大分移住手帖

サウナの魅力を活かした事業を自らの手で。恋人を迎え、田舎で築いていく理想の暮らし。

Kg

取材者情報

お名前
多胡 友規
出身地・前住所
出身地:東京都豊島区駒込
前住所:長野県北佐久郡軽井沢町
現住所
大分県豊後高田市御玉
年齢
26
家族構成
独身
職業
長崎鼻ビーチリゾート https://nagasakibana-beach.com
Facebook
https://www.facebook.com/yuki.tago.35/

某旅行業者での勤務を経て、転職を期に豊後高田市に移住してきた多胡さん。関東での暮らしから見た大分の田舎暮らしはどのように映ったのか?また移住生活を楽しく暮らすノウハウとは?多胡さんが勤務している「長崎鼻ビーチリゾート」を訪ねました。

長崎鼻ビーチリゾートの海岸

自由な大学生活を経て、社会へ

大学卒業まで東京で過ごし、某旅行業者に就職した多胡さん。大学でも就職先でも、年齢や立場に関係なく意見を尊重する風土があったそうです。

多胡 : 大学は国際基督教大学に通いました。校風がリベラルで、クリティカルシンキングを重視していて、上下に関係なく意見を受け入れ合う環境でした。元々これをしたいという明確なビジョンがなく、楽しく生きたいと思っていた時に出会ったのが某旅行業者でした。フラットな組織経営で自由闊達(かったつ)な社風でした。意見を柔軟に拾い上げて議論が進んでいくという点が、自分の考え方と似ていたので就職を決めました。

そうして、某旅行業者で社会人を経験するうちに、環境の変化とともに様々な想いが生まれます。

多胡:軽井沢にある日本旅館で現場スタッフとして毎日働いており、仕事の拘束時間が長く、自由な時間が少ないと感じながら生活を送っていました。月8日休みで連休は少なく、長時間のシフトも多かったりで、同じ職場で働く恋人との休みが合わず、大事にしたいことが大事にできない状況にジレンマを感じるようになりました。自分の時間価値を向上させていきたかったのですが、現場運営スタッフとして実現させるためには総支配人になる以外の道をイメージできませんでしたが、そのためには、さらに4〜5年間働かなければ難しいと考えました。

まずは早い段階で経営を学び、規模の大きい仕事を動かせるようになりたいと考えました。同時に、どのくらい働いたらどのくらい稼げるかを知りたいなと。また、自分でゼロから事業を作っていくことで、働く時間を調整できる環境を作り出したいとも思いました。

最終的に、自らの手で昔から大好きだったサウナをコンテンツとした事業を磨き上げたいと考え、それが実現可能な豊後高田市に移住することにしました。

多胡さんが現在在籍している会社(株式会社FoundingBase)は、”「自由」をUpdateする”というミッションのもと、地方を軸に事業を展開しています。地方共創のスタンスを大切にしていて、実際に地域にメンバーが入り込み、役場や現地の方々と協働して事業づくりに取り組んでいます。そのため、若者でもキャリアの早い段階から経営に携わることができる、この会社で経験を積んでみたいと感じたそうです。

長崎鼻ビーチリゾートに設置されたサウナ

好きなことを仕事に

多胡さんは、大学時代の先輩の勤め先に訪れたことがきっかけで豊後高田市の存在を知ったそうです。

多胡 : 大学時代の先輩が勤めている町づくり会社の拠点の1つが豊後高田市にあり、遊びにいったのがきっかけです。いつかは自分でサウナの魅力を活かした事業を作りたいと考えていたため、サウナ導入のプロジェクトが進行していた豊後高田市のメンバーとつないでいただきました。最初はただの旅行のつもりだったのが、現地で活動するメンバーの熱意に心を動かされ転職を決めました。その地で働いているメンバーの「消費する側ではなく、生産する側として地域に携わると作っていく余白がたくさんあって面白い」という考え方にも共感したんです。

2019年1月に豊後高田市を訪れて、その2ヶ月後には移住を決断し、同年9月に移住しました。1月~3月の間は、お付き合いしている恋人と将来について話し、理解してもらえるまでじっくり話し合いました。

また、移住する際には会社の先輩や空き家バンク、市役所などにお世話になったそうです。

多胡 : 最初は、先に着任していた会社の先輩の家にお世話になりました。間借りさせてもらいながら、空き家バンクで家を探しました。豊後高田市の担当課の職員さんが、空き家見学の手配、移住に関する補助金などを丁寧に教えてくださったのも大変助かりました。空き家バンクに加えて、「ムーブイン就労家賃支援応援金」という制度があり、20万円分家賃補助をいただけたことも大きかったですね。

