大分移住手帖

生まれ故郷にUターン。子育てと経営の両立に奮闘する日々。

Tomomi Imai

取材者情報

お名前
竹島麗
出身地・前住所
前住所:岡山県
出身地:佐伯市直川
現住所
佐伯市直川
家族構成
3人
職業
直川憩の森公園管理者
Webサイト
https://tabidoku.com/camp-naokawa/

佐伯市に地域おこし協力隊制度を利用してUターンした竹島さんは、卒業後も町に残り「直川憩の森公園」の指定管理者として現在活躍されています。子育てに奮闘しながらも初めての経営にチャレンジしている竹島さんの、移住ストーリーと今の暮らしについてお聞きしました。

都会に憧れて人生を模索した20代

佐伯市・直川で生まれ育った竹島さん。高校卒業後は進学のため関西へ。

竹島:小さな頃からお菓子作りが好きだったので、飲食関係の仕事に就こうと思い進学しましたが、正直なところ親元から離れられれば、なんでもどこでも良いと思っていました。

そのまま5年ほど関西に滞在。その後、Uターンし大分県内で就職。

テレビ局のADとして番組制作に携わり、映像や写真、雑誌などの仕事に憧れて入った世界だったのだとか。

竹島:映画が好きなので、映像の編集をする仕事がしたくて、紹介で入りました。今でこそ人権の問題などが取り沙汰されていますが、本当に本当にタフな現場でした。これまでの職場で一番きつかったですが、振り返れば一番楽しい仕事でもありました。人としても社会人としてもかなり鍛えてもらいました。

その後、より映画に近い仕事がしたいと東京へ上京。映画の予告編を制作する会社に就職するも、これと言ってやりたいことが定まらない自分にモヤモヤしたのだとか。

竹島:地方から都会への憧れがとにかく強くて、その思いで突き進んでいったけど、実際に行ってみたら色々と挫折してしまいました。

そして、東京にいる間に結婚。第一子を出産し、夫の仕事の都合で岡山県へ移住しました。第二子は移住直後に出産し、5年ほど岡山県で暮らすも夫と別れたことがきっかけとなり、佐伯市に戻ってきました。

帰ってきたらとても安心できた

大きな木が見守る広場

 

久しぶりに地元に戻ってきた感想をお聞きしたところ「心から安心して暮らすことができた」という竹島さん。離婚当初は、佐伯に帰る選択肢は全くなかったそうですが、帰る度に佐伯市の空気に安心感を覚えたのだとか。

竹島:大きな決断をした直後で心が不安定だったことも関係するかもしれないけど、この場所に帰ってきたいと感じたんです。その気持ちのまま地域おこし協力隊となり、絶大なる安心感の中、伸び伸びと活動させてもらいました。

生まれ故郷で活動したい

直川憩の森公園の管理棟にてスタッフと一緒に

佐伯市に戻るタイミングで一番面白そうな仕事だったのが、「地域おこし協力隊」。生まれ育った直川のことをやってみたいと思い、移住前から応募したそうです。

竹島:直川地域か、本庁勤務の観光系の内容以外は、あまり興味ありませんでした。知っている地域だからこそやってみたいと思えました。

地域おこし協力隊になってからは、野外上映会や商品開発など、精力的に活動してきた竹島さん。地元の農産物加工者と協力して新商品を作ったり、地域の人をフォーカスしたフリーペーパーを発行するなど、その活動は多岐に渡ります。県外に出たからこそできる活動が多くあったと言います。

竹島:地域おこし協力隊募集要項の隅に「卒業後は観光施設の指定管理業者委託の可能性あり」と書かれていたのですが、管理業務が具体的になった時はかなり困惑しましたね。子ども二人がまだまだ手がかかる時で、絶対できないと最初は弱気でした。でも、徐々に「場所があれば逆になんでもできるのではないか」とポジティブに考えるようになり、挑戦することにしたんです。この場所で、今後の自分の生業を見つけたいと思っていました。

市営住宅は子どもにとっても嬉しい環境

学校終わりの夕飯前、近所のみんなと鬼ごっこ

移住当初は民家を借りて暮らしていたそうですが、空きが出たタイミングで市営住宅に入居。市営住宅での暮らしにはかなり満足しているそうで、市営住宅ならではの近い距離感にも感謝していると言います。長く暮らされている方も多く安心感もあるそうです。

