大分移住手帖

大学の研究室から縁が繋がり、スタートした移住生活。地域と共に育むまちづくり。

Kg

取材者情報

お名前
上薗怜史
出身地・前住所
福岡県春日市
現住所
大分県津久見市
年齢
34
家族構成
一人暮らし
職業
津久見市役所職員
Facebook
https://www.facebook.com/satoshi.kamizono.77

大学の研究室をきっかけに縁が広がり、住み慣れた地元を離れて、初めての一人暮らしを津久見市で送っている上薗さん。地域の方々と共にまちおこしに取り組む忙しい日々を過ごしているそう。そんな上薗さんから、移住に至る経緯やこれから先の展望についてお聞きしました。

上薗さんが働く津久見市役所

津久見市と出会ったのは研究室の先生がきっかけ

両親が鹿児島県民の上薗さんは、鹿児島県で生まれ。父親の仕事の関係で、福岡県のベッドタウンとして有名な春日市で育ちました。

上薗 : 春日市は津久見市の約6分の1の面積の中に約6倍の人口を抱え、航空自衛隊や陸上自衛隊の基地がある街です。福岡の中心部へは電車で15分ほどなのでアクセスもよく、都会で何不自由ない生活が過ごせます。また、有名な古墳が多く、湖や大きな公園など適度に自然もあります。

父親が建築・建設系、祖父が大工の棟梁という環境で育った影響もあり、大学では社会デザイン工学(土木工学)を学ぶことに。

上薗 : 父親が貯水タンクなどを造っていて、小さい頃から現場を見せてもらったり、話を聞いたりしていました。子供の頃はあまり分かっていませんでしたが、物心ついた頃には立派な仕事だと感じていました。

大学で学ぶ中で、社会デザイン工学科の研究室の先生が公園設計や公園デザインなどのワークショップをしていて、その分野に興味を持ったそうです。

上薗 : 大学4年生になり就職活動をしたものの、友人が大学院に進むこともあり、自分も大学院に進むことにしました。卒論テーマのキーワードとして公園を選びましたが、内容については悩んでいました。そんな時、景観デザインや公園デザインもワークショップを専門としていた研究室の先生の元へ、津久見市役所の方が津久見市の千怒地区の区画整理事業の一環として行われる公園づくりのワークショップ開催について相談に来られました。この仕事を先生が受け、私が担当することになったんです。これが津久見市との出会いでした。

ワークショップの内容は、「区画整理で住む場所が無くなるめだかのために、公園を造って放流する」というものでした。住民の皆さんとワークショップをして、一緒にその場所をデザインしました。「湧水めだか公園」として完成したこの企画を修士論文として提出したんです。

みんなで形にしていくのは素晴らしいと感じましたし、空間づくりに携わって面白かったです。思い入れもあり、市役所の皆さんと完成した後に懇親会で号泣してしまいました。この経験を踏まえて、就職先はまちづくりができる会社が良いと考え、建設コンサルタント会社を志望しました。

津久見市役所石碑

新たな進路を見定める

まちづくりに携わりたいという思いで、就職活動では複数の建設コンサルタント会社に応募したという上薗さんですが、理想と現実の間のギャップを感じたそうです。

上薗 : 公務員になることは考えたこともなく、建設コンサルタント会社で都市計画やまちづくりに携わるものだと考えていました。
東京や大阪を中心に10社以上の面接を受けましたが、都会で働く自分がいまいちイメージ出来ませんでした。建設コンサルタント会社の面接でやりたいことを訴えると、「あなたのやりたいことは行政の仕事なのでは?」と言われることがしばしばありました。

そんな中、友人が大学のプロジェクトで関わった長崎県の五島市役所を受験し、移住すると決意しました。そこで初めて「公務員として役所に勤めながらまちづくりに携わるような生き方もできるのだ」と感じました。

そんな絶妙なタイミングで、再び研究室に津久見市から連絡が入ったそうです。

上薗 :津久見市役所の都市建設課の方から「津久見市の採用募集があるけど誰か受験しない?」と言われたことをきっかけに、津久見市役所の受験を決心しました。市役所で様々な役割を担えるのはもちろん、津久見市のまちづくりに携われるので、公務員として働くのもありかなと思ったんです。

こうして津久見市役所の試験に合格した上薗さんは、津久見市で働くことに決めたそうです。

大学4年生から大学院卒業まで3年間津久見市に通い、市役所や地域にも知人がいたので、住むことへの不安や悩みはなかったそうです。ただ、自分にとっては新たなチャレンジとなる「まちづくり」が果たして本当にできるのかという不安はあったそうです。

津久見市民憲章

公私ともにまちづくりに邁進する日々

2011年3月に津久見市へ移住した上薗さん。住み慣れた街を離れて、初めての一人暮らしですが、特に不便は感じなかったそうです。

上薗 : 福岡の中心部は大型施設も多く、何でもすぐに揃っていたので便利でしたが、それと比較しても津久見市での生活に不便を感じることは特にありません。自分にとって田舎とは、鹿児島県の山の中にある祖父母の家。そこと比べると津久見市内を田舎と思ったことはないです。日用品は市内で調達できるし、特別な物であれば大分市で買えばいいですし、実家の福岡にも車で2時間半ほど走れば着くので問題はないですね。

春日市は内陸なので海に遊びに行くのに1時間程かかっていましたが、今は歩いてすぐ海にたどり着きます。海がある生活は本当に素晴らしいです。緑も多く穏やかで豊かな土地だと思います。

