大分移住手帖

異国の地で週末農家。村人たちの優しさに恩恵を受けながら、思い描いたスローライフを送る。

fujiwara

取材者情報

お名前
ファン・クアン・ラム
出身地・前住所
出身地:ベトナム ホーチミン
前住所:埼玉県さいたま市
現住所
大分県姫島村
年齢
29
家族構成
職業
株式会社Ruby開発

平日は会社で働き、休日は畑で野菜作り。奥さんと2人、自給自足をしながらゆっくりと日々を送る。異国の地で憧れのスローライフを叶えた人が、大分県姫島村に暮らしていました。

ベトナム生まれのファン・クアン・ラムさん。奥さんと共に日本へ渡り、田舎暮らしに憧れて、たどり着いた姫島村。仕事も趣味も充実し、「旅行に行かなくても良いと思うくらい、この島が好き」と満面の笑みで話すラムさん夫妻の、理想的な離島ライフをご紹介します。

技術力の高い日本に憧れて。

ラムさんは高校卒業後、環境科学を学ぶためベトナムの大学に進学しました。ところがベトナムの大学の雰囲気が合わなかったことから、憧れがあった日本への留学を検討。

そこで友人から紹介されたのが別府市にある「立命館アジア太平洋大学」でした。

「ベトナム人にとって日本は真面目で勤勉なイメージがあり、技術力も高い。だから日本にはとても良い印象を持っていました。友人に教わった立命館アジア太平洋大学はちょうど奨学金制度を使えたこともあり、進学することに決めたんです」

2010年、留学を機に訪れた大分県。

暮らしていく上ですっかり大分に魅了され、そのまま県内に住むことを決めたのか…と思いきや、姫島村へたどり着くのはまだ少し先の話でして。

「卒業してからは一度ベトナムに帰国して半年ほど会計監査の仕事に就いていました。このとき妻に出会ったのですが、仕事自体は面白くなくて。日本へ戻ろうかと考えていた矢先に、帰国する前に受けた日本のIT企業の内定の通知が届いたんです。それでその日本企業へ転職することにしました」

ベトナムで一度は就職をするも、もともとプログラミングにも興味があったというラムさんは、東京の会社でウェブ開発の仕事に就くことになりました。

日本に戻ってからは、やりたい仕事ができ、順調な生活を送っていたラムさん夫妻ですが、2人には暮らしの上での悩みがあったそうで。

それが「理想の田舎暮らしが実現できないこと」

当時ラムさんが住んでいたのは埼玉県。2人の出身地であるベトナムのホーチミンよりは田舎だったそうですが、ラムさんの理想は「海や山に囲まれた自然の多い田舎で野菜作りをしながら暮らすこと」

そうして、移住先と合わせて転職活動も始めることになったのです。

 田舎×IT×暖かい場所は??

学生時代に暮らしていた九州に戻りたいという気持ちもあったと話すラムさん。次に住むならば、

  • 野菜作りができる田舎であること
  • プログラミング言語「Ruby」を扱うITの仕事ができること
  • 暖かい場所であること
  • 豊かな自然があること

という4つを条件に、九州に加え、島根や鳥取、岡山など中国地方なども候補に入れて移住地を探していました。

そんなある日、ラムさんが目にしたのが、2019年3月に大分県姫島村で開催されたRuby言語をテーマにしたセミナー。

これを主催したのは、Ruby言語を使いアプリケーション開発を行う「株式会社Ruby開発」。2018年から「姫島ITアイランド構想」で姫島にサテライトオフィスを設けていたのです。

「セミナーを機会に夫婦で初めて訪れたとき、この村の環境が素晴らしくて一目惚れしました。海も山もあり、自然も多く、私たちが理想とする田舎だったので、ここに住みたいと思ったんです」

豊かな自然を持ち、暖かな気候で、さらにRuby言語を扱う会社がある場所。

これぞまさに理想の地!!

さらに「Ruby開発」は、社員のライフスタイルを積極的にサポートしており、ラムさんがやりたいと願っていた農業のサポートを金銭面で支援してくれるうれしい福利厚生も!

ラムさんは、すぐさま「Ruby開発」への転職を決め、この村に移り住むことになりました。

野菜作りをきっかけに、すっかり村の一員に。

移住して早々に、近所の方から無料で畑を借り、ラムさんは念願だった農業をスタート。

休日だけの手入れではまかないきれないほど広い200平米もある畑で、白菜やチンゲンサイといった葉物や、ニンニク、玉ねぎなどを有機栽培しています。

チャレンジ精神旺盛なラムさんは、自己流の栽培方法を試みて失敗することもあるそうですが、それもなんだか楽しそう。採れた野菜は友人たちにも送ってあげているのだとか。

そんな移住してきた夫妻が試行錯誤しながら畑を耕している姿を見て、近所の人たちがアドバイスをくれることもしばしば。

さらにアドバイスだけでなく、嬉しいプレゼントをもらうこともあるそうで。

「畑をしていますが、島の人から野菜や魚をいっぱいもらえるんです。だから数週間スーパーに行かなくても良いなんてときもありますよ(笑)」

ラムさん夫妻は、姫島村に暮らす唯一の外国人だそうですが、日本語ができることもあって、村の人とも仲良し。一緒に飲みに出かけることもあると言います。

「私はお酒を飲むのが好きなので、奥さんも一緒に村の集まりにはよく参加しています。それに私の友人が遊びに来るときは、村の人にお願いをして交流会を開いてもらったりするんです。地元の人と話すことができるのが、私も友人たちもうれしいんです」

遊びにきてくれた友人たちには村の景色の美しさだけでなく、村人たちの人柄や姫島村が紡いできた文化も感じてもらいたいと交流会を開いているラムさん。村の人たちも頼られるのがうれしいのか、毎回喜んで交流会を開いてくれるそうです。

 旅行に行くよりも、この島にいたい。

姫島村での暮らしを始めて1年。理想の生活は送れているのかをラムさんに伺いました。

「姫島村に来て毎日がすごく楽しいです。埼玉に住んでいたときは通勤時間が1時間ほどかかっていました。妻も人の多さや周囲の騒音にストレスを感じていました。今はとても静かで、空気もおいしい。私としても会社まで徒歩10分くらいですし、仕事もやりがいがある。不便なこともありますが、それらをちゃんと受け止めて計画的に動けば問題ない。ストレスもたまらないですね。以前は毎週自然を求めて旅行に行くこともありましたが、ここに来てから妻は『旅行に行かなくていい、ここにいたい』って(笑)。それくらい、ここの生活を楽しんでいます」

ストレスフルの生活から、ストレスフリーな生活へ。

地方には不便な点があることも受け止めて、島でのライフスタイルを確立したラムさん夫妻。

この場所から離れたくないと思うほど、暮らしに最適な場所を見つけた2人は「これからは椎茸の栽培もやってみたいし、山登りもしてみたい」と、これからまだまだ島での楽しみを見つけていくことに意欲的。

やわらかく微笑む2人の笑顔が、移住してから手に入れた幸福な暮らしを物語っているようでした。

WRITER 記事を書いた人

fujiwara

大分県大分市出身。「見たがり」「聞きたがり」「知りたがり」の“たがり”精神で活動する、好奇心旺盛なライター。竹田市地域おこし協力隊として移住者支援、空き家バンクの管理・運営に携わった経験を持ち、自身も竹田市に小さな空き家を購入。大工さんと二人三脚でリノベーションを行い、現在は収益物件として賃貸中。大家さん業で一攫千金を夢みるも、うまくはいかない今日この頃。

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