大分移住手帖

都会への憧れを捨て、嫁入りしたのは小さな離島。新米ママが感じる島での子育てとは。

fujiwara

結婚、出産、育児。女性にはキャリアを大きく左右すると言われるライフイベントがあります。そんなライフイベントをきっかけに、離島・姫島村へ移住することになった女性が今回の主人公です。

都会への憧れを持ちつつも美容師として忙しく働いていた谷舞香さんは、姫島村で暮らす旦那さんと結婚。仕事を辞め、都会とは真逆である地方の離島へと移り住むこととなりました。

「不便なところは一つも感じない」と田舎暮らしにすっかり慣れた様子ですが、妊娠がわかったときには島での子育てについて悩んだり、不安に感じたこともあったそう。

離島へ嫁入りし、家庭を持つこと、そして子育てをしていくこと、そのリアルな話を聞くため、谷さんに会いに行ってきました。

家族からも「意外」と言われる、田舎暮らしの選択。

 

待ち合わせ場所に現れたのは、島人とは思えない、ギャル!

いかにも最近の若者というオーラを纏った可愛い女性が、これまた愛らしい子どもを抱いて登場してくれました。

島民の約4割が65歳以上という村にこんな子がいるのか…!と、面食らいつつも、取材はスタート。

大分市出身の谷さんは、夢だった美容師の職につき、一人前のスタイリストとして活躍するために毎日ハードワークを続けていました。そのころ友人の紹介で知り合ったのが、姫島村出身の旦那さん。

消防士をしている旦那さんは、当時姫島村の出張所に勤務をしていたそうで、交際をしていたときから、谷さんはちょくちょく村へ遊びに来ていたのだとか。

「もともとスタイリストとしてキャリアを積んで自立できたら、都会に出ようと思っていました。でも旦那と出会い、村へ遊びに来てみると、すごく良い場所だなと思って。義理の父、母も優しいですし、ご飯も美味しかったので、ここに住んでも良いなぁと考えるようになりました」

1年半の交際を経て旦那さんと結婚。姫島村へ移り住むことになった際、谷さんのご家族は「せっかちな性格の舞ちゃんが田舎でのんびり暮らすなんて信じられない!」と驚いていたそうですが、家族の心配をよそに「離島へ嫁ぐことへの抵抗はまったくなかった」という彼女。

実際に住んでみてからも「不便に思うこともないし、田舎暮らしも余裕でしたね」と、描いていたライフプランとは大きく異なったけれど、順風満帆な生活を送っていたそうです。

ところが移住して1年後、あるライフイベントの到来により、谷さんに気持ちの変化が訪れます。それが妊娠。離島で子どもを生み、育てていくということへの不安が出てきたと言います。

産婦人科も小児科もないけれど。メリットも大きい島での子育て。

子どもが生まれたら自ずと考えることとなる、子育ての環境。谷さんは、のんびりとした時間が流れる姫島村でのびのびスクスクと育てていくことにメリットを感じる一方で、高校がなかったり、塾がなかったりと教育環境でのデメリットも実感するようになってきたそうです。実際に離島で子育てをする谷さんに、島での子育て環境のリアルを伺いました。

<デメリット:子育て・教育関連の選択肢が少ない>

産婦人科や小児科がない

姫島村には産婦人科も小児科もありません。一番近い産婦人科は杵築市。そのため出産時や検診時は島外へ出るしかないのです。とはいえ、村には内科があるので、熱くらいであれば受診することもできるのだそう。

スーパーに離乳食がない

村内にあるスーパー『はなだ』が谷さんのお気に入り。ですが、スーパーにはミルクや離乳食の扱いがありません。そこで谷さんは島外に出たときにミルクやおむつなど必需品を買い溜め。また旦那さんが現在国東市の消防署に勤務していることもあり、帰宅時に買って帰ってもらうことなどができるため、不便さは感じていないのだとか。

