャンネルでは、できるだけ今の情報を伝えることにこだわっているとのこと。農業に限らず農村や安心院、宮田さんをはじめとしたチームの日々の暮らしや活動に興味がある方はぜひ一度覗いてみてください。

 

大分県で就農するには?


STEP1 情報収集
まずは、インターネットや情報誌などで情報を集めたり、就農相談会などに参加してみましょう。大分県では就農関係の相談会を県内外で開催しています。また、東京、大阪、福岡で毎月開催している移住相談会おおいた暮らし塾でも就農相談を受け付けています。

名称 開催場所・回数 内容
就農・就業応援フェア 東京・大阪・福岡・大分(各2回/年間) 先輩就農者の講話や大分県での就農に関するセミナーの他、就農研修機関や就農相談員との個別相談会を実施
農業法人等合同就職相談会 大分(2回/年間) 県内農業法人の紹介等雇用就農を目的としたセミナーの他、農業法人や就農相談員との個別相談会を実施
農業体験バスツアー 大分(1回/年間) 県内の農家または就農研修機関をバスで巡り、農業体験を実施

STEP2 研修
就農内容(作物、地域等)を決定し、技術修得が必要な場合は研修機関や農家での研修を行います。大分県では、農業経験がない人でも就農するために必要な技術や知識が身につけられる研修制度を設けてサポートしています。

〇就農学校・ファーマーズスクール
大分県では専用の研修施設で研修を行う就農学校や、就農コーチである農家のもとで研修を行うファーマーズスクールを15市町に設置しており、研修対象品目は30種類にも及びます。市町が運営しているので、空き家探し (空き家バンク)や農地探しもスムーズに行えます。市町村によって品目や研修期間が異なるので詳しくはこちらをご覧ください。なお、3~4日程度のお試し短期研修も可能です。県外在住の方は旅費、宿泊費の補助制度(実費の2/3程度を補助、上限有り)も利用できます。

〇就農準備研修(大分県立農業大学校)
大分県立農業大学校では、大学生以外の一般の方でも農業が学べる場を用意しています。ここでは農業の基礎知識や複数の作物の栽培について学ぶことができますので、どの品目が良いか分からない場合は、この研修で経験を積み、品目や地域を絞った後に、就農学校やファーマーズスクールへステップアップすることをお勧めします。
(R3年度現在)

コース名 研修期間 募集期間 研修実費
野菜(長期) 11か月間(4月上旬~3月上旬) 1月中旬~2月中旬 44,000円
野菜(中期) 8か月間(7月上旬~3月上旬) 4月中旬~5月中旬 32,000円
畜産 11か月間(4月上旬~3月上旬) 1月中旬~2月中旬 11,000円

STEP3 営農計画の作成・農地の確保
経営収支計画や、施設の導入計画、資金調達計画などをたてます。また、農業経営に必要な農地の購入や貸借の手続きなどを行います。農地を確保するには、就農する市町村の農業委員会で農地取得(貸借を含む)の手続きをしなければなりません。許可を受けるには農作業に従事する時間や、農地取得後の経営面積などさまざまな要件があります。


STEP4 就農
いよいよ就農です。農業経営の早期安定に向けてがんばりましょう。農地等資源維持や水系の管理など、周囲との協調関係なくして農業は成立しません。周辺地域の人々との良好な関係作りに努めましょう。

大分県は資金面での支援も充実

大分県では新規就農を応援するため、資金面での支援制度も多く用意しています。(R3年度現在)

〇農業次世代人材投資資金
「準備型」と「経営開始型」の2つがあります。「準備型」は、農業大学校や就農学校・ファーマーズスクールなど県が認定した研修機関で研修を受ける場合、研修期間中に年間150万円を最長2年間交付します。「経営開始型」は、認定新規就農者に対し、経営開始1~3年目に年間150万円、経営開始4~5年目に年間120万円を交付します。

〇大分県中高年移住就農給付金
県外から大分県に移住し、研修終了後の就農予定時に50歳以上55歳未満で、独立自営就農を目指す方に最大100万円を最長2年間給付します。

〇大分県新規就農者負担軽減対策事業
①就農1~2年目の認定新規就農者で農業次世代人材投資資金(経営開始型)の受給者に、対象年の所得が100万円を下回った場合に、所得に応じた補てんを最大100万円、最長2年間給付します。
②新規就農者または、その配偶者が周産期(産前8週間、産後8週間)に農作業が困難であることを理由に外部雇用をした場合に要する経費を支援します。(11,000千円/日、上限60日)

雇用就農する道も

農業での独立を目指す場合、まずは農業法人などに雇用就農し、安定した収入を得ながら、独立のための資金やノウハウを得るという方法もあります。大分県では令和2年度の新規就農者290名のうち、137名と約半数の方が雇用就農しています。
農業法人への就職を希望される方は、公共職業安定所(ハローワーク)や、無料職業紹介所である大分県農業農村振興公社へお気軽にお問い合わせください。農業法人や農家からの求人情報を閲覧することができ、希望する仕事があれば紹介をしてくれます。

このような支援策に加え、実際に就農された方の声や、期間限定の体験スクール、就農フェアなど大分県での就農に関する情報は「農林水産業・支援ポータルサイト おおいたで働こう」にて随時更新されていますので、ぜひ一度ご覧ください。

 

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FACILITIE

ドリームファーマーズJAPANのバショ

農園に隣接した、販売・飲食店、フリースペース。

農村BASE

大分県宇佐市安心院町下毛1090

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WRITER 記事を書いた人

Tomomi Imai

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snufkiins LLC. 代表社員
離島移住計画 代表
Re-harmo PJ オーナー
25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。国内外問わず事務局代行・企画編集など多様な業界を経て2018年に法人化。長崎県上五島にてキャンプ場兼カフェ「Re-harmo PJ」を展開し、島に仕事や場を作ったり。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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