竹島:市営住宅は、家族で入居している世帯も多いです。子どもも多いので、住民の子ども同士が一緒に遊べる環境は有難いです。入居する前は、日常の距離感が分からず不安もありましたが、住んでみたらお互いに調味料を貸し合うことがあるくらい仲良くなれました。ある家族は、うちの子どもたちを家族旅行に一緒に連れて行ってくれたりするほどです。

子どもたちが通う直川小学校は、1クラス10人前後、全校生徒は50人程度の小規模校。直川小学校の子どもたちは、毎年6年生になると現在竹島さんが管理運営している直川憩の森公園にて、親元を離れて小学校に通うプログラムがあるのだとか。3泊4日の滞在中は、ボランティアさんの手を借りながらみんなで自炊や掃除をしたり、宿題をしたりしながら過ごすという。そんな地域との繋がりがあることも、直川が子育てに良い環境だと思う要素の一つなのだそうです。

ここにずっといなきゃいけないと思わなくても良い

虫をテーマに設計されている直川憩の森公園

竹島:ずっと暮らすかはわからないけど、今は伸びやかに暮らせています。ある人から「帰って来れて良かったね」と言われたことがありました。確かに、故郷に帰りたくても帰りにくい、帰れない人は少なく無いかもしれない。故郷があって帰って来れたと言うこの事実に、とても感謝しています。

教育や人生観に関する選択肢の少なさが今の課題

子育て環境という意味では満足しているものの、子どもが高学年の年代に差し掛かり、地方だからこそ入ってくる情報の選択肢の少なさが課題だと感じるようになったのだとか。

竹島:教育スタイルだけでなく、人生観に関する選択肢の少なさをまた感じています。限られた大人、子どもしかいない中で、進路の選択肢が少なく感じます。これはかつて、都会に憧れていた自分の境遇と似ています。選択するのは子ども次第ですが、圧倒的に都会の方が選択肢が多いことを、自分が都会に出て知っているので、これから育っていく上で、今の環境が子どもにとって良い環境なのかは、親として悩んでいるところです。

そこで、竹島さんは現在管理している直川憩の森公園を活用して、子どもの選択肢を増やせるような企画やワークショップなどを、我が子だけでなく、同じ地域に暮らす子どもたちにも機会を増やせる活動を行っていきたいと考えているそうです。

体力と気力と経済力のバランスに悩み中

指定管理者として直川憩の森公園を経営運営していく上で、地域おこし協力隊時代から団体を作り、公募したりするなど仲間集めを始めたという竹島さん。引き継ぐ前にお手伝いに入りながら、流れを教えてもらい、やり方を学んで行ったそうです。

竹島:今はキャンプ場の管理1本なので、子ども二人を育てていくとなるともう少し頑張らないといけないなと。なかなか経営のバランスの取り方がわからないところがあり、もう少し余裕は欲しいところです。

初めての経営・自営経験。同時に親でもあるため、子育てと仕事を両立しながら、スタッフの事を考え、経営を行っていくと言う大仕事に、少し疲れている部分があるのだとか。なかなか自分らしいバランスを見出せていないことが、自身に関する課題だと言います。

竹島:仕事とプライベート、子育ての良いバランスをまだ見つけられていなくて、全て全力で向かってしまうために、疲れてしまうことが課題です。仕事は好きだし、夢中になればとことん頑張るのですが、家族のご飯を作ったり、宿題を見たり、子どものケアとのバランスの取り方が今もまだ掴めていなくて模索中です。

最後に

都会で様々な経験をして、故郷へ戻ってきて子育てをしながら自分らしい暮らしを模索している竹島さん。地域おこし協力隊や市営住宅など行政のサービスを上手く活用しながら、家族が伸び伸びと暮らせる環境作りに経営者として、母として邁進している姿に心を打たれました。明るくいつでも笑顔で迎えてくれる竹島さんや仲間達が作るアットホームな「直川憩の森公園」は、森と川にかこまれた宿泊もできる公園。九州最大級のローラー滑り台や河川プールなど親子で楽しめる要素が満載です。海が有名な佐伯市ですが、ぜひ山の楽しさを味わいに訪れてみてはいかがでしょうか。

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Tomomi Imai

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25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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