大分県に移住を考える前に知っておくべき情報の一つとして交通事情があげられます。都会と比べて、公共交通機関であるバスや電車は本数が少なく、住む地域によっては中心部でも車が必要な場合もあります。また、大分県は山が多く冬の寒暖差や積雪に注意が必要な地域もあるのです。
そこで今回は大分県に移住する前に知っておきたい交通事情をまとめてご紹介します。
大分県の交通事情
まず、大分県内全体の交通事情を紹介します。
電車の駅は住宅街から遠くバスの本数も少ないため、県民の多くは車を保有
大分で公共交通機関といえば「電車」と「バス」になります。大分市中心地以外は、住宅街などの居住区から電車の駅が遠く、電車の車両が1~2両編成ということも珍しくありません。また、バスの本数は通勤通学時間以外は1時間に1~2本なんてことも。大分市の中心地から離れると、帰りのバスの時間が昼か夕方しかないということもあります。
都会で電車を一本逃しても数分待てばまた次の電車がくる、もしくは徒歩圏内で全てが揃うという都会と同様のイメージを持って大分に来ると、不便な印象を抱くかもしれません。
そのため、大分県民はほとんどの方が自家用車を保有しており、駅周辺以外であればスーパーをはじめ多くのお店や施設などで駐車場を完備しています。また、場所にもよりますが、中心部を離れれば月極駐車場の料金が5千円ほどのところもあります。
大分県北部地域や、山間部の地域では積雪に注意
九州の瀬戸内に面していることから、温暖なイメージがあるかもしれませんが、大分県は意外と雪が降ります。
県北部の地域や山間部は、11月以降になると道路の凍結や積雪が見られます。特に日田市や玖珠町などの山間部ではチェーンやスタッドレスタイヤがないと運転できないことも。高速道路などではチェーン規制が出ますので、北部や山間部、また福岡方面の高速道路を利用する場合はチェーンやスタッドレスタイヤの準備が必要です。
また、県北部は雪に慣れていますが、中部や南部の平野部は雪が降っても積もることが滅多にないため、まれにある積雪で交通網がマヒすることもあります。
大分市
大分市は、大分県の主要都市であり人口が最も多い市です。県内で最も都市部といえる大分市でも、車移動の方が多く、公共交通機関を使って移動をしている方は少ないです。
通勤ラッシュ
大分駅周辺の交通網は整備が進んでおり、中心部へのアクセスが改善し、以前より通勤ラッシュなどの渋滞も緩和されています。しかし、依然として平日の通勤時間は中心部に向かう道路で通勤ラッシュが目立ちます。
電車は別府から中津へと続く日豊本線、豊後竹田へと続く豊肥本線、日田へと続く久大本線に分かれ、それぞれの地域へのアクセスは、大分駅での乗り換えが必要です。
車の必要性
大分駅周辺及び駅沿い地域で生活する場合は車がなくても問題ありませんが、郊外の住宅街などの場合は周囲に駅がなく、バス停があっても本数が少ないこともあります。また歩いていける距離にスーパーなどがないこともあるので車が必要な場合が多いでしょう。
レンタサイクルの整備
大分市は「バイシクルフレンドリータウン」の取り組みの一つとして市が運営するレンタサイクル事業を実施しています。中学生以上の方を対象に大分駅周辺にレンタサイクルポートがあり、定期もしくは一時的など、使用期間に応じ、安価な金額でレンタルすることができます。
県内外へのアクセス
大分市内から大分空港までは高速バスが1日15本ほど運行しており、約1時間で到着することができます。空港には駐車場が整備されているので、車でアクセスする方も多いです。大分駅から新幹線停車駅である福岡県の小倉駅までは特急列車で1時間30分ほどで到着します。また、神戸行きのフェリーも大分から1日1往復運行しています。
大分県内に関しては別府までは車で30分、湯布院へは1時間ほどです。
別府市
別府駅
別府市を囲むように由布岳や鶴見岳、伽藍岳、高崎山一帯がそびえているため、海沿いから離れるにつれ標高が高くなる地形となっています。そのため別府市の特徴として坂道が多く、自転車の利用が困難なエリアがあります。同じ別府市内でも山に近い地域は、冬場に雪が積もることもあります。
通勤ラッシュ
通勤ラッシュは国道10号線や県道11号線である九州横断道路で主に発生します。別府市は通勤時間帯以外にも観光地のため、大型連休時や土日祝日の昼間も混雑することがあります。
車の必要性
別府市内の路線バスは本数も比較的多くあります。観光地や別府市中心部であれば車がなくても移動に困ることはありませんが、郊外になるとバスの本数も減り、バスの利用が困難な場所もあります。
県内外からのアクセス