同年代のママ友がいない

「4月に娘が生まれてから半年くらい村で出産した人がおらず、子どもの同級生はもしかしていないんじゃ!?という不安はありました(笑)。結局、同級生は娘を入れて6人いますが、同年代がいないのは少し寂しいですね」

教育の多様化に対応できない

「子どもが大きくなって、英会話やピアノ、そろばんなど習い事をさせたいと思っても、島では習う場所がなくて。今はオンラインでもオフラインでも学ぶことができるという多様性の中で、自分に合ったものを選んで欲しいのですが、それができない。のびのび生活させることはできるけれど、選択肢が少ないというのは悩みですね」

 <メリット:地域で子どもを見守る環境>

子育て関連の充実の助成制度

出産祝い金として、一人生まれたら10万円、二人目で20万円、三人目以降は30万円を支給があるほか、保育料無料や、子どもの医療費を15歳まで助成する制度もあり、子育てに関する助成制度が充実しているところがうれしいポイント。

先生の目が一人ひとりに届く児童数

「もしイジメがあったとき、児童数が多い学校では先生の目が届かなくて気づかなかったり、親も知らなかったりすることがあるのではないかと思っています。でも、村は児童が少ないですし、先生も親も子どもたちにしっかり目が届く。それに義理の姉は子どもの帰宅が遅くて心配になるという話もありましたが、村の人は子どもの帰りが遅くても『どこかにおるやろ』って(笑)。何かあっても情報が入ってきますし、地域の人が見守ってくれている環境が良いですよね」

待機児童ゼロ

「大分市内に住んでいる友人たちのなかには保育園に入れないと悩む人も。でも島は待機児童がいないので、預けられないという心配はありません」

谷さんに離島で子育てをすることのメリットとデメリットを伺いましたが、デメリットに関しては、姫島村だけでなく他の離島や地方でも抱えていることです。

谷さんも「ここで暮らすことを決めたから、デメリットがあることは仕方ない」と今ではすべてを受け入れて、島だからできること、島だから子どもにさせてあげられることを楽しもうというマインドに変わっていったと話します。

足りないすべてを受け入れて、ここで暮らす。

「村のケーブルテレビで小中学校で塾が始まったというニュースが流れたんです。選択肢は確かに少ないけれど、でも悪いことばかりではない。結局何を選択するかですよね。私はここに嫁いで、ゆっくり時間がすぎる村の生活を楽しんでいますし、地元の大分市内に戻りたいとは思わないんです。もっとスローライフを楽しみたいので、これからは子育ても頑張りつつ、畑仕事とかも挑戦してみたいですね」

都会であろうと地方であろうと、どちらで暮らしたとしても双方にメリットとデメリットは必ずあります。

離島で暮らすことのデメリットを知った上で、それを受け入れ、選択肢の一つとして前向きに捉えることができたならば、それはきっと幸せなこと。

谷さんも離島に嫁入りし、ここで家族と暮らしていくと決めたからこそ、子育て環境の足りない部分も受容し、逆にここにしかないメリットのありがたさを感じながら暮らしているように思います。

子どもが生まれてまだ1年目の谷さん。これから先、子どもの成長とともに知る島での生活の喜びが、谷さんファミリーの日々をきっともっと豊かに彩っていくはずです。

取材者情報

お名前
谷 舞香
出身地・前住所
大分県大分市
現住所
大分県姫島村
年齢
20代
家族構成
夫、娘
職業
主婦
WRITER 記事を書いた人

fujiwara

大分県大分市出身。「見たがり」「聞きたがり」「知りたがり」の“たがり”精神で活動する、好奇心旺盛なライター。竹田市地域おこし協力隊として移住者支援、空き家バンクの管理・運営に携わった経験を持ち、自身も竹田市に小さな空き家を購入。大工さんと二人三脚でリノベーションを行い、現在は収益物件として賃貸中。大家さん業で一攫千金を夢みるも、うまくはいかない今日この頃。

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