大分移住手帖

別府市の魅力を地元の人と一緒に広めたい。別府愛が止まらない‘‘別府の一休さん‘‘の移住生活

Tomoe Sato

取材者情報

お名前
花田潤也
出身地・前住所
熊本県上益城群御船町
現住所
大分県別府市西野口町
年齢
41歳
家族構成
妻・長女(9歳)・次女(7歳)・長男(3歳)
職業
ゲストハウスオーナー
Facebook
https://www.facebook.com/junya.hanada.52
Instagram
https://www.instagram.com/beppu193/

JR別府駅西口から出て徒歩5分ほどの距離にあるゲストハウス In Bloom Beppu。趣のある古民家が迎えてくれます。

In Bloom Beppuの宿主である花田潤也さんは熊本出身ですが、無類の別府市好きで有名です。ピンクの作務衣に坊主頭ということもあり、地域の方からは親しみを込めて‘‘別府の一休さん‘‘と呼ばれています。

今回は熊本県からの移住者である花田さんと、 In Bloom Beppuの魅力をご紹介します。

 

熊本地震を機に憧れの別府へ移住し‘‘別府の一休‘‘に

In Bloom Beppuの玄関

 

別府市民から愛されている‘‘別府の一休さん‘‘こと花田さんですが、別府市を好きになったきっかけからお聞きしました。

 

別府市に惹かれたきっかけは温泉の泉質の違いや食事のうまさ

花田さんは熊本県の御船町という場所で生まれ育ちました。実家の家業を継いで、結婚しお子さんにも恵まれ順風満帆な生活だったそう。そんな花田さんと別府市との縁の始まりは2005年。当時お付き合いしていた今の奥様とともに訪れたことだったそうです。

花田:最初は温泉目的で明礬の温泉宿に泊まりました。人前で裸になることに抵抗があり、温泉があまり好きではなかったので、家族風呂に入りました。気持ちよかったけど驚くほどの感動はありませんでした。その後2009年に妻の好きなアーティストのコンサートに行くため再度別府市を訪れ、Hotel芙蓉倶楽部(※現在の別府風雅)に泊まり温泉に入ったところ、以前入った明礬温泉の色と全く違うことに驚きました。そして、タクシーの運転手さんにおすすめの飲食店を尋ねて連れて行ってもらったお店で食べた魚が美味しすぎて‘‘なんやこれ!うまいね!別府やばいね!‘‘と驚きの連続でした。僕魚がめちゃくちゃ好きで熊本の天草の魚が日本一美味しいと思っていたんですけどね(笑)

帰って調べると別府市は食の宝庫であることや、温泉の泉質が全部で10種類あるうちの7種類が別府市にあると分かりました。それからというもの、何度も別府市に通い、色んな泉質の温泉に入ったり、北浜に行って飲んだりするようになり街歩きにも参加するようになりました。

別府市の温泉は「別府八湯」と呼ばれる八か所の温泉地の集合体で、それぞれ泉質など特徴が異なります。別府温泉と一言で言っても実はとっても奥が深く、場所によっても楽しみ方が違うと花田さんが教えてくれます。

師匠である土谷さんとの出会い

花田さんは別府市をもっと知りたいと調べるうちに、別府市の温泉界で「温泉のカリスマ」とも謳われる存在の‘‘土谷雄一‘‘さんと知り合い、温泉はもちろん、温泉だけではない別府市の魅力に強く惹かれるようになったそう。

花田:「温泉のカリスマ」と呼ばれる土谷さんの存在を知り、会いたくなって職場を調べて突き止めたんです(笑)。そして別府市を訪れた際、夜9時という遅い時間でしたが突然押しかけました。

‘‘熊本から来た花田ですー!いつもブログ見させてもらっています!‘‘

と急に押しかけたにも関わらず土谷さんはどうぞどうぞと中に入れてくれて色んな話をしてくれました。最後には‘‘別府に来るときはいつでもおいで‘‘と言っていただいて本当に感謝しています。今の僕があるのは土谷さんのおかげなので師匠でもあり恩人でもあります。

 

土谷さんとガストロノミーウォークというイベントにて

 

花田さんは土谷さんの別府市への熱い思いに感銘を受け、憧れを抱くようになったそうです。別府市へ通う内に、土谷さん以外にも地元の人とのつながりが増えていき、移住したいと思うようになりましたが、家族の暮らしや仕事のことを考えると決断できず、老後に移住しようかと漠然と思っていたそう。

そんな中、花田さんは2016年に熊本地震を経験します。震源地の隣町に住んでいたことから被害も大きく、大変な経験を乗り越える中で夢を追いかける大切さに気づいたそうです。退路を断って別府市へ移住することを決断しますが、奥様は3人目のお子さんを妊娠中でありお仕事もされていたため、花田さんは単身別府へ移住することに。別府市に通いだしてから約10年の月日が経った頃でした。いつか家族を別府市に呼び寄せたいと頑張っているそうです。

歴史ある古民家に導かれて

花田さんは別府市の歴史を感じられるような古民家でゲストハウスを始めることを決意します。なかなか希望にあう物件が見つからない中、現在In Bloom Beppuを経営している古民家に導かれるように出逢います。

 

In Bloom Beppu  外観

 

花田:別府市で色んなゲストハウスやホテルに泊まったけど誰も別府市のPRをしていないことが気になっていました。地元の方なのにどうして良さを直接伝えないのか、もちろんパンフレットなどたくさんありますけどそれだけじゃ良さは伝わりません。

そこで観光業が盛んな京都などに赴き、何件か宿に泊まってみました。その中で「これだ!」と思ったのが町案内がセットでついているゲストハウスです。僕は色々な人と交流ができるゲストハウス自体は好きだったのですが、ゲストハウスやドミトリーによくある二段ベッドで知らない人と一緒に寝るという環境が苦手でした。そこで、個室に泊まってもらっても、僕が橋渡し役となり、色んな人と交流ができるようにしたいと考えました。