関東で生まれ育った多胡さんに、九州の田舎暮らしに対する不安はなかったかお聞きしました。

多胡 : 田舎という環境への躊躇はありませんでした。もともと家で過ごす時間が長いタイプだったので、軽井沢で生活していた頃から、都会じゃなくても快適に楽しく生活できることに気がつきました。インターネットや本もあるので東京時代と過ごし方はほとんど一緒です。

長崎鼻ビーチリゾートのBBQスペース

新たな暮らし

実際に移住してみて、楽しくて充実した日々を過ごしているという多胡さん。豊後高田市に移住してからむしろ趣味が増えていると言います。

多胡 : 休日はよく釣りに行きます。東京育ちなので、自然に近い環境で生活したことがなかったため、移住後に初めて釣りを体験して、ハマってしまいました。休日の過ごし方としてとても気に入ってます。

会社の同僚をはじめ、先輩移住者や地域の助けもあるそうです。

多胡 : 当初は地域に単身で入ると、精神面や生活面で支えが必要なのではないかと不安になる部分もありました。しかし、常に近くに同僚がいたので、見知らぬ土地でも孤立することなく、楽しく過ごすことができました。

また、豊後高田市は、裸祭りのような独自のお祭りがあり、移住したばかりの人でも地域のコミュニティに関わることができました。お祭りの後も出会えた方々と良い関係性が続いています。

他にも、移住者どうしの繋がりとして、近隣には移住者の方が営むお店もたくさんあり、息抜きをするために遊びにいきます。特に、杵築の「山香文庫」がお気に入りで、古民家で民泊を営む移住者の方と、どこか懐かしく心地の良い空間で一緒に美味しいお茶を飲みながら、おしゃべりができる場所です。地域で暮らす中で、ご縁があって一人ひとりが繋がっていくイメージです。地域の若い方も協力的で、知り合いがいない不安感はないです。

そんな日々の中で、長崎鼻ビーチリゾートでの仕事はますます忙しくなっているそうです。

多胡 : 長崎鼻ビーチリゾートは、「独立採算で運営できるビーチリゾートの確立」を目指し運営してきました。3年前に弊社が関わり初めた当初は、人がほとんどいない、キャンピングカー2台が隅にただ置いてあるような状況でした。年間で利用客が50名だったところから、BBQ場の設備や、キャンピングトレーラーの増設等を行政と協働しました。その結果、昨年度では2700名のお客様に宿泊もしくはBBQで利用していただき、国内最大のキャンプサイト“なっぷ“でも大分県1位、九州沖縄で2位を獲得する等、独立採算で運営できるようなビーチになりました。現在はその運用に携わっています。もちろん、大好きなサウナも2020年の6月に導入し、サービス提供を開始しています。

また、多胡さんはリゾートやキャンプ場などに関して、これまで過ごした東京や長野と大分を比べて自由度の違いを感じたそうです。

多胡 : 移住前でも、軽井沢でリゾートやキャンプ場のようにサービスの中で自然に接したことはあったのですが、ルールが多く、綺麗に整備され過ぎて余白がないと感じていました。決められた枠の中で遊びができますが、自由度は低いかもしれません。

例えば、移住前にサウナテントを買いましたが、残念ながら張ることができる場所はありませんでした。知人が所有する土地をお借りしてなんとかできる状況でした。その点、大分に来て自らが場所を管理し、事業を作っていくとなるとサウナテントはもちろん、自由に自然環境を楽しむことができるようになりました。

自らが遊んでみて、楽しさの本質を理解した上で、お客様にサービスとして伝えていくのが今の仕事です。なんでもかんでも管理のためにルールで制限することは簡単ですが窮屈な空間になってしまいます。ぼくたちの施設では安全面に留意しながらも、お客様が自ら愉しむ余白をつくることを大切にしています。

長崎鼻ビーチリゾートの新しいBBQスペース

これからの課題

周囲の支えもあり、移住して大変だったことは特にないそうですが、これからは公私に渡り色々課題があると感じているそうです。

多胡 : 仕事に関しては、集客が現在の課題です。夏は海水浴場として賑わいますが、冬以降はなかなか訪れる方が多くありません。そんなオフシーズンを楽しめるようサウナや釣り、焚き火などたくさんのコンテンツを創り上げていっています。今後はもっと多くの方に知っていただき、実際にこの素晴らしい体験を味わってもらえるようにPRを頑張っていきたいです。

