大分移住手帖

移住希望者と空き家をつなぐ「空き家マッチングチーム」の取り組み

Kg

取材者情報

お名前
空き家探しのお手伝い「空き家マッチングチーム」
現住所
大分市大字津留1911番地19(大分縁不動産株式会社内)
職業
NPO法人 空き家サポートおおいた
Webサイト
http://akiya-oita.com

大分県では移住者など空き家の購入を希望する方のために条件に合う物件を探索し、さらに所有者とのマッチングをサポートすることで、空き家の利活用を図る空き家マッチングチーム」を立ち上げました。プロジェクトを受託したNPO法人 空き家サポートおおいたの山﨑さんと石川さんに詳細をお聞きしました。

空き家マッチングチーム

空き家にまつわる様々な問題

2016年に設立されたNPO法人 空き家サポートおおいたでは、空き家管理・相続などの相談にワンストップで対応しています。また空き家に関する所有者向けセミナーを開催するなど、様々な角度から空き家問題に取り組んできたそうです。

山﨑さん : 大分県全体で所有者から月平均10件ほどの問合せがあります。その中でも特に多いのが、両親の他界に伴い残った空き家を処分したいという相談です。空き家の敷地内にある木がスクールゾーンを覆う・隣の家に侵入するなどの問題が発生し、誰に連絡していいか分からないなどの相談もあります。

その様な空き家がきちんと売却できるように、通風・庭の手入れ・郵便物の対応などを毎月実施し、空き家になっている期間を管理しています。

今までの活動を通じて、様々な問題点を感じているそうです。

石川さん : 所有者が問題意識を持ち相談に来られる事例はほんの一部で、潜在的に問題を抱える物件は多いと感じます。

例えば、ご家族全員が県外で生活していて相続ができておらず、物件の名義が亡くなった親のままになっているというケースは多いです。過疎地では、相続した家族が県外に定住しており、空き家に対応できないので隣人に寄付したものの、その隣人も管理できていないなど、問題が先送りになっているケースもあります。子ども達に迷惑や苦労をかけたくないと親心から、誰にも相談せずそのままになっている場合もあります。

NPO法人 空き家サポートおおいたの活動

山﨑さん : 空き物件で空き家バンクに登録していないものも多くあります。受け入れ側からすると、移住してくれれば誰でもウェルカムではなく、地域に馴染める方でないと住んで欲しくないという事情もあるようです。

石川さん : 空き家の権利者として物件は売りたいけど、県外在住のため対応が難しいというケースが見受けられます。その一方で、戸建の購入が難しい都会から移住する若い世代の物件購入意欲は高いのですが、空き家バンクで探してもニーズに合った物件に出会えないなど、空き家の需要と供給や情報発信について齟齬を感じています。

空き家マッチングチームの目的

移住希望者と空き家所有者をつなぐプロ集団「空き家マッチングチーム」

市町村の空き家バンクに登録されていない空き家と、移住希望者とのミスマッチの問題を解決するために「空き家マッチングチーム」の取り組みが始まったそうです。

山﨑さん : 現在市町村のホームページで空き家バンク情報を公開していますが、所有者が登録を望まない物件もあります。また、土地建物の状況が詳細に判断しにくく、成約には別途宅建業者で契約を行う必要があります。それらを解決するため、空き家マッチングチームは建築士、宅建士、移住者、空き家利活用経験者、市町村などで構成されています。

空き家マッチングチームの構成

具体的には、空き家バンクに登録されていない空き家物件を掘り起こし、移住希望者と所有者を引き合わせます。マッチングに至る場合は、土地や周辺環境について不動産の専門家である「宅建士」がアドバイスや契約を行い、建物の専門家である「建築士」が建物の劣化状況や耐震性などについてのアドバイスをすることで、移住者と空き家所有者をマッチングし契約まで一元化するシステムとなっています。

空き家マッチングチームの活動フローチャート

石川さん : 各プレイヤーが地域で活動している専門家なので、地域事情に沿ったアドバイスができます。県外からの移住者もいますので、移住の先輩として地域と移住希望者をつなぐだけでなく、移住後のケアも可能です。

移住希望者が空き家を探しやすい環境を整備しながら、今年度は60件の成約を目標に活動しています。県外からの移住者だけでなく、県内在住の方も利用できます。

空き家マッチングチームの成約までの流れ

移住希望者の住まいの選択肢について

「空き家マッチングチーム」として移住希望者と空き家をつなぐ活動の中で感じる、移住希望者の住居の選択肢についてお聞きしました。

山﨑さん : 移住者のみならずとも住まいの選択肢は、新築住宅・中古住宅・空き家利活用・共同住宅など様々ありますが、移住希望者の多くは空き家を利活用される方が多いように思います。

その背景としてもちろんコスト面もありますが、移住定住していくなかでその土地や建物の歴史を引き継ぐことで、地域コミュニティ活性化の一助になっているように感じます。

実際にリノベーションされた物件

移住希望者や所有者の空き家に対する想い

移住希望者と所有者では同じ空き家でも見え方が違うとのことです。日々彼らに接する中で感じるそれぞれの想いについてお聞きしました。

山﨑さん : 移住希望者は、可能な限り工事しなくて済む程度の良い建物を求める方もいらっしゃいますが、私たちが携わった移住者の方々は、建物がある程度老朽化していても自由にリノベーションして、自分らしい生活が可能な物件を求められています。

石川さん : 空き家所有者にとっては、住む人や利活用する人がいないため結果として空き家になっており、財産であるにも関わらず「お荷物」と考える人が多い印象です。売却希望の方は早く処分したい。賃貸希望の方は、所有はしておきたいが誰かが住まないと建物が朽ちていくという、ある種恐怖に似た感覚を持たれています。

そういった所有者が持つ「お荷物」意識を払拭し、地域の資源として有効活用することが、新たな移住者の獲得にもつながるため、地域を活性化するために必要だと捉えているそうです。

各市町村や関係各所に設置されているハンドブック

空き家問題を解決するために

今後も大分県にある空き家問題に積極的に取り組む「空き家マッチングチーム」のこれからについて、山﨑さんにお聞きしました。

山﨑さん : 私達だけではとても解決できる問題ではありません。

今回のプロジェクトを通じて、地域住民や移住者、各専門家が繋がり、大分県内各市町村に空き家問題解決に向けて連携する「AKIYA ALL OITA」の流れを作りたいです。今後はそのネットワークを活かして空き家が少しでも地域コミュニティ活性化の一端を担えるよう、当NPOでも活動していければと思います。

NPO法人 空き家サポートおおいたの事務局がある大分縁不動産(株)

最後に

少子高齢化社会を迎えた今、新築よりも空き家の物件数が増加しています。空き家を不要な不動産として放置するのではなく、資源として利活用する事で、サスティナブルな地域社会の実現に貢献できます。空き家を探している移住希望者や空き家を提供したい所有者の皆さんは、ぜひ「空き家マッチングチーム」にお問い合わせ下さい。

WRITER 記事を書いた人

Kg

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株式会社モアモスト 取締役・一般社団法人まち元気おおいた 理事・Pdw 代表として、サイト・DTP・DTMなどディレクション〜制作をはじめ、ライターや撮影などの業務に従事。大分市府内5番街商店街振興組合の理事として、まちづくりにも携わる。

SC-RECS.com・クラブイベントインフォ・SCLS・DubRize・PLay・合同写真展などを主宰し、各種イベントのオーガナイズからDJやマシンライブなどまで展開中。テルミン使い。

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