大分移住手帖

仲間を巻き込みながら船頭町を一緒に楽しく豊かにする頼れる兄貴のまちづくり。

Tomomi Imai

取材者情報

お名前
後藤 好信
出身地・前住所
出身地:大分県佐伯市
前住所:神奈川県川崎市
現住所
大分県佐伯市
年齢
38歳
家族構成
5人
職業
公務員
Webサイト
https://www.facebook.com/gotokiju
Facebook
https://www.facebook.com/sendoumachiichi

まちづくりと言うと、行政が主導するものと、民間が自由に行うもののどちらかに分かれがちな中、公務員でいながらも、自ら空き家を改修してそこを拠点に積極的に地域活動を行っている人が、佐伯市にはいます。

佐伯市生まれ、佐伯市育ち。通称「ごっちゃん」こと後藤さんにご自身の活動についてお話を伺ってきました。

仲間たちと始めた音楽イベントが、まちづくりのきっかけ。

企画したイベント

佐伯市で生まれ育ち、大学に行くために神奈川で4年間過ごした後藤さん。就職活動で佐伯市役所の試験を受け、建築の専門職として採用されたことを機に、Uターンされました。帰ってきて半年くらいは特別なことが何もなく「なんで帰ってきたんだっけ」と迷いがあったそう。時折友達に会うために東京に戻ったりしていました。

そんな中、同じく就職で大分に帰ってきた友人と集まり、もどかしい日々を過ごしていたこともあったためか、「何も無いなら自分たちで作ろう」とクラブイベントを企画したそうです。当時は夜遊びできる場所がなく、空き店舗を借りて自分たちで会場づくりから行っていたのだとか。そんな中で「まちづくりって楽しいな」と思ったそうです。

若者目線のまちづくり団体「佐伯盛上隊」

そこで、2008年に若者目線のまちづくりを行う団体「佐伯盛上隊」を作り活動を開始。最初は1人だったのですが、徐々に仲間が増え、活発にまちづくりに関わるようになっていきました。色々やりだせば協力してくれる体制が佐伯市にはあり、そこまで苦労はなかったそうです。

当時、街中にずっと空き地のままになっている土地があり、そこを使って一日限りの音楽イベントを企画しました。これをきっかけに『まちと音楽』を絡めた企画を始めました。

船頭町の空き家を購入し、場づくりは暮らしながらつながりの中で。

現在の自宅兼テナント

「場所が無いなら作れば良い」と考えた後藤さんは、自ら船頭町にあった空き家を購入しました。ある程度の改修作業はプロに頼みつつ、活動に興味を持ってくれた仲間たちと一緒に作り上げていきました。また、「この活動は空き家改修の参考になるのでは」と思い、インターネット上でこの経緯を公開することにしました。暮らせるようになったのは購入後半年経った頃。2階部分を自宅とし、1階部分に3部屋設けて、1つを「チクタクテンポ」という地域のフリースペースに、もう2つは設計事務所とお菓子屋さんにテナントとして貸しています。

新しいことを始めようとすると、元々住んでいる方々との折り合いが大変なこともあると思いますが、むしろ「若者が動き出した!」と背中を押してくれる方々が多かったとのこと。

改修前の部屋

 

改装後

 

改修中の様子

 

改修のためにいろんなところから助っ人が。

現在の自宅である2Fは屋根から直したそう。

建て直しに近いほどの大改修

 

改修後は様々なテナントを入れて。

現在のチクタクテンポの外観。当時の看板はそのまま。

素人も玄人も関係なくいろんな方が手を加えてくれたそう

後藤さんのこの活動がきっかけで、他の友人や同じ公務員の後輩も同じように購入し、改修するようになったのだとか。まちづくりユニットDOCRE(ドークリ)を一緒に行っている河野さんも築130年の旧旅館平岡屋を買って改修したりと、徐々に住む人が増えていっているそうです。

1Fの一番端にあった元時計店は「チクタクテンポ」という名前でフリースペースとなっています。前の時計店の看板がそのままあり、時計も少し残しているので昔の雰囲気を残しつつも、中は全面に木が貼られ、温かみのある空間になっています。予約が入っていない時は誰でも利用でき、ここで打合せをしたり併設されているキッチンでコーヒーを焙煎したりしているそうです。

昔の名残。

新しい装飾。

自作のキッチン。

チクタクテンポでは月一でフリーコーヒーの日があります。この企画は、船頭町にきてもらって、コーヒーを片手に町をブラっと歩いてもらおうという企画。

「今メインで行っているのは、船頭マチイチという町歩きのイベントと、フリーコーヒーの日ですね。町歩きは季節ごとにやっています。町の人にこそ魅力を知ってもらいたいと思ってやっています。」

カフェとしてお客様でごった返すことも。

半径200mでみんなが幸せに暮らせるようにする。

餅つきイベント

順調そうに見えますが、企画は続けていくのが大変。だからこそ「広げすぎない」ことを意識しているという後藤さん。半径200m圏内を活動エリアに定め、そこからはみ出さないで活動することを心がけているそうです。理解してもらえる範囲でやっているからハレーションもそれほど起きないそう。

徐々に仲間は増えていて、特に世代が近い移住者が来始めたことで良い循環が生まれ始めたそうです。それまでも移住者はいましたが、価値観を共有して一緒に活動できるような年齢層がなかなか来なかったのだとか。新しい空気がこのまちづくりを後押ししています。

「佐伯の人は1人で何かをはじめよう!という人はなかなかいないけど、理解があり比較的自由にやらせてくれます。今の職場も僕の活動に理解を示してくれているので助かってます。このサイズの町なら、キーマンに繋いであげれば自ずと物事は進むと思うんです。そこを僕は繋いでいます。困ったらひとまず連絡してくれれば何かしら手伝うよといつも思っています。」

各々の暮らしを尊重しつつ、自分の手が届く範囲をよくしようとしているから無理のない活動が増えていく。

改修仲間は数知れず。

あるものをまずは使い倒す。その中で新しい仕事を生んでいけたらいいなと語る後藤さん。今は近くに酒蔵や元銭湯など魅力的な空間があるため、まちの方たちと一緒に使い方など考えていきたいそうです。

「例えば、船頭町を一つの旅館と見立てて、寝泊りは宝来家旅館さん、お風呂は銭湯を復活させてそこに入ってもらい、一風呂浴びた帰りに酒蔵で作ったクラフトビールを飲めたら良いななど、いろんな妄想を日々しています。まずはこの界隈で仕事を作りあって、みんなが幸せに暮らせるようにしていきたいんです。」

もし佐伯移住を検討されているなら、今僕たちがやっている活動に1回参加してみて、“一緒に楽しめるような人”に来てもらいたいと語ってくれました。

最後に

生まれ育った町を改めて見直し、誰かに頼むのではなく自らの責任で行動に移し、まずは試してみる。後藤さんをはじめ、佐伯市ではUターン組が場をつくり、その価値観に共鳴した移住者が移住しやすくなるような文化圏ができつつあるのだなと感じました。後藤さんが作っているような、地域の方が集まる場所があると、移住したてでもすぐに町に溶け込めそうですね。佐伯市に移住を検討されている方はぜひチクタクテンポにお立ち寄りください。

楽しそうな後藤家。

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WRITER 記事を書いた人

Tomomi Imai

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25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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