大分移住手帖

自然豊かな四浦半島で過ごす穏やかな日々。家族や地域の方々と支え合い慈しむ暖かな暮らし。

Kg

取材者情報

お名前
濱田佑香
出身地・前住所
別府市新港町
現住所
津久見市四浦
年齢
34
家族構成
夫、長女、長男、次女、祖母(父と妹が近くに住んでいます)
職業
Open caffe 桜 https://www.facebook.com/opencaffesakura
Facebook
https://www.facebook.com/opencaffesakura

何不自由ない街での生活から離れ、海と山に囲まれた自然豊かな四浦半島で、新鮮な海の幸や山の幸を活かしたカフェを営む濱田さん。カフェのオーナーとして、家業の担い手として、そして母として地方で奮闘する日々の中には、田舎暮らしへのヒントがあると考えて、お話を伺おうと彼女が営むOpen caffe 桜を訪ねました。

Open caffe 桜 外観

四浦半島での子ども時代

半島の北側は津久見市、南側は佐伯市に属する四浦半島で、濱田さんは子ども時代を過ごされました。

濱田 : 四浦半島で生まれ育ち、高校進学で地元を離れ、別府市で一人暮らしを始めました。高校卒業後は、大分市内で3年間働き、平日は職場と家との往復で、週末は、別府市内の色々な温泉に足を運んだり、大分の中心部で遊んだりして過ごしました。

ただ、地元を離れて大分の中心部で生活してみたことで、地元の良さを再発見できたそう。

濱田 : たまに帰省すると、家族が豪華な食事を用意してくれて、実家の食卓に並ぶが料理が美味しいと感じました。魚や野菜など地元の旬の食材が絶品でした。

Open caffe 桜前に広がる海

結婚を機にUターン

濱田さんのご実家は、鉱山業の会社を経営しています。2人姉妹ということもあり、自分が実家に戻る事を意識していたそうです。

濱田 : 長女ということもあり、小さい頃から「養子をもらって結婚して」と親に言われていました。せっかくの家業ですので、跡を継がないともったいないとは思っていましたが、実際に「養子に来ても良い」という方はなかなかいないだろうなと思っていました。

ところが、当時付き合っていた彼(今の夫)が「婿養子で良いよ」と言ってくれて、22歳で結婚することになりました。

こうして結婚を機に地元に戻ることになった濱田さん。家族の支えもあり、問題なく新しい生活をスタートできたそう。

濱田 : 私よりも、国東市からこちらに来た夫の方が、家や仕事など全てが変わったので大変だったと思います。

Open caffe 桜 内観

今の暮らし

お子さんも生まれ、仕事に子育てに追われる日々を過ごす濱田さんですが、幸せとのことです。

濱田 : 四浦半島に戻ってきた当初は、友達と離れたことは寂しかったのですが、そのうち家族やママ友、近所の方とのお付き合いが増えて、いつしか寂しさも感じなくなりました。今では、私も夫も寄り合いなどで毎日家にいないぐらいで、地元の人達にも可愛がってもらっています。何より料理が美味しいです。家業の会社がある場所まで家から5分ほどなので、お昼休みは帰宅して昼食をとるのですが、それが楽しみなほどです。

ただ、日々の暮らしの中で、田舎ならではの不便さもあるそうです。

濱田 : 一番近いコンビニまで車で20分かかるなど、やはり不便に感じることはあります。買い出しの際は、津久見市街にあるスーパーまで足を運ばないといけません。バスが通らないぐらいの田舎なので、子ども達は津久見市内の小学校・中学校にタクシーで通っています。制服を来た子ども達がタクシーで行き帰りしてという光景は、田舎ならではなのかもしれません。昔はバスがあったそうですが、管理費が高いので、タクシーに替わったそうです。

地域の行事に積極的に参加する中で、少子高齢化を感じることもあるそうです。

濱田 : 私達が住む地区には、海岸掃除や草刈などの行事があります。お年寄りが多くみんな早起きなので、朝8時スタートなのに7時半から始まっていて、集合時間にはほぼ終わっていることもあります(笑)

他にも、天神様の夏祭りや獅子舞等があり、子ども達が笛を吹き、地元の若い人が衣装を着て、この辺りを歩きます。四浦半島には集落が複数ありますが、子どもが少ないため、そういったお祭りなどの担い手も少なくなってきていて残念です。

自分のお店

地域での活動にも積極的に参加している濱田さんは、結婚して5年後にOpen caffe 桜をオープンしました。

濱田 : 保育園に子どもを預けると時間ができたので、ブティックを手伝うようになりました。そこで働いているうちに、「店のディスプレイや内観をこうしたい」など色々考えることが楽しくなってしまい、いつしか自分でお店を持ちたいと考え、開業することにしました。

