大分移住手帖

都心から発信されるファッションを地方から発信したい。別府から挑戦する新しいアパレルのカタチ。

高畑圭司 Kg

「都心から発信されるファッションを地方から発信したい」そんな志を胸に、別府を拠点に活動する首藤さん。地元別府からでしかできないアプローチを行い、地方発のファッションブランディングを行っています。地方だからこそできることや面白さ、苦労など、移住してビジネスを展開する方へのヒントを伺うべく、別府にある首藤さんのお店「TONTONTONTUTU」を訪ねました。

 

TONTONTONTUTU 外観

 

別府に移住するまで

首藤さんのお店「TONTONTONTUTU」は別府市石垣西の住宅地にあります。広い店内は1階が販売スペース・2階がアトリエ。1階奥にあるバーのようなスペースでお話をお聞きしました。

首藤 : 大分工業高校を卒業後上京し、建築の仕事に就きましたが2年で辞めて、東京の文化服装学院で服飾を学んだ後、アパレルブランドでデザインの仕事に就きました。東京で6年過ごした後に、大阪で半年ぐらい暮らし、その後別府に戻って8年ぐらいになります。

東京の生活は忙しすぎて仕事ばかりだったのもあり、大阪では難波の「みそのビル」界隈で遊んでいたそうです。そんな首藤さんは、25~26歳の頃から「ブランドをはじめたい」という想いがあったそうです。

首藤 : 最初は東京で仲間とブランドを初めたかったのですが、家賃を考えると都内で店舗を持つのは厳しいので、地元の別府でやろうかと考えました。また、都心から発信されるファッションを地方から発信したいとも思っていました。生活水準に見合った場所が見つかったため、別府で活動することなりました。

高校を卒業後、地元の別府の良さを知る前に上京したため、帰省の度に魅力を感じるようになっていた首藤さんは、自分の夢の実現のため、別府へのUターンを決断したそうです。

 

TONTONTONTUTU 1階 ショップスペース

 

別府発だからできること

現在はお店近くの実家に住んでいて、仕事が大忙しで家と行き来する毎日だと言う首藤さんに、現在の仕事について詳しくお聞きしました。

首藤 : 服を作るのがメインで仕事をしています。作る仕事は東京からの依頼が多く、リメイクやOEM*1 などもあります。約2年前から福岡市中央区大名に福岡店「ブティック 鶴と亀」を出していて、そちらでの販売が多いです。インフルエンサーと組んで服を出したこともあります。

別府は住みやすさでいうと最高の環境だという首藤さんですが、仕事では色々な難しさを感じているそうで…

首藤 : 発信する仕事という目線で見ると、難儀な点は多々あります。別府でのアパレル事業は正直しんどいです。大分でファッションショーなど色々やってみたのですが、手応えがない状況です。このままでは広がりなく何年経っても芽が出ないので、福岡での出店に至りました。服は生活必需品ではないし、やっていることもコアなので今後のやり方は工夫が必要だと考えています。

 

別府温泉の香りを密封した商品

 

地方発のアパレルの難しさも感じつつも、別府ならではの取り組みも行っているそうです。

首藤 : 別府に香りを専門でやっている方がいて、その方と一緒に別府温泉の匂いを密閉したTシャツのパックを作って販売しました(現在は完売)。香りも、当たり障りのないいい香りではなく、硫黄などのかなりしっかりした“別府らしい”香りです。他にも、フリーペーパーを企画したり、オリジナルで観光名所のTシャツを作るなどしています。そんな感じで、別府にいるからできるということを色々やっています。

 

オリジナルの高崎山Tシャツ

 

企画したフリーペーパー

 

企画したフリーペーパー

 

別府溝部学園短期大学の非常勤講師もしている首藤さん。そこには強い想いがありました。

首藤 : すべてにおいて「服を作る仕事がしたい」という気持ちで取り組んでいます。モチベーションはそこにしかないです。学校で教壇に立つのも、その延長線上にあります。服を学びに来ている方に、現場のリアルな声を伝えたいと考えています。卒業後の進路では販売員になる方が多いのですが、つくり手にもぜひなって欲しいんです。

 

オリジナルアイテムを持つ首藤さん

 

アパレルの魅力低下と地方発信の難しさ

現在の悩みをお聞きすると、1番の悩みは人手不足との答えが返ってきました。

首藤 : まとまったオーダーがあった際に、刺繍などを手伝ってくれる人がいればなと思います。現在はどうしても人手が足りない場合は、県外から遊びついでにきて欲しいと、友人を呼ばないと回らないような状況です。服が作りたい・グッズが作りたいなどのニーズはあるのですが、周りに同じような業態がないので、なかなか融通が利かないといった感じです。