移住の際には、今までの縁で繋がった方々にお世話になったそうです。

上薗 : 一番お世話になったのは、大学の研究でお世話になった市役所の方々です。不安な社会人生活も、知っている方が沢山周りにいる環境下で仕事ができたので、ひとりぼっちにもならず、飲み会にもよく誘っていただき、楽しい新生活を始めることができました。

また、津久見市の人は困ったことがあれば助けてくれます。一人暮らしだからと、ご飯など色々な物も頂き、感謝しています。

津久見市を盛り上げるために様々な活動を展開中。

平日は津久見市役所で忙しく働く上薗さんですが、土日も様々な活動に身を投じているそう。

上薗 : 津久見市のまちづくりに関わるため「C-Lab.TSUKUMI」というまちづくり団体を立ち上げ、津久見市の人たちと繋がるために飲み会を通して親交を深めつつたり、津久見のゆるキャラつくみん*のグッズを作製したり、つくみん公園などでイベントを実施たりと、人口減少や産業の衰退が進む中でも、町が明るくなるよう下記の活動を行っています。

「C-Lab.TSUKUMI」
2016年から市の補助を受け始めた「津久見inバル(飲みバル)」は盛況で、3年間の補助期間を終えても継続して開催されています。団体が作製するつくみんグッズはイベント時や市内のつくみマルシェでも販売中です。

「まちづくりツクミツクリタイ」
2016年11月に任意団体として立ち上げました。つくみん公園にあるコンテナ293号などの整備に携わり、現在は総合計画・庁舎建設・観光戦略など市の会議にも参画しています。2018年にはNPOへ改組。津久見市からの委託事業を受けながらまちづくりイベントなどを開催しています。

空き家をリノベーションした「Cafe1/2(ニブンノイチ)」
2017年9月に西日本銀行跡地をリノベーションして作ったまちなか拠点です。津久見市に甚大な被害を与えた台風18号のため、オープン翌日に浸水するも、災害ボランティアの休憩場所として活躍したそうです。

イベントでよく利用されるつくみん公園

まちの課題にみんなで取り組む

忙しい日々を送る上薗さんですが、津久見市に関する色々な悩みもあるそうです。

上薗 :行政だけでなく、 津久見市全員で考えていかないといけないことは多いですね。まずは、庁舎が古いので港の方に移す計画となっていますが、その際の津波対策はどうするのか。また、まちなかをどうしていくべきか。今活動しているNPOをこういった課題に関する意見交換ができる場にしていきたいです。

自分が津久見市に住む理由は、行政と地域の人とのパイプ役が必要でそれを担うことができると思っているからです。自分がしたことや関わったことで、周りが笑顔になるのが最大の喜びだと感じています。

つくみん公園の入り口

若者が活躍する街へ

地域のために活動を展開する上薗さんに、これからの津久見市をどう変えていきたいかお聞きしました。

上薗 : 津久見市を楽しい街にするために、みんなでまずは楽しいことをして、結果まちづくりに繋がっていくことが理想かなと思っています。まちづくりの主力は40代以上で、以下の若い世代がまだまだ出てきていない印象です。今後は20代を発掘していきたいですね。

そのためにも、若い人が集まる場をつくりたいとは思いますが、なかなか難しいのも現実です。そもそも「津久見市で遊ぼう」というイメージが弱いのかな。整備された公園や豊かな自然もあり、子育てしやすい環境があるので、もっと伝えていきたいですね。

以前、中高校生を含む60人ほどのボランティアスタッフの皆さんと一緒に、つくみん公園の滑り台を使ってウォータースライダーを手作りするイベントが行われました。これが結構好評で。若い世代がスタッフとして活動に携わることで、人に喜んでもらえる実感を味わい、そこからまちづくりに興味を持ってもらえたら良いなと思っています。

つくみん公園でイベントの中心となるコンテナハウス

移住希望の皆さんへ

地元から離れ、津久見市で活躍する上薗さんから、移住希望の皆さんへアドバイスを頂きました。

上薗 : 移住は場所も大事ですが、結局は“人”だと思います。どんな人と出会うか。まずは何度か訪れて、地域に住む人を知って、仲良くなってから移住するのをオススメします。地域の皆さんは何かしらのプロなので、自分のやりたいことや自分のライフスタイルに合う人を見つけるとより暮らしやすくなると思いますね。

私が移住した津久見市は気候や環境が良い場所です。大分県とはいえ温泉はないけれど、アクセスが良いので、どこにでも足を運べます。津久見市はみんな優しく大らかな性格なので、移住した方を気にかけて好意的に迎えてくれます。気になった方は、ぜひ一度足を運んでみて下さい。

津久見市の地図

最後に

大学の研究室からの縁がきっかけで、津久見市へ移住した上薗さん。大学の研究室を通じた出会いからはじまり、津久見市で仲間が増え、広がり続ける上薗さんの移住者暮らし。やりたかったまちづくりに公私ともに取り組む姿からは、自分がやりたいことを貫く意思を持つ強さと、人との繋がりの大切さを教わった気がしました。

* つくみん
大分県津久見市公認のキャラクター。津久見みかんから生まれた妖精。

WRITER 記事を書いた人

Kg

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株式会社モアモスト 取締役・一般社団法人まち元気おおいた 理事・Pdw 代表として、サイト・DTP・DTMなどディレクション〜制作をはじめ、ライターや撮影などの業務に従事。大分市府内5番街商店街振興組合の理事として、まちづくりにも携わる。

SC-RECS.com・クラブイベントインフォ・SCLS・DubRize・PLay・合同写真展などを主宰し、各種イベントのオーガナイズからDJやマシンライブなどまで展開中。テルミン使い。

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