母が調理師の免許を持っていたこともあり、料理は地元の素材を使って地産地消しています。魚料理は予約制で、その日の漁次第なのでどの魚かは分からないですが、活きの良い魚を提供していますので、鮮度がよく絶品です。さざえカレーなどの洋食も人気です。近所のおばちゃん達が農業をしているので、旬な野菜も提供いただいています。

また、粘土作家さんから仕入れたクレイフラワーなどの作品も展示・販売する雑貨屋も併設しています。プリザーブドフラワーと違って劣化がないため、いつまでも飾れると評判です。季節に合わせて店内展示商品を入れ替えることもあり、それ目当ての来客も多いです。

店内で展示・販売されている作品

様々な悩み

順風満帆な暮らしを送っている濱田さんですが、様々な悩みも抱えているそうです。

濱田 : 少子高齢化が進んでいるので、あと10年もすれば人口が半減するそうです。私の住んでいる地区はトンネルを抜ければすぐ津久見市内に出られるのでまだ良いですが、他の集落の皆さんは大変だと思います。

他にも、家業の鉱山業を営む会社が今後どうなるかという不安があります。資源に限りはあるので、枯渇した場合のことを考えていかないといけません。

濱田さんの作品も展示されています

これからについて

これから先もこの場所で頑張っていきたいと語ってくれた濱田さん。今が正念場と感じているそうです。

濱田 : 私の住んでいる地区には現在5人ほど同世代の母親がいます。四浦半島の他の集落と比較すると多いです。そういうこともあり、環境的に恵まれていると感じます。ご近所が少ないこともあり、うるさい人はいないですし、本当に仲が良い友人達はここまで会いに来てくれます。また、子ども達はいずれ巣立つ時が来ると思いますが、自由に育って欲しいと思います。一度は都会に出て、色々な経験を積んで欲しいです。これからも、Open caffe 桜を中心に色々と挑戦していきつつ、ここで生活していきたいと思います。

また、お母様がやってきたことを受け継いでいきたいという想いがあるそうです。

濱田 : 今年、母が他界しました。母は行動力があり、顔も広い人でした。例えば、この地区には独身の男性が多いので、会員登録制の婚活イベントを企画したりしていました。婚活登録自体は女性が多いこともあり、事前に男性と面接して相性を見てからイベントを実施することで、何組か結婚した実績があります。革細工のワークショップと婚活イベントを同時に行い、事前に男性のみを呼んで革細工の作業に慣れさせておいて、その後女性を呼ぶと、男性が少しできるので「凄い」となって話が弾むこともありました。そうこうしているうちに口コミで評判が広がって、参加希望者も多かったです。

現在婚活事業はお休みしていますが、いずれは母のように四浦半島の人口増加に貢献し、地域を盛り上げていくことができればと考えています。

濱田さん

移住希望者の方へメッセージ

濱田さんから移住を検討中の方々へ、メッセージを頂きました。

濱田 : 四浦半島は田舎ですが、子育てには凄くいい場所だと思います。自然が豊かなので、子どもだけで山に行ってカブトムシを捕ったり、基地を作ったりと、のびのびしています。子育てがしやすいので、ひとりっ子が少ないほどです。産まないという選択をする方も多い時代ですので、珍しいかもしれません。

仕事は少ないので、若い方は働く場所がなかなかないかもしれません。定年後に農業をするために移住してきた方がいます。漁師さんや大工さんの自営業も多いので、漁業や農業であれば受け入れ先があるかもしれません。空き家が多いので、リノベーションして使って欲しいです。

特に子育て世代にたくさん来て欲しいと思います。移住を検討されている方は、ぜひ四浦半島にお越し下さい。

店内で展示・販売されている作品

最後に

濱田さんだけでなく、3人のお子さんや旦那さんと偶然お会いすることができたのですが、皆さんの笑顔を見て、充実した日々を過ごしてらっしゃるのだなと感じました。田舎での暮らしには不便な部分もありますが、家族や地域の人との繋がりを大切にし、地域を盛り上げようとしている濱田さんの今後の四浦半島での活躍が楽しみです。

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WRITER 記事を書いた人

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株式会社モアモスト 取締役・一般社団法人まち元気おおいた 理事・Pdw 代表として、サイト・DTP・DTMなどディレクション〜制作をはじめ、ライターや撮影などの業務に従事。大分市府内5番街商店街振興組合の理事として、まちづくりにも携わる。

SC-RECS.com・クラブイベントインフォ・SCLS・DubRize・PLay・合同写真展などを主宰し、各種イベントのオーガナイズからDJやマシンライブなどまで展開中。テルミン使い。

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