大分移住手帖

空き家を借りたら暮らしに合わせて手直ししようー中津市編ー

Tomomi Imai

大分県に移住して田舎でのんびり古民家暮らしをしたいと思っている方もいるかと思います。しかし縁もゆかりもない土地で空き家を探すのは大変なことです。また、空き家は改修が必要なこともあります。プロに任せるのも良いですが、DIYを楽しみながら自分好みに改修をしている方もいらっしゃいます。今回は中津市で空き家を見つけ、DIYをしている竪山さんと吉田さんのお宅に行き、どうやって空き家を見つけたかや、DIYについてお話を聞いてきました。

ライフラインと仕事に関係する倉庫や道具は自分で。

ー中津市竪山さんの場合ー

取材時に絞り体験をさせていただいた蜂蜜。とても爽やかな味。

福岡県出身の竪山さんは元自衛隊員です。中津市本耶馬溪町へ移住し、養蜂家になりました。竪山さんは空き家バンクを活用して家を見つけ、2021年11月現在移住4年目になります。竪山さんが暮らす集落には80名ほどが住んでいます。夏には近くの川など、自然豊かな環境で子どもたちが思う存分遊ぶことができ、とても気に入っているそうです。家族5人で暮らす空き家を見つけた経緯と、家の改修についてお聞きしました。

空き家バンクで見つけた家

近くには大きな山国川が流れる気持ちの良い場所に佇む家。

中津市に移住することを決めた竪山さんご一家は、中津市の空き家バンクのwebサイトで空き家を探し、良さそうな家を見つけ、問い合わせたとのこと。中心部よりも山の方に暮らしたかったという竪山さんは、耶馬溪町周辺で探していたとのこと。見つけたのは築約100年ほどの古民家でしたが、大家さんが手入れしていたため、中は綺麗だったと言います。家賃は大家さんが当時の経済状況などを踏まえ、安くしてくれたそう。間取りは5DK。5人家族が住むには十分な広さで、庭もありました。

竪山:田舎の家ではよくある間取りと大きさでした。都心部の1Rのマンションの家賃の半分くらいの価格で借りることができました。

井戸水が使えず、湧き水をくむ

集落の人に協力してもらい引いてきた浄水。

井戸水があるから飲料水には困らないと思っていた竪山さん。いざ住み始めて井戸水を使ってみると、その水が白く濁っていることに気がつきました。流石に飲める状態ではなく、自費で5000円ほどかけて保健所で水質検査をしたそうです。

竪山:井戸水と地下水は少し違います。農村は水が綺麗だと思いがちですが、農薬を撒くので、浅い井戸だとその薬が混ざっているので怖いですね。お風呂のお湯が白く濁っていたので、保健所に検査キットを送ってもらい、2週間ほどで結果が出ました。飲める水ではなかったので、飲料水は近くにある湧き水場まで車を走らせて汲むことにしたのですが、これがけっこう大変で。日々行ったり来たりを続けるのは難しいと思いました。

水質検査をした井戸。

 

地元の方に相談したところ、地域独自で作った地下水を利用した浄水システムがあることがわかり、地域の方に手伝ってもらいながら、無事に浄水を引くことができたのだとか。業者に頼むのではなく、集落の方と一緒に竪山さんご自身も工事に参加され、約2ヶ月かけて引いたそうです。

賃貸でも改修OK。必要最低限のDIY。

古民家を借りるとよくあるのが「仏壇」。竪山さんの家には仏壇は無かったそうですが、神棚はそのままだったそう。綺麗にリノベーションするのも良いですが、元気盛りの子どもがいるので、あえて必要最低限のDIYにしているそうです。壁やキッチンなどの状態は良く、そのまま使えたため、内装にはそこまでお金はかかっていないとのこと。

手入れしなくても使えたキッチン。今後はもう少し使い勝手に合わせて改修したそう。

竪山:大家さんが住んでいる時代にご自身でリフォームされていたので、大きく変える必要はありませんでした。トイレは狭かったので、洗面所との扉は取り外しました。また、家に隣接している土地に駐車場を作るため草刈りをしようとしたら、実はその土地の所有者が大家さんとは別の方だったんです。そこで、所有者の方とも話をして、うちで草刈りをするということで貸していただけることになりました。

