取材者情報
- お名前
- 山崎誠
- 出身地・前住所
- 大阪府
- 現住所
- 大分県臼杵市
- 年齢
- 46歳
- 家族構成
- 妻・子供1人
- 職業
- 農家
- https://www.facebook.com/yomoyamaya
今回取材させてもらったのは大分県県南にある臼杵市にUターンした山崎誠さん。
山崎さんは地域おこし協力隊を経て、自分で農園を持ち、有機農業にて「ほんまもん農産物」を栽培したり、地元のイベント出店や学校給食への野菜を提供していたりと、パワフルに活躍されています。
有機農業に目覚めたのは奥さんの健康管理のため
大分県大分市出身の山崎さん。大阪・東京と点々と拠点を変えながら生活をしていく中で、今の奥さんと出会いました。奥さんのアトピーをきっかけに自然食やオーガニック野菜・調味料に興味を持った山崎さんでしたが、普通の野菜や調味料に比べて値段が高いことに悩んでいたそうです。
そこで、「自分で作ったほうが安いのではないか」と思い農業の勉強を始めました。
当時「有機野菜」自体、市場にあまり出回っておらず、希少で高価な食材だったそうです。
そのため、全国で数少ない有機農業を行う農家さんへ直接会いに行ったり、奈良県の宇陀市にあるオーガニックアグリスクールに通い、農業について学んだそうです。
有機農業を学べる臼杵市へ移住を決めた
「いつかは大分に帰りたい」と思っていた山崎さんは定期的に大分へは帰っていたそうです。しかし、農業1本で生活していける自信がなく、なかなか一歩を踏み出せずにいたそうです。
そんな矢先に「地域おこし協力隊」制度ができ、臼杵市では有機農業に特化した人を募集し始めた頃、タイミングよく応募した山崎さん。臼杵市に本格的に移住をし、有機農業を師匠から学ぶこととなりました。有機農業を学びながら、生活のための収入を得る手立てができたことで、移住を決めることがきたそうです。
「ほんまもん農産物」専属の地域おこし協力隊
今では各地に地域おこし協力隊の方がたくさんいますが、地域おこし協力隊の多くは地域観光や、まちづくり関係に従事していることがほとんどです。
しかし、臼杵市ではもともと「給食畑の野菜」として無農薬野菜を作っていたこともあり「有機農業」に特化した枠を作ったそうです。
臼杵市野津町で長年農業をしている方のもと、農業について学びながら実際自分でも育てながら学ぶことができます。また、地域おこし協力隊の場合、ほんまもん農産物のPRとして東京に出店することもあるそう。
ほんまもん農産物ってなに?
「ほんまもん農産物」とは臼杵市が認定した有機野菜のこと。この承認をもらうには土壌検査栽培歴等の申請が必要です。もともと臼杵市では「給食畑の野菜」として、小学校に出す野菜を無農薬で育てていました。それを新しく「ほんまもん農産物」としてリブランディングしたそうです。基本的に自分で販路を探しますが、大分のデパートやふるさと納税の返礼品などと連携して野菜を販売していることが多いそうです。
地域おこし協力隊を経て自家農園「yomoyamaya」を起ち上げ
地域おこし協力隊は、3年で満期を迎える制度です。そこに残って起業したり、住み着いたりする人も少なくありません。
山崎さんも満期3年を迎え、今では自分で畑付きの家を借り、自家農園で「ほんまもん農産物」を栽培しています。また、yomoyamayaでは加工品も制作しており自家農園で作った野菜を使ったお菓子や、ポップコーンなどをメインに作っています。
地域おこし協力隊卒業後、山崎さんは主に大分市内で行われているマーケットへの出店や臼杵市内のレストランなどに野菜を出荷しているそうです。マーケットで出会った飲食店さんと連携を取り、取引を行うこともあるそうで、収入ももちろんですが、先々での「出会い」も大切にしているのだとか。
理想の家探しは知合いづてで
田舎にはマンションやアパートが少なく、一軒家の空き家を探す人が多い中、市では「空き家バンク」という取り組みをしているところも多々あります。
山崎さんの場合「土がよく、畑付きの家」という条件で探していたそうで、空き家バンクだけでなく、会う人会う人に「こんな家を探しているんです」と言って回ったそうです。良い家があっても契約直前で「やはり貸すことはできない」と断られることもあり、なかなか家が見つからず、地域おこし協力隊の満期ギリギリのところでようやく家が決まったそうです。
自然な子育てができるのも田舎の良いところ
都会と田舎での子育てでは環境や子どもの人数などの面で状況が異なるため、自分のしたい子育てが合う環境に行くのが良くある事例。山崎さんの場合、自然と触れ合わせる自由な子育てに興味があったため、今の場所で違和感なく生活できているそうです。
自然に触れ合うことで野草を食べてみたり、近くに落ちているものに興味を持ったりしてきたと言います。さらに、動物にも触れ合う機会が多いため、動物も好きになったそうです。
また、地域の人との交流も近いため、山崎さん夫婦がイベント出店する際に近所の方の家で子どもの面倒を見てもらっていることもあるそうで、地域全体で子育てをしている環境も田舎ならではと感じました。
特に都会に住んでいて、田舎へ移住しようと考えている人は、都会と田舎のギャップについていけない人がいるので、どういった環境でどんな人が住んでいるのか知ることで不安が軽減されるそうです。
田舎に行けば行くほど自治体の役や出ごとが増え、地域の人とのコミュニケーションも大切になってきます。気づくと「自分イメージしていた生活はどこへやら…」とならないように、どんな生活をしたいのかと言うパターンを10ぐらい持っておけば、この1つはだめだったからもう1つのことをしてみようと考えられて、気が楽になるそうです。
最後に
自然豊かな場所で暮らすにはあらゆる課題がありますが、どのようにしてうまく付き合って行くかを考えつつ、楽しんで生活している様子が伺えました。奥様のために「無農薬の野菜を育て、大自然で子育てをする。」という強い想いが成し遂げた移住だなと感じました。無農薬野菜の他にも商品開発にもこれから力を入れていくそうで、目が離せません。