そもそも専門的な分野でファッション制作の現場に就く人が少なく、作り手自体が増えないと感じているとのこと。

首藤 : 文化的に盛り上げたいという気持ちもあり、最初の頃は作り手を増やそうと思っていたのですが、思うように増えない状況です。年に1回イベントをやったり、フリーペーパーを手掛けたり、商店街で展開したりと色々取り組んではいますが、まだまだ広がらないですね。アパレルが、DJやイベントのグッズをつくるための存在になっている気がします。僕が若い頃は、自分のブランドをやりたい人は多かったですが、今はアパレル自体の魅力が薄れてきていて、自分でブランドをやりたいと思うような若手が減っているのを課題に感じています。

首藤さんはさらに、地方独特の問題点もあると考えているそうです。

首藤 : 地方で発信した事がなかなか外に出て行かない点も課題ですよね。情報が広がらないというか。アパレルの地方での発信力は弱いのですが、都会の真似をしても駄目なんです。独自のことをやって地方からでも発信したい・攻めていきたいなと思います。例えば「高円寺っぽいね~」「中央線ぽいね~」を「別府っぽいね~」となるように頑張りたいです。

 

デコレーションされたWC

 

別府でしっかりアパレルをやりたい

様々な活動を行いつつも、福岡のお店と別府とを行き来して多忙を極める首藤さんに、今後の展開についてお聞きしました。

首藤 : 自分のお店やブランドに固執しないで、別府でしっかりと“アパレル”をやりたいです。秘密結社みたいなイメージ。別府に集中して“作り手”として取り組みたいなと考えています。できれば東京でもやってみたいと考えています。タイミングを見計って、段階的に一歩一歩進めていきたいなと考えています。

現在の「TONTONTONTUTU」の客層は、県外と県内のお客さんが半々とのことで、それも変えていきたいそうです。

首藤 : 全国的にファッションへの興味が薄れた気がします。県内の方は興味の対象がなかなかファッションに向いていないかなとは思いますが、県内のお客さんももっと増えるといいなと思います。以前に比べて、真似するのはうまいけど、個性的な方は減った気がします。面白い人やコトを掘り起こしていければと考えています。

 

TONTONTONTUTU 1階 ショップスペース

 

何事も続けることが大事。とにかく続けて欲しい。

移住の先輩でもある首藤さんから、これから移住しようと考えている方へメッセージを頂きました。

首藤 : 何事も続けることが大事だと思います。辞めることは簡単ですが、なかなか上手く行かなくても続けて欲しいです。最近、別府の北浜にある古民家の取り壊しがあったり、高齢化などで温泉が運営できなくなって無くなったりという話が増えています。人が住んでいないと維持ができないので、そういうところに移住してくれる方がいるといいですね。

 

TONTONTONTUTU 1階 ショップスペース

 

最後に

首藤さんからお話を伺って感じたことは、しっかりとした現状分析に基づいて、弱点を武器に変えてどのように展開するかで、未来を切り開けるということです。例えば、別府が地方だからではなく、地方である別府でしかできないブランディングに変えて攻めるような柔軟な姿勢が大切だと感じました。また、何よりも諦めずに続けることで、いつしか道が繋がるとも思いました。移住した先でこんなことできるだろうかと不安な方も多いかもしれません。想いがあることなら勉強し、そして続けていくという首藤さんの生き方が何かしらのヒントになると良いなと思います。

*1 OEM
OEM(オーイーエム、英語 : original equipment manufacturer)は、他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業。
Via : https://bit.ly/3qaRSxW

取材者情報

お名前
首藤 渉
出身地・前住所
東京都小平市
現住所
大分県別府市
年齢
32歳
職業
tontontontutu
Webサイト
https://tsurutokame.official.ec/
Facebook
https://www.facebook.com/wataru.shuto
Instagram
https://www.instagram.com/tontontontutu/

PHOTO

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WRITER 高畑圭司 記事を書いた人

Kg

自営業。Pdw代表/シロバーガー統括、府内5番街理事、SC-RECS.com/クラブイベントインフォ/SCLS/DubRize/PLay/合同写真展など主宰、サイト・DTP・DTM制作、ライター/DJ/ライブ/テルミン使い。
https://twitter.com/_pdw

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