別府から大分空港へは車もしくは特急バスで40分です。福岡と大分を結ぶ特急バスもあり、別府市から乗ると約2時間半で到着することができます。
また別府市から湯布院へは車で40分であり、一般道では道中に狭霧台など絶景スポットもあり観光しながら車で移動するのもおすすめです。ただし、11月以降の冬場は別府湯布院間の道路は雪が降ったり凍結する恐れがあるので、注意が必要です。
また別府から大阪行きのフェリーが1日1往復でています。
国東市
国東市は、大分県北東部、国東半島の東に位置しており、通称「仏の里」とも呼ばれ寺院や神社が多く存在しています。
車の必要性
市内に鉄道路線が走っておらず、電車の利用は杵築駅や宇佐駅などの市外の駅へ車等でアクセスすることになります。路線バスや、コミュニティーバス「お出かけ号」が走っていますが、本数はあまり多くないため、移動は車をおすすめします。
県内外へのアクセス
国東市は市内を走る国道213号線沿いに大分空港があり「大分県の空の玄関口」として重要な地域です。そのため、飛行機が就航している東京・大阪・名古屋へのアクセスが便利で、東京までは1時間30分ほどで到着します。また、大分空港と日出町を結ぶ無料の大分空港道路もあり、大分市内方面へのアクセスも良好です。福岡市へは車で2時間半ほど、電車では杵築駅から特急列車で2時間ほどかかります。
中津市
県北地域の中核都市である中津市は、別府市に次いで人口が3番目に多い地域です。城下町など歴史的建造物も多く、耶馬溪などは観光地としても有名です。
通勤ラッシュ
福岡県に隣接することから、大分市よりも北九州市の方が近く、福岡県へ通勤通学をしている方も多くいます。中津市内の道路においても、大通りは通勤ラッシュが発生します。
車の必要性
JRの主要駅である中津駅周辺には、大型のショッピングモールや病院なども多数あり、市内中心部であれば車がなくても生活することができます。しかし、市民の多くが基本的には車で移動するため、バス停も以前より減っています。
県内外へのアクセス
北九州市へのアクセスは良好で、中津駅から小倉駅までは特急列車で約30分ほどで到着します。車では東九州自動車道、国道10号などを利用し、1時間ほどです。大分空港へは車で1時間10分ほど、北九州空港へは1時間ほどで到着するので、どちらも利用が可能です。
日田市
日田市は九州のほぼ中央に位置するため福岡県や熊本県にアクセスしやすい地域です。秋には「底霧」と呼ばれる霧がよく発生します。冬は寒さが厳しく大分県内でも積雪が多い地域であり平均して10㎝程度の積雪が見られます。
車の必要性
路線バスは複数社走っており、コミュニティーバスは「ひたはしり号」が日田市中心部を、日田市営バスが松原ダムと上津江村区域を走っています。
日田駅周辺部はバスが複数出ており、移動には問題ありませんが、中心部を離れた場所では車での移動が主になります。また冬場は雪が積もることがあるため山間部地域ではスタッドレスタイヤなどの装備が必要です。
県内外へのアクセス
日田市は大分市・福岡市・熊本市まで車もしくは高速バスにて約1時間半で行くことができます。また日田市内から一番近い空港は福岡空港であり、日田市から福岡空港への高速バスが30分から1時間おきに運行しています。大分空港への直行便はありません。
佐伯市
大分県の南東端に位置する佐伯市は、市町村合併により九州の市町村の中で面積が最も大きい市です。市内を流れる番匠川によってできた平野に市街地が拓け、県南の中核都市でもあります。
車の必要性
佐伯駅が中心駅であり、大分方面への電車は1時間に1本ほど走っています。佐伯駅より南方面は普通列車の本数が1日3往復です。市内の路線バスと佐伯市コミュニティバスがあり、佐伯市中心部はバスも比較的多くありますが、中心部以外では買い物や普段の生活においても車が必要です。
県内外へのアクセス
大分空港へは車かバスで約1時間40分、大分市内へは車で40分となります。宮崎市へは車で約2時間かかりますが、宮崎県でも延岡市であれば1時間ほどで到着します。
最後に
自然豊かな大分県は、都会のように全ての地域へのアクセスが良好な地域ではありません。大分県で生活する際は、車の所有をおすすめしますが、実際に高齢の方や運転免許を持っていない方など、車を持たずに生活をされている方も数多くいます。車がない場合は中心部や駅沿いに住むのが理想ですが、郊外でも、バスの時間にあわせて用事をまとめて済ませるなど、ライフスタイルを工夫することで充実した生活を送ることは十分可能です。
事前に一度訪れ、交通状況を体験し実際の生活のイメージをしてから準備をすると良いかもしれません。