また、私生活では2020年10月末に彼女が移住しました。住み慣れない土地だと思うので、人とつながる場所を上手く見つけらるよういろんな所へ一緒に遊びに行ってみようと思います。大分での彼女の時間も充実したものとなるようにしたいです。

子育ても遠い目標ではないと思っており保育、教育など当事者として地域の課題も強く意識されます。教育については、高校独自の魅力をつけ、地域学習を考える役割も持つ「高校魅力化コーディネーター」を設置している高田高校の取り組みに注目しています。実は、この高田高校の「高校魅力化コーディネーター」として弊社のメンバーが着任しており、行政や地域の商工会の方々と協働しながら魅力的な学習機会を創出しているので、ぜひ子供がいたら通わせたいと思っています。観光だけでなく、教育や農業など、町と横断的に関わっているからこそ地域に様々な角度からアプローチできるのも私達の強みです。

多胡さん

”3つ星”を目指して

今後はひとまず5年間豊後高田市に拠点をおいて、キープレイス化*を行うという多胡さん。

多胡 : 「あなたにとっての三ツ星リゾート」を掲げて、お客様ひとりひとりに価値のある場所を目指しています。「ミシュランの3つ星の定義」から着想を得ていて、お客様ひとりひとりにとって目的地となるような“3つ星の場所”であれば、足を運んで頂ける価値があると考えています。それを実現して長崎鼻ビーチリゾートをキープレイスにするとともに、この地域でやるべきことは何かを考えて実現したいと思います。

まずは豊後高田市を拠点にこの場所の魅力を高められるよう頑張って、その後は豊後高田市に住みながら、全国を回遊して活躍の場を広げていきたいです。

長崎鼻ビーチリゾートに設置されたトレーラー

やりたいことをやろう!

多胡さんに、移住を検討中の方々へのアドバイスを頂きました。

多胡 : 私は移住して大正解だったと思います。東京出身なので、地方での田舎暮らしは不便なイメージが先行していましたが、生活に関して困ることは全くありません。

現在はインターネットが普及しているので、欲しい物はオンラインで買うことができます。映画や音楽といった流行り物の娯楽コンテンツも充分に供給されています。本当に人に会いたかったら、時間やお金を使って会いにいけます。

もし、移住するかどうかの懸念点がそういった生活環境なのだとしたら、意外となんとかなるのですぐ移住してみたほうがいいです!

特に私の場合は、地方移住=やりたいことをやらせてもらえる環境だと感じています。比較することにあまり意味はないかもしれませんが、個人的には豊後高田市で生活することが自分のキャリアや人生にとってベストな選択だったと思います。事業と町との関わりの中で、多くのチャレンジがあり、その分多くの学びを得ています。

自分で挑戦し、楽しみを作れる人なら、移住生活は凄く楽しめます。

何より、長崎鼻ビーチリゾートにぜひお越し頂いて、冬キャンプ・冬サウナを体感して欲しいです。美しい海も見れて最高ですよ!

海岸から見た長崎鼻ビーチリゾート全景

好きなことのために

大好きなサウナのため、そして何より恋人とのより良い暮らしのために移住してきたという多胡さん。困難や悩みは色々あったそうですが、今に至るまでの過程を通じて、まずはアクションを起こすことの大切さを教えてくださった気がします。「好きなことのためなら頑張れる」そんなシンプルな気持ちを大切にして、新たな世界へ飛び込めば、充実した日々が待っているのかもしれません。

*キープレイス化
活動を行う際に拠点とすること。宿泊を含めた滞在型観光の拠点となり観光客を呼び込むことで、これまでの通過型観光よりも、観光客一人あたりの町への滞在時間を増やし、地域経済の活性化を図る。またその拠点として、地域の店舗や観光地に相互誘客をしていくことで地域の魅力を届けていく。

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  • サウナの魅力を活かした事業を自らの手で。恋人を迎え、田舎で築いていく理想の暮らし。
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WRITER 記事を書いた人

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株式会社モアモスト 取締役・一般社団法人まち元気おおいた 理事・Pdw 代表として、サイト・DTP・DTMなどディレクション〜制作をはじめ、ライターや撮影などの業務に従事。大分市府内5番街商店街振興組合の理事として、まちづくりにも携わる。

SC-RECS.com・クラブイベントインフォ・SCLS・DubRize・PLay・合同写真展などを主宰し、各種イベントのオーガナイズからDJやマシンライブなどまで展開中。テルミン使い。

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