大分移住手帖

やむちゃで手と手を結ぶ、自ら楽しむ中津暮らし。

ImaiTomomi Tomomi Imai

満点の笑顔で迎えてくれた「京町やむちゃ」を営む藤田さんは群馬県出身。独身時代は群馬で不動産業に従事し、結婚した後、夫の転勤でマレーシアについて行ったことも。そんな藤田さんは、縁あって中津市へ移住し、自分の暮らしをより楽しくするためにパン教室の仲間たちと3年前に中華まん屋を起業しました。様々な経験を経て、50代で始めた新しい挑戦と地域貢献への想い。自宅兼お店としてオープンしたばかりの新店舗にお邪魔して、お話を伺ってきました。

中津市へ来たのは夫の転勤が理由。

群馬県で一度結婚したものの、離婚した藤田さんは、不動産業の営業職として13年ほど独身を謳歌していました。そんな中で出会った今の旦那さんとは45歳の時に結婚。旦那さんは大手自動車会社に在籍中。最初は群馬の工場に勤務していましたが、工場が中津市へ移転したのを機に中津市に移り住むことになりました。遠距離恋愛から結婚することになりどっちに住むか迷ったそうです。ふたりとも仕事が充実していた時期でした。ただ、どちらかが譲らなければ平行線ということで、「遊んでて良い」という条件で、長く続けていた不動産会社を辞め、一緒に九州で暮らすことを選びました。

もちろん縁もゆかりも無い中津市には友人などいませんでしたが、旦那さんの会社の先輩方が群馬出身の単身赴任者が多く、同じ郷里ということでおじさん達と交流していました。

「友人はいませんでしたが、夫の同僚の方たちが遊んでくれたので、寂しさはありませんでした。ただ、夫は夜勤がある仕事だったので、私も生活リズムが崩れてしまいました。今まで仕事中心で忙しくしてきたこともあり、せっかくなのでゆっくりしていました。」

中津市へ戻り、仲間と三人で始めた「京町やむちゃ」

京町やむちゃの中華まん

そんな中、マレーシアへの転勤が決まり、ついて行った藤田さん。日本からの移住者も多く、様々なクラブ活動をしたり蕎麦を仲間と打ったりと生活はかなり充実していたそうです。マレーシアでの勤務の延長願いを出しましたが、叶わず中津市へ戻ってきました。

帰国後、パン教室に通うようになった藤田さん。そのパン教室の先生が多様な特技を持っている方で、昔、中華まんを作って売ったことがあるという話で盛り上がったそうです。

「先生が作る中華まんのレシピを再現して売ったらどうだろうと話が盛り上がりました。そこで私と先生ともう一人教室に通っていた仲間と三人で試しに作って売ってみたら、結構売れたんです。」

こうして誕生した「京町やむちゃ」。名前の由来は、通っていたパン教室の先生のご自宅が中津市の京町にあったから。中華まん作りを始めて半年が経った頃、大分県主催で女性起業家がプレゼンする大会があり、物は試しと応募したところ、審査を無事通過。ブラッシュアップして進んでいくと、なんと藤田さんたちはファイナリストに選ばれました。このことで一気に注目を浴びることができ、銀行などサポーター企業までつくほどに。

「多くは30-40代が多い中、50歳オーバーの私たちが起業というのが面白かったのかもしれないですね。1位にはなれず賞金は取れなかったけど、お陰様で企業のサポートがついたことで融資などの相談にも乗ってくれたり、補助金申請の書類作成をフォローしてくれたりと、至れり尽くせりでした。」

2年後、意を決して自宅兼店舗となる家を購入し、本格始動。

自宅兼工房。

一緒に始めて2年が経つ頃、本業とのバランスや家族時間とのバランスをとるのが難しくなっていき、先生ともう一人の仲間は離れることに。藤田さんが改めて本格的にお店をやっていくこととなったそうです。

