大分移住手帖

憧れのゲストハウスを開業。地域の中で新たな活動に邁進する宇佐での日々。

高畑圭司 Kg

バックパッカーとして世界中を旅してきた高坂さん。宇佐市の地域おこし協力隊としての活動を経て、かねてからの憧れだったゲストハウスを開業すると共に、地域活性化などの活動にも取り組んでいます。そんな高坂さんの今までとこれからの話をお聞きしたいと思い、Naru.Guest House (ナル ゲストハウス)を訪ねました。

Naru.Guest House 外観

世界を巡る旅を終え、韮崎市へ

高坂さんは奈良県で生まれ育ち、関西の大学に進学。卒業後、東京都で就職したそうです。

高坂 : 東京都で6年間、シンガポールで3年間会社員として働いた後に、期限を決めずに長期の旅に出たいと考えて、退職しました。結果的に3年間ほど、当時のパートナー(現在の奥様)と一緒にバックパッカーとして世界中を旅しました。色々な国や地域を巡りつつ、世界各地にあるゲストハウスに拠点を置いて、運営を手伝うこともありました。

帰国して2013年に結婚。山梨県の韮崎市にあるキャンプ場で働き始めた高坂さん。標高1,000mにあり自然豊かな場所だったそうです。

山梨県には祖母の家があったので、子供の頃は夏休み等に通っていて縁があったそうです。家から富士山が見える、果物が美味しいなど、環境的には良いところで、今でも選択肢として山梨県に戻ることを考えられるほど好きだと語ります。

ゲストハウス内のゲストルーム

家族との時間を増やすために

お子様が誕生し成長していく中で、仕事柄思うように一緒に過ごす時間が取れないことに苛立ちを感じたそう。

高坂 : 働いていたキャンプ場は、企業が運営する規模の大きいキャンプ場だったため、ビジネス的な要素が強く、責任者として地位が上がると拘束時間も長くなっていきました。息子が生まれたのに、思うように家族との時間が持てなくなり、ワーク・ライフ・バランスに不満を感じるようになりました。

また、キャンプで働く中で、兼ねてからあったゲストハウスをやりたいという思いも膨らんでいったと言います。

そんな経緯もあり、ゲストハウスを開業して独立しようと考えるようになった高坂さん。まずは近場で候補地を探すものの、山梨県内では空き家自体は多いのですが、条件が合う良い物件がなかったそうです。

高坂 : 妻が山梨県内には開業に適した物件がないことを察し「違うところに行こうか」と提案してくれ、地域おこし協力隊をいくつかピックアップしてくれました。

寒いのが苦手な高坂さんは、少しでも暖かい南に行きたかったそう。

高坂 : 実際に移住してみると違っていたのですが(笑)、九州であればどこでも暖かいイメージを持っていました。他にも、当時は肉を一切食べずに魚を食べていたので、海と山が近くにある自然豊かな場所で、魚が美味しいところに移住したいと考えました。

移住先の候補の中で、地域おこし協力隊を募集していたのは以下4箇所だったそうです。
■鹿児島県三島村
■奈良県十津川村
大分県佐伯市
大分県宇佐市

高坂 : 九州には縁もゆかりもない中で宇佐市を選んだのは、自然が豊かで宇佐神宮があったからです。

以前、伊勢神宮の近くにあるゲストハウスが賑わっている記事を見て、良いアイディアだと感じましたが、「二番煎じは嫌だな」と思っていました。調べたところ、宇佐神宮の周りにはゲストハウスはなく、もしここで開業すれば二番煎じではなさそうだと思いました。別府市から遠くない場所で、空港からも1時間ほどとアクセスが良く、海も山も近くにあり、気候も良さそうでした。

宇佐市の地域おこし協力隊の仕事内容も観光・英語関係で条件に当てはまるなと。

こうしてご家族と共に宇佐市に移住してきた高坂さんに、それまでの暮らしとの違いをお聞きしました、

高坂 : 韮崎市から宇佐市に移住したので、人口などの環境が似ていて、あまりギャップはありませんでした。街のサイズ感も良く、非常に暮らしやすいと思います。 近所の方々が野菜をくれるなど優しくしてくれました。特に息子が1〜2歳だった頃は、おじいちゃんおばあちゃんがかわいがってくれましたね。

小中高生が挨拶をしてくれることに驚きました。他にも、地区ごとにお祭りがあったり、その中で必ず餅まきがあったり、お神楽があったりすることです。残念ながらお祭りは担い手の減少などで小さくなりつつありますが、伝統文化を息子に見せることができるのは良いことだと感じます。

想像と違っていた部分ですが、九州は暖かくて過ごしやすいとばかり考えていたのですが、実際は寒いので驚きました。韮崎市ではスタッドレスタイヤが必要でしたが、移住後は必要ないと考えて処分したのですが、とっておけばよかった(笑)

内観

移住からゲストハウス開業に至るまで

地域おこし協力隊として働いてきた高坂さん。念願だったゲストハウスの開業に向けて動き出します。

高坂 : ゲストハウスを開業するために、物件を探して色々な方々に声を掛けました。その中で、70年続いた旅館を廃業するというオーナーさんの娘さんにたまたま出会うことができ、ぜひ借りたいと半年間交渉しました。当時はまだゲストハウス自体の認知度が低い頃で、市役所も周りの住民の方もどういったものなのかご存じなかったですね。民泊のトラブルが報道されていて、外国人が喚くような悪いイメージを持たれていたので、そういう部分の払拭や、自分達の人となりを知ってもらえるよう努めました。