電気工事ができる竪山さんは廊下などに電気をつけたりするのはお手のものだそうです。今後もライフスタイルにあわせてDIYを楽しみたいとのこと。

電気工事の免許があると照明などを変更することもできるので便利だとか。

タイヤを活用したガーデニング

自伐型林業で学んだチェーンソーで作ったクスノキのイス。

養蜂のための道具を入れている倉庫は完全な手作り。

玄関横の空間に、養蜂の作業場を作る予定と語る竪山さん。

地元の大工さんに相談しつつ自分たちのサイズに合わせてDIY

ー中津市吉田さんの場合ー

中津市の海側で育った夫・敦さんと福岡県で育った妻・翔子さんが移住したのは中津市耶馬溪町で「下郷」と呼ばれる地域。10年以上人が住んでいなかった空き家を農地と一緒に借りました。空き家バンクでも探してみたそうですが、なかなか情報が出ない地域で、最終的には地元の方の紹介で空き家を見つけることができました。現在農薬などを使わない農法で農家をされている吉田さんご一家の家を見つけた経緯と、手直しをした部分についてお聞きしました。

地元の方を頼って5年目に見つかった空き家

後ろは森。草木に囲まれた家。

農薬などを使わない農法を行いたかった吉田さんご夫婦は、中津市の中でも有機農業が盛んな下郷地域で空き家を探しました。人が少ない地域だったのもあり、空き家情報がなかなか出て来ず、苦戦したそうです。仕事の関係で2年間長崎県雲仙市に居ましたが、中津市にあるご主人の実家への帰省にあわせて2-3ヶ月に1回のペースで下郷地域に通い、地元の方々と繋がって空き家情報が無いか聞き続けたそうです。

敦:稲刈りイベントに参加したのをきっかけに下郷地域が気に入ったので、ここで暮らしたいと思い空き家を探しましたが、なかなか希望に合う物件が見つかりませんでした。5年かけてついに良い物件を見つけたんですが、所有者がどこにいるか分かりませんでした。そこで、地域の方が一生懸命探し出してくれて、連絡を取り借りることができました。

家からは雲海が見える。

苦労して見つけた家は「ソラ」と地域の方に呼ばれている、雲海も見れる気持ち良い場所に立つ古民家です。少し傾斜のある私道を登ると田畑があり、家の横には農機具を入れるための納屋があります。家の裏は山になっていて、すぐ横に小さな川が流れており、汲み上げをしていたと思われる水路があります。家が見つかったため、今年ようやく下郷地域の住民になりました。

山の水を引いていた名残のあるタンク

現在手直し真っ最中。寒さ対策で薪ストーブも自分たちで設置。

ストーブ下の台座からDIYした。

中津市のこの地域は冬になると雪が積もることもあるので、寒さ対策は大事です。そこで、翔子さんの夢でもあった「薪ストーブ」を設置することにしたのだとか。本体は「ホンマ製作所」のストーブを購入。家全体が暖かくなるようにと考えたら窓の前に置かざるを得なくて悩みましたが、ここしかないと自分たちで設置しました。窓を残し後ろの景色を見えるようにしたのがポイントとのこと。

敦:本体薪ストーブの煙突は熱くなるので、ガラスが溶けてしまいます。なので壁の前に設置することがほとんどですが、ガラス窓は出入口でもあり、日光も入れられるので、どうにか残せる範囲で残す方向にしました。煙突の熱が行かないようにメガネ石を入れて、ガラスが溶けるのを防いでいます。メガネ石の周りは木枠で留めるので、その上下部分だけ木材でキットを作り、他はガラス戸を残しました。大工さんにもかなりお世話になりながら、漆喰や煙突の設置まで、どうにかDIYして作ったので愛着があります。薪割り作業が結構大変ですがすぐに部屋が暖かくなるし、掃除も簡単です。

石垣を外し、コンクリートで固めた。

また、身長が185cmある敦さん。多くの古民家は部屋の入り口の高さが180cm程度と低いことが多いので、大工さんにお願いして敦さんも動きやすいように洗面所の壁の高さなどは調整してもらったのだとか。

高さを足している。

大工さんに教えてもらいながらのDIY

そんな二人が今手をつけようとしているのはクローゼット。子どもが2人に増え、子育てと農家仕事に追われながらも、家族4人分の荷物を綺麗に整理できるようにしたいとのこと。また、農機具や野菜用業務冷蔵庫を入れている納屋の老朽化が目立つので、今後はその辺りも手をつけていきたいそうです。

現在作業場にもなっている納屋の一画。

最後に

今回は中津市で空き家を借りた二家族のご自宅を実際に拝見させてもらいました。どちらのご家族もプロではありませんが暮らしを整えるために、DIYを楽しまれている様子が伝わってきました。都心部では賃貸だと全く手を入れられないということがほとんどかと思いますが、空き家の中には今回紹介した事例のように賃貸でも手を入れることができる物件もあります。また、地元の大工さんとの距離が近いので、色々と相談してみるのも良いかもしれません。子育てやライフスタイル、地域の気候に合わせて自分たちらしい暮らしを作っていく醍醐味をぜひ味わってみて欲しいです。

WRITER 記事を書いた人

Tomomi Imai

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25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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