「当初はイベントへの出店がメインだったので、中華まんを作る際は毎回先生の教室の厨房をお借りしており、店舗は考えていませんでした。京町やむちゃを立ち上げてから丸々2年はほぼイベント出店でしたね。お客さんにもお店や通販など聞かれましたが、当時は何もなかったんです。そんな中、先生は教室も忙しく両立が難しくなってきて、もう一人も休日にいつもイベントで、家庭との両立が難しく抜けることになりました。急に一人になってしまいましたが、せっかく待っててくれるお客さんもいるし、続けていきたいと思ったんです。まず工房兼ショップになるような物件を探し始めました。中古戸建ての今の物件が出ていて、今後中津市を拠点にしていこうと思っていたので、思い切って自宅兼店舗として購入しました。」

以前はパン教室の玄関先で売っていたので、知っている方々が買いに来ることが多かったそうですが、店舗にしてからは今まで会えていなかった客層も来るようになり、やっとお店らしくなったなと感じるそうです。

また、最近ではふるさと納税の返礼品にも登録され、新しく作ったオンラインショップなどへも積極的に商品をアップしているそうで、全国各地からオーダーが来るようにもなったのだとか。

「ECサイト*の知識がなかったので、詳しい友達に作ってもらいました。そしたら今まで関わりのなかった地域や、遠方からもオーダーがあって嬉しいですね。」

周辺地域の農作物を生かした商品作り。

中津は食材の宝庫。

 

地域の素材を生かした商品作りをしている藤田さん。例えばゴボウ肉まんは、竹の子の代わりに大分でもよく作られるゴボウが入っています。できるだけ国産にこだわりたかった中で、1年を通して使える素材という発想からできた商品です。少し変わっているのはカフェオレまん。通販ではセット商品となりますが、店頭ではゴボウ肉まんなど、好きな味を希望の個数買うことができます。季節限定品もあり、アイディアが豊富な藤田さんならではの商品が並んでいます。

山国の人と手を取り合って作る新しい取り組み。

山国のおばあちゃんたちと一緒に餃子を作る。

最近では、中津市内の「山国」という地域の方々と交流が深い藤田さん。山国で採れる栗を使った「栗まん」も季節の商品として始めました。この時、山国の方々と交流が深まり、餃子を作ってもらうアイデアが浮かんだとか。そこには地域を想う温かいストーリーがありました。

「オーダーがたくさん入るのは嬉しいのですが、一人になったので1日に作れる量に限界があることに気付きました。そんな中、関西で行われた女性起業家応援プロジェクト「LED関西」に出店スペースを設けてもらう話がきました。出たいけれど、手が足りない。そこで栗でお世話になってた山国の70代以上のおばあちゃんたちに手伝ってもらうことにしたんです。まずは試しに餃子を技術指導して作ってもらったら、うまくいったんですよね。私が営業や売る側に回っている間に作ってもらえることになりました。そこで、これが雇用を生んでいることに気づいたんです。原材料の豚肉も野菜も地元産で、結果として町を活性化できているんだと思うと力が入りました。

この様子を見ていた友人から、福岡県にある「ばあちゃん食堂」の話も聞いたそう。そこではまさに70代以上の方々の雇用を生む形で様々な展開をしていることを知りました。

「おばあちゃんたちって実はとても器用で手作業のレベルが幾つになっても高いんですよね。自分たちの作ったものが形になって、お客さんに届けられて自分も小遣いができて孫に少し何か買えるねと話してたのを聞いて幸せでした。京町やむちゃでは現在、5名の方が手伝ってくれています。」

そんな藤田さんを繋いだのは、中津市の山国生まれ山国育ちの水谷さんという方。その方は山国を1つにしようと奮闘されてきた方で、藤田さんの背中をたくさん押してくれた方でした。

「山国にも移住したいという若者が来るんだけど、ちゃんと生活できる見込みが立っているのかと言いたい。ただ田舎に憧れて来るだけでなく、この先人生長いんだからちゃんと収入を得て、お金になって、それで住めるなら移住してほしい。」

