大分移住手帖

自然に囲まれた場所で地域と人を繋げる築100年の商家で始めた日出町暮らし。

青木 奈々絵

取材者情報

お名前
梶原 じゅんこ(かじわら じゅんこ)
出身地・前住所
(出身地)大分市
現住所
大分県速見郡日出町
年齢
55歳
家族構成
3人家族(夫、娘)
職業
創造空間kamenos 主宰
Webサイト
https://kameyastyle.com/

結婚を機に日出町に移り住んだ梶原さんは、ご主人の実家である明治期に建てられた商家に暮らし、森と海に囲まれた「創造空間kamenos」で地元の魅力を発信し、地域と人を繋げる梶原さん。お店を営みながら地域づくりを目指す梶原さんにお話を伺いました。

町の景色を残すため、古民家を再生させた「つなぐ場所」。

大分市出身の梶原さん。以前はアパレル業の企画運営に勤めていたそうですが、結婚を機に、ご主人の実家である築100年を超える日本家屋と出逢いました。明治40年代に建てられたその商家*は、構想も含め約7年の月日をかけて再生し、住まいとして蘇らせたんだとか。

「古いものがなくなっていくと町の風景も変わって、アイデンティティがなくなってしまうような気がしたんです。木の温もりや土壁の柔らかさなど、現代の家では感じられない雰囲気を残していきたいと思いました。」

ギャラリーに並ぶ作品たち

2007年に登録有形文化財に指定されている実家を、昔ながらの伝統工法を用いて再生しました。今では珍しくなった古民家をたくさんの人に見てもらいたいと、「亀屋style(カメヤスタイル)」という名前で季節ごとに「おくど市」というマルシェを開催。生産者と消費者をつなぐ場所として、地元で丁寧にものづくりをしている方を紹介したり、音楽ライブや語り場など様々なイベントを開催。すべて梶原さん自身が企画・運営をされていたそうです。

梶原さんの自宅である「亀屋」

自然とともに生きる空間で地域を巻き込んでいく。

kamenosの外観。奥には森が広がっている。

亀屋から始まった活動は、現在は山あいに場所を移し、「創造空間kamenos(カメノス)」として1階にはカフェとギャラリー、2階は別府湾を望むことができる宿になっています。Kamenosでは人と人、人と町を繋ぐ場として地元に根付いた活動が日々繰り広げられています。

「おくど市を行っていた亀屋は自分たちの住まいでもあるので、家とは別に何かをできる場所をずっと探していました。ここはもともと別荘として使われていたようなんですが、敷地の中に森があって、目の前には海が広がって、すごくいい場所だったんです。出会ったときはまだ荒れ地で整えるまではすごく大変でしたが、たくさんの人の力を借りて今の姿になりました。」

別府石と造作のストーブ

梶原さんは地元の大学生たちとの繋がりを活かし、人や地域を巻き込んだ取り組みを行っています。これらの経験を活かして、まちづくりを学びたいという大分県や福岡県へ赴いて講義を行うなど、第一線で地域づくりを実践する立場としても発信しているのだとか。

「まちづくりって最終的には人の力だと思うんです。kamenosという場所にはいろんな要素が存在していて、図書館のようでもあり、リビングでもあり、街の公園でもあるような、いろいろな可能性がある場所。場があって、ここに集まる人がいれば自然と形になると思うんです。そのために自分ができることはしていきたいと思っています。」

無いものは自分で作る。

結婚を機に始まった日出町での生活。娘をもつ母親として一時期は子育てに専念した時期もあったそうですが、地域に根付いた暮らしを送るため、母親クラブや親子リトミックを立ち上げるなど、精力的に活動していたそうです。

「今までは勤めに出ていたので、会社など組織と繋がることが多かったのですが、日出町での暮らしは人や町と直接繋がるような感覚です。『ないなら自分で作ろう!』という感じで、何かに突き動かされるような気持ちで動いていましたね。」

日出町に来て、地域と関わることや自然の豊かさに日々癒されているという梶原さん。「日出町っていいよね」と町のことを褒められると自分のことのように嬉しくなるそうです。

Kamenosはどんな色にも染まる場所。

kamenosの店内には、ギャラリーはもちろん、カフェスペースや宿泊場所など、至るところに大分県在住の陶芸家や木工作家の作品が取り入れられています。kamenosの森から切り出した木を使って器を作ってもらうなど、ここならではの取り組みも。様々なことに挑戦してきた梶原さんが今後の展望を語ってくれました

「まだまだやりたいことはたくさんあるんです。宿泊をもっと活用したり、地元で活躍する人を呼んでみんなでお話を聞いたり。ここはいろんな色に染まる場所だと思っているので、関わる人、訪れる人によっていろんな色に変わればいいなと思います。」

最後に

結婚を機に移り住んだ日出町で地域と向き合う梶原さん。誰よりも地域のために動く姿に、日出町の魅力を見い出した方も多いのではないでしょうか。可能性を秘めkamenosでこれからどんなことが繰り広げられていくのか、今からわくわくしています。日出町に移住したい、大分の魅力に触れたい、人と繋がりたい方はぜひ、kamenosを訪れてみてくださいね。

WRITER 記事を書いた人

青木 奈々絵

大分県杵築市へ移住。地域おこし協力隊として移住支援活動を行う。国東半島に伝わる七島藺(しちとうい)に惹かれ、工芸の技術を習得し、杵築七島藺マイスターとしても活動している。農家民泊の開業を目指して、築150年の古民家をセルフリノベーションに奮闘中。

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