先日、竹田市にて「祖母山麓トライアルワーケーション」が開催され、おおいた移住計画と共に、福岡移住計画・離島移住計画などから数名が参加し、地域を堪能しながら仕事をする実証実験を行いました。
そもそも、ワーケーションとは?
ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークを活用しながら、働きながら休暇をとる過ごし方です。在宅勤務やレンタルオフィスでのテレワークとは区別されます。
海外では既に10年ほど前から取り組まれ始めていて、有給による長期休暇を取りやすくするために普及し、諸外国の郊外や田舎ではこの考え方をうまく取り入れた施設やサービスも数多く存在します。日本ではそもそも休暇自体が短く、会社の福利厚生的に旅行との抱き合わせで大手企業が導入し始め、2020年の社会情勢が後押しし、一気にテレワークとこの言葉がセットで広まり、今に至ります。
そんなワーケーションを、大分県の中でもかなりの山奥である「祖母山」にて行おうというのが、今回のトライアルでした。今後移住を考えている方々の中にも、大分でのテレワークを考えてる方々も少なくないはず。自然豊かな場所でどうやって暮らせるか知るきっかけになりそうです。
舞台は湧水たっぷりの大分県竹田市。
竹田市は、山に囲まれた地形で、湧水も多く、家庭の水も湧水だったりするような自然豊かな場所です。今回はこの南に位置する4市町にまたがった「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」にある廃校を利用している「あ祖母学舎」が今回のお宿。中に入ると、まさに学校そのもの。
親子ならではの配慮あり。
今回うれしかったのはこれ。予約のいらない預け放題の託児があったこと!
期間中自由に子どもを預けられるというのは大きかったです。テレワークをする方々は、両手に子どもを抱えて、家の中に籠もらざるを得ない方や、それ以外の理由でオフィスに通うことができない人など、バリエーションは様々。今回のトライアルでとても学びになったのは、こういった課題を「地域人材・資産」で解決しようと試みているところでした。
祖母山は、濃密な自然が残り、渓谷の水が走る穴場な山。
まず「祖母山」と聞いて、山好きでない限りは、なかなか場所を思い浮かべるのは難しかも。まずはこの地図で場所を確認してみましょう。
大分・宮崎・熊本の3県境に位置し、祖母傾国定公園の中核であるこの山は、ニホンカモシカの生息地でもあり、渓谷が走る濃厚な自然が広がっています。
今回の2泊3日の滞在の中でも、地域の有志による「MMS21」の方々がガイドとして案内してくれるトレッキングツアーがありました。
「初心者や子どもでも大丈夫だよ!」とのことで、生後半年の赤ちゃんを連れて登ったところ、登り始め早々から圧巻の大自然に一同驚愕。数分登っただけで出てきた滝や、山道に寄り添う渓谷が圧巻です。
いつもの暮らしにお邪魔する。
竹田市を知らない方々も多いので、地域の方々を中心に開催された地域の穴場ツアー。
よくある観光ツアーは自然や施設を見て終わりですが、今回は「今後竹田市が管理運営をどうして行こうか迷っている施設の視察」と言うものも盛り込まれていました。単にバケーションを過ごすだけでなく、後の協働につながったりするような、「地域に関わっていく仲間」のような感覚で受け入れてくれたことが、とても心地良かったです。「いつもの暮らしにお邪魔させてもらう」「初めての地で一緒に何かができる」という思い出は強く残り、後の移住の大事なきっかけになるかと思います。
母ちゃんの味に舌鼓。
今回は朝昼晩と地域のお母さんたちが集う「ひまわり会」の皆さんが食事を丁寧に作ってくださいました。風土料理も美味しいけれど、仕事や子育てで疲れている方々を癒すのはやっぱり「母ちゃんの味」。テレワークや、都会から田舎暮らしを求めている人々の多くは、こんな「何気ない時間」を大事にできる場所を探している方も多いので、こうやって地元の方と少しでも関わるきっかけがあることはとても大事です。
知らない場所に帰る場所ができた感覚。
知らない地域に少しホームのような場所ができて、ちょっと疲れたなと思った時にいつでも帰れる。そんな気分にしてくれる要素が多く、「移住と観光の間」のような感覚になった今回の親子ワーケーショントライアル。
おもてなしばかりではなく、適度に放っておいてくれて、適度に関わってくれる。忙しさにかまけてなかなか見過ごしがちな時間を呼び起こしてくれる良いきっかけ作りになるなと改めて感じました。そして、やっぱり子供たちの笑顔も見れるのは親としても嬉しい時間。そんなきっかけ作りになる「ワーケーション」も、移住を考えている方々がホームを見つけるきっかけ作りになる要素が満載でした。