大分移住手帖

2拠点生活から始まった移住生活から、やりたいことが実現できる杵築暮らしへ。

アバター 青木 奈々絵

生まれ育った大阪を離れ、父の故郷である杵築市へ移り住んだ新島さん。関西と九州を往き来しながら環境を整え、今は念願のカフェと雑貨のお店をやりつつ、オリーブ園を家族と経営しています。移住当初は都会とのギャップに苦しみながらも、今ではやりたいことを実現している新島さんにお話を伺いました。

大分と大阪の2拠点生活から始まった暮らし。

大阪では派遣の仕事をされていた新島さんは、本業とは別に、ものづくりが好きだったことから自身で製作した北欧雑貨をインターネットで販売するなどしていたそうです。

新島さん自身は大阪府出身ですが、お父様が杵築市で生まれ育ったこともあり、幼い頃は親戚を訪ねてお墓参りにきたり、夏休みなどを利用して杵築に遊びに来ていたのだそうです。薬事医療の仕事をされているお父様ですが、いつか農業がしたいと思っていたこともあり、それならばと自分に縁のある杵築市筒木(うつろぎ)地区でオリーブ園を始めることにしたのだとか。そんな中、娘である新島さんが一役買うことになりました。

「育てたオリーブをどうしていこうかとなった時、ネット販売をしていたノウハウがあったので、自分が駆り出されるかたちで杵築に来ることになりました。大阪で生まれて大阪で死ぬと思っていたし、田舎暮らしには特に興味がなかったんですが、お菓子作りやカフェの経営など、都会ではできなかったことが地方ならできるかもしれないという気持ちもあり、最初は大阪と大分にそれぞれ拠点をもって、行き来しながら生活していました。」

2拠点生活をしながら少しずつ杵築に移り住んでいった新島さん。住まいが出来上がり、同じ敷地には北欧雑貨やハンドメイド雑貨を扱う「Oliva-Olea【オリヴァ・オレア】」をオープン。県内で開催するイベントではお菓子やパンを焼いて出店し、カフェの準備も整えていったのだそう。今年3月には第一子を出産されたこともあり、杵築での暮らしが本格化しました。

前例は自分たちでつくる。開墾からスタートしたオリーブ園。

元はみかん農園だった土地を開拓。山の向こうには別府湾を望むことができる。

オリーブを育てる土地に選んだのは、もともとはみかん農園だった山の斜面。農家さんの高齢化等により使われなくなっていたそうですが、オリーブ園として生まれ変わらせるため、ゆくの農場長である従弟と地域の方たちの手を借り、家族総出で開墾から始めたのだとか。重機で木を掘り起こし、荒れた草木を取り除くなど、その作業は大変なものだったそうです。オリーブに最適な土地ではありませんでしたが、苗が小さいうちからその土地に慣れるよう、長い月日をかけて育てたのだそうです。

4年前のオリーブ園。土地に慣れさせるため苗が小さいうちから栽培している。

「オリーブ栽培で有名な小豆島に行って、現地の農家さんにお話を聞いたり、どんな機材を使っているかなど勉強しました。それまで農業は一切やったことがなかったので、最初は苦労しましたね。」

農業を始めるにあたり、費用の面など行政の支援を受けたいと思っていたそうですが、オリーブ栽培の前例がなかったこともあり、なかなか支援を受けることは難しく、自分たちの力でなんとかすることに。「今までやった人がいないなら、自分たちが前例をつくろう!」そうして家族一丸となって、「筒木(うつろぎ)オリーブ園」が始まりました。

本音で付き合う人間関係がいつしか楽しめるように。

お父様の就農により始まった田舎暮らし。念願のカフェ開業に向けて心を躍らせて杵築にきた新島さんでしたが、移住した当初は都会とのギャップに苦しむことも多かったのだとか。

「都会の生活に比べて人間関係が密で、田舎特有のしきたりや決まり事に納得できないことなどもあって、大分に来て1年くらいはいつも泣いていた気がします。環境ががらりと変わって、慣れるまでは大変でした。」

素材の味を大切にした焼き菓子やパンを販売。マルシェなどのイベントにも出店している。

それでも、日に日にこの土地の空気にも慣れ、心地よさを感じていったといいます。

「田舎の方は思っていることや言いたいことをすぐに言葉にする方が多いんだと思います。以前はそれで悩むこともあったけど、相手に対して裏表がないということだと気づきました。都会では表面上の付き合いもあるけれど、田舎の人はそうではないことが多いですね。思ったことを面と向かって言ってくれて、素直な人が多いんだと思います。そう思ってからは自分自身も素直に向き合おうと思えて、心の底からここでの生活を楽しめるようになりました。」

やりたいことが実現できる、可能性が広がる杵築での暮らし

筒木オリーブ園ではオリーブの他、野菜や果物も栽培し、加工品を製造しています。中でも自家栽培した荏胡麻(えごま)*からつくった「荏胡麻オイル」が反響を呼び、202011月には杵築市の認定ブランド*として認定されました。自分を育ててくれた場所に恩返しをしたいと始めたお父様の思いが、少しずつ形になっていったと言います。来年には店舗に加工場を併設予定で、また新たな挑戦が始まろうとしています。

「以前からやりたいと思っていたカフェや雑貨の実店舗を持つことができたのもこの場所だからこそ。都会では家賃が高かったり、時間に追われてできなかったことが、この地域で可能性が広がり、実現できています。決して誰もが来やすい場所ではないけれど、ここを見つけて遠くから来てくれる方もいてありがたいですね。」

 

*荏胡麻(えごま)とは、シソ科で一年草の植物。健康食として近年注目されている。

*杵築市の地域資源や地域特性を生かした優れた産品を「杵築ブランド」として認定し、市内外に向けて情報発信することにより、地域経済の発展および杵築市の知名度を向上させることを目的としている。

最後に

移住して味わった苦い経験も率直に語ってくれた新島さん。その姿は、新島さんが地域の方々から教わった人と素直に向き合うそのものだったのかもしれません。暮らしや農業を始めるにあたってぶつかった壁を、いつもポジティブに捉えてきた姿がとても印象的でした。新島さんの前向きな姿勢がさまざまな場所に伝わって、これからの暮らしはもっと豊かなものになっていくのかもしれませんね。

取材者情報

お名前
新島 容子(にいじまようこ)
出身地・前住所
大阪府
現住所
大分県杵築市
年齢
34歳
家族構成
夫、子供(生後9か月)
職業
oliva olea(オリヴァ・オレア)
Webサイト
https://www.oliva-olea.com/
WRITER アバター 記事を書いた人

青木 奈々絵

大分県杵築市へ移住。地域おこし協力隊として移住支援活動を行う。国東半島に伝わる七島藺(しちとうい)に惹かれ、工芸の技術を習得し、杵築七島藺マイスターとしても活動している。農家民泊の開業を目指して、築150年の古民家をセルフリノベーションに奮闘中。

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