と言っていたという水谷さん。この言葉を聞いて、藤田さんは移住者としても今自分が行っている事業や山国のおばあちゃんたちとの協働は、ひいては移住してきた若手の仕事にもなるのではないかと考えるようになったそうです。

「作るのはおばあちゃんで、営業や管理は若い人が活躍するという流れができると良いなと。そんな方々を中心に広がっていったら、もっと地域は面白くなると思うんです。山国にはおばあちゃんたちが愛情込めて農産物など色々な物があるのに、うまく活かしきれていないなと感じています。それを見るうちに、ここをどうにかしたいという気持ちがわき出てきました。」

高齢化の進む山国町で年金生活になっても働ける場所、人生最後まで人の役に立てる場所を作りたいと。おばあちゃんたちがイキイキと働き生きがいを感じ収入を得られれば最高じゃないですか。

次は山国でもばあちゃん食堂を展開。

山国川が美しい。

ご縁があるからこその着想とも言えるアイディア満載の藤田さん。山国のおばちゃんたちとの餃子作りは始まったばかりですが、それにとどまらず、次の展開も考えているそう。肉まんはパンの技術が必要なので、思ったよりも難しいようですが、餃子やシュウマイ、小籠包のように包む商品は、多少器用なおばあちゃんであれば、日々ご飯を作っている中でできるだろうということで、焦らず段階を踏んで行きたいと考えているそうです。

「近くの運動場に部活動の合宿をしに来る子どもたちのために、山国のおばあちゃんたちは以前から朝食を作ってきてたんです。その土台があるから、福岡のばあちゃん食堂にならって、この餃子を山国で食べることができる食堂を作れば、さらにいろいろな雇用が生まれます。」

食材が豊かで女性起業家に温かい大分という土壌。

大分県は食材も豊かで、女性起業家に温かく、よくバックアップしてくれるので、起業するには良い土壌だったと話してくれた藤田さん。群馬のような関東圏ではある程度の大きさにならないとなかなかそうはいかないそうですが、ここ大分では小規模でも背中を押してくれる環境が多く、「ちょっとやってみようかな」がしやすいそうです。また、自分のペースで物事ができるのも良いと思っているそうです。発想豊かに物事をつなぎ合わせて、中津市で暮らす方々に新しい道を切り開いている藤田さん。わざわざ選んだ土地でなくても、自ら地域の良さや楽しさを見つけたり、新しく作っていくのは、移住専門誌や観光専門誌には載っていない、自分らしい暮らし方をするコツの1つかもしれませんね。

「私も移住してきた人間なので、これから移住しようとしている方々の気持ちがよくわかります。だからこそ、その方がここで暮らしやすくなるようなきっかけが作れたらと思うんです。それは、ここの土地からいろんな恩恵をもらえたからこその想いかもしれません。楽しまなくっちゃ人生、もったいないですもんね!」と話す藤田さんの太陽のような明るさを体感しに、ぜひお店に足を運んでみてください。

*ECサイト
インターネット上で商品を販売するWebサイトのこと

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FACILITIE

笑顔溢れる中津の中華まん

京町やむちゃは大分県中津市にある手作りのやむちゃ屋です。信頼できる厳選した素材を使い、想いをこめて丁寧にやむちゃを作り続けています。
毎日の食卓やお子様のおやつに、安心安全な手作りやむちゃをお楽しみください。

※店舗は冷凍のお持ち帰り専門店です。
(イベント出店時は温かいものをご提供しております)

定休日:毎週日曜日・月曜日
営業時間:11:00-18:00

京町やむちゃ

大分県中津市古博多町1564番地

やむちゃで手と手を結ぶ、自ら楽しむ中津暮らし。
WRITER ImaiTomomi 記事を書いた人

Tomomi Imai

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snufkiins LLC. 代表社員
離島移住計画 代表
Re-harmo PJ オーナー
25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。国内外問わず事務局代行・企画編集など多様な業界を経て2018年に法人化。長崎県上五島にてキャンプ場兼カフェ「Re-harmo PJ」を展開し、島に仕事や場を作ったり。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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