そうして2017年についに開業に至った高坂さん。和風で趣のあるNaru.Guest Houseですが、外観などは旅館の頃そのままに、家具などをDIYしたそうです。

高坂 : こたつを各部屋に設置してみたところ、外国人の方は漫画やアニメでしか見たことがないそうで大変喜ばれました。和風で合わないこともあり、ベッドではなく布団を用意するなど、旅館らしい佇まいを活かしています。

2階の窓側部分

地域の仲間と共に

開業した高坂さんですが、刻々と環境が変わる中で、様々な問題と向き合っているそう。

高坂 : 念願だったNaru.Guest Houseを開業しましたが、まだまだ宇佐市に泊まりに来る方が少ないと感じています。別府市や由布市に泊まって宇佐神宮に来るという方が多く、数少ない宇佐市に泊まる方々も、地元のビジネスホテルと競合します。

その上、コロナの影響で、ゲストハウスは経営的に厳しいので、バイトに出ています。半年前までは「厳しくてもずっと続けていこう」と思っていましたが、今は「いつまで続けられるか」と考えるようになりました。関東在住の方や外国人のお客さんがメインだったので、この状況にはさすがに困惑しています。

そんな状況の中でも、地元の方々との繋がりを大切にしているそう。

高坂 : できるだけ地域に関わっていくために、Naru.Guest Houseで「英語でしゃべる会」「ボードゲームの会」「気になるお店のオーナーを招いてトークする会」など地元の方々と関われるイベントを開催しています。イベント開催で収益はでませんが、地元の方々に知ってもらい繋がりを増やすことが楽しいので、今後も続けていこうと考えています。

また、2020年4月に全国で緊急事態宣言が出された際には、宇佐市への恩返しの気持ちを込めて、新たな取り組みも行ったそう。

高坂 : 飲食店の支援のために「1000円で宇佐を応援(お弁当付き)プロジェクト」を立ち上げました。

頂いた1000円で
① 地元の病院や子ども食堂などへ寄付として200円
② この活動を継続する運営費として150円
③ 650円のお弁当注文で飲食店を応援
の3つの応援を行う内容です。私が一人で注文を受けて、飲食店に取りに行って、お客様に配達しました。

Naru.Guest Houseは基本的に素泊まりなので、お客様の食事に関しては、周りの飲食店を紹介しています。お客様が飲食店を気に入れば、ゲストハウスの満足度・評価も上がるので、飲食店に大変お世話になっていると考えています。そういう飲食店の皆様に恩返しをという気持ちもありました。宇佐市で初めてお弁当のドライブスルー販売もやりました。

その間はNaru.Guest House自体は止まってしまいましたが、飲食店や病院を少しでも助けることができたと思います。移住者という部分を意識してやったわけではないのですが「他所から来た人だからできたこと」と周りにも評価して頂けました。確かに、地元の方だとしがらみなどもあり難しいので、移住者だからこそ実現できた取り組みだと思います。

活動を通じて、様々な方々との繋がりが広がりました。今後も地域との繋がりをもっと広げたいと考えています。

旅館の名残

流れに身を任せる

これから先の展望について高坂さんにお聞きすると、バックパッカーとして世界中を旅してきた経験から、様々な選択肢を考えているそうです。

高坂 : 私達家族は色々な場所を転々としています。どの地域も魅力的でした。簡単に別の場所へ移住するわけでもありませんが、どこにいてもまだ最終地点ではないとも考えています。

選ぶ時は慎重であるべきですが、流れに身を任せるのも良いと思っています。ただ、流れを作るのは私達だとも考えていますので、より良い結果となるように努力していきたいと思います。

玄関脇のソファ

移住希望者へアドバイス

移住者として縁もゆかりもない宇佐市で、念願だったゲストハウスを開業し、地域に根差した活動を行う高坂さん。そんな彼から、移住を希望する皆さんへアドバイスを頂きました。

高坂 : 「田舎暮らしは素敵」と思って移住すると、いざ住んだら都会の方が良いこともあるかもしれません。自分達ではどうしようもないことって結構あるとは思いますが流れに身を任せて見るのも良いと思います。

そんな中でも、コアとなる移住の理由を1〜2つ持っておくことは大切だと思います。私の場合、宇佐市への移住のコアな部分は「宇佐神宮」と「自然環境」でした。自分の中でコアになる部分をしっかりと決めて移住に臨むと、自ずと向かう先が見えてくるのではと思います。

メッセージボード

最後に

高坂さんのインタビューの中で何度も出てきた「流れ」という言葉が印象的でした。抗いがたい外的要因などがある中で、運命に身を任せつつもコアな部分を大切にして最善を尽くした結果、Naru.Guest Houseという形で結実し、イベントや活動を通じて地域の繋がりを広げていると感じました。どうしようもないこともたくさんありますが、人事を尽くして天命を待てば、いつしか道が拓けるということを教えて下さった気がします。

取材者情報

お名前
高坂 亮佳(コウサカ アキヨシ)
出身地・前住所
出身地:奈良県
前住所:山梨県
現住所
大分県宇佐市
年齢
43才
家族構成
妻と息子(5才)
職業
Naru.Guest House (ナル ゲストハウス)
Webサイト
https://www.naruguesthouse.com/
Facebook
https://www.facebook.com/Naru.GH

PHOTO

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WRITER 高畑圭司 記事を書いた人

Kg

自営業。Pdw代表/シロバーガー統括、府内5番街理事、SC-RECS.com/クラブイベントインフォ/SCLS/DubRize/PLay/合同写真展など主宰、サイト・DTP・DTM制作、ライター/DJ/ライブ/テルミン使い。
https://twitter.com/_pdw

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