別府市は高級別荘地として花開いた時期がありましたが、今や多くの建物が姿を変えてしまっています。そのため、当時の古民家を宿として再生させることで別府市の歴史を知ってほしいと思い古民家を探しに不動産屋を回りましたが、なかなか見つかりませんでした。そんな中たまたま地元の方に紹介していただいたのが今のIn Bloom Beppuの物件です。

 

In Bloom Beppu客室

 

In Bloom Beppuの古民家は、満州で材木商として財を成した廣瀬氏が戦時中に建てた別荘です。一流の棟梁が木材を贅沢に使い近代和風建築として建てられました。戦後は米軍の幹部将校の宿舎として利用され、その後個人の手に渡り、今は花田さんが管理されています。

 

縁側

 

そこであるエピソードとして花田さんが教えてくれたのがIn Bloom Beppuとして営業開始した頃、突然一人の高齢の女性が訪ねて来られたそうです。お話をお聞きしたところ、このお家を当初建てた方のお子さんとのこと。周りの風景も昔とはずいぶん変わってしまいましたが、偶然通りかかっことで気づき、綺麗に保たれていることに感動され記念に写真を撮ったそうです。

開業してまもない頃に最初の持ち主であるご家族が偶然訪れるなんて、何やら縁を感じる出来事ですね。

 

門扉

 

コンシェルジュでもある花田さんが、好みに応じて観光プランをカスタマイズしてくれる

In Bloom Beppuの特徴ともいえるのが、宿主である花田さんがコンシェルジュとなり別府市を案内してくれることです。

花田:地域に根差したゲストハウスなので、温泉なし食事なしの完全素泊まり宿です。その代り別府マニアの宿主がコンシェルジュとなり信頼で繋がった地元の飲食店や現地の人をご紹介します。温泉マイスターでもあるのでお客様に合った入浴施設をご案内しています。何なら、一緒にお酒やお食事、ガイドをしながら一緒に観光、温泉に入浴など他のお宿では真似できないサービスを提供しております。

 

In Bloom Beppuでの飲み会

 

一緒に観光や食事、そしてお風呂まで同行してくれるコンシェルジュは花田さん以外別府市ではいないのでは?一緒に同行するなんて・・と思われるかもしれませんが、もちろん希望に応じてご案内のみのことも可能です。ただ、花田さんの不思議な魅力にきっとあなたも引き込まれるはず。コンシェルジュとしても一流ですので、町案内だけでなく花田さんの明るい人柄や話についつい聞き入ってしまい、満足すること間違いなしです。

 

ニュージーランドからのお客様と一緒に

 

ちなみに、In Bloom Beppuは外国のお客様が多いそうで、その方の国柄によって案内する場所を変えるそう。例えば、ヨーロッパ系の方は自然の多い場所を好むため、内成棚田を案内するとのこと。日本人は温泉目的の方が多く、温泉の温度や、硫黄の匂い、色、ロケーションなど、さまざまな希望に応じてベストな場所を案内してくれるそうです。地元の体験をしたい方には、共同温泉や食堂に案内すると「これを求めていました!」と喜ばれることも多いとか。また観光客の方が地元の場に抵抗を感じることが無いように伝え方にも工夫をしているそうです。

花田:いきなり共同浴場に連れて行っても驚くと思います。共同浴場の礼儀として脱衣所やお風呂で最初と最後にご挨拶をすることや、お風呂の縁に座らない、シャワーがないので体や頭を洗ったお湯が入らないように注意するなど色々ルールがあるんですけど、伝え方を間違えると面倒に思われることもあります。そうならないように、僕のようなコンシェルジュが間に入って抵抗なく利用できるように手助けしたいです。

別府市の共同温泉は地元の方が長年使っている、いわば生活場でもあります。ルールを守れば誰でも利用できる温泉ですが、いきなり入るのはやはり抵抗がありますよね。そんな時に花田さんが一緒に行ってルールを教えてくれることで、地元の方と交流したり温泉を楽しむといった貴重な体験をすることができます。

 

別府市はただの温泉観光地ではない

別府市の魅力は温泉だけでなく「人」にあると花田さんは言います。

花田:別府市は明治以降に楠港(くすのきこう)という港が開かれ、そこで海の向こうから四国や広島などの県外の人々がやってきて切り開いていったという歴史があります。だから別府市は他県の人でも受け入れる風土があると思います。温泉があるから観光客は訪れるし、別荘地としても栄えたし、戦前から海外の旅行客が来たり、戦後は進駐軍など、とにかくいろんな文化が入ってそれを受け入れてきました。

僕だって「別府の一休です」なんて言っても誰も怒らない。むしろ「面白いなお前」って笑ってくれるのが別府市の人。熊本じゃきっとそうはいかないと思います(笑)

別府に通う10年間の間に色んな人によくしてもらって愛情をたくさんもらいました。だからこそ、温泉地としての別府市の側面だけでなく、人や歴史、美味しい食べ物など様々な魅力を知ってもらいたいですね。

 

町案内の資料とともに色んな人が作ってくれた花田さんグッズも

 

In Bloom Beppuでは有名な観光地の案内だけではなく、地元の方と触れ合えるような場所や街歩きなどをおすすめしてくれます。現在では町内の自治会の役員や神社の総代も務める花田さん。地元の人と繋がれるのが何よりも嬉しく、地元の人と共に別府市を盛り上げたいと常々考えているそう。

 

誰でもウエルカム。Uターンの方から移住の相談を受けることも

花田さんが土谷さんをはじめ別府市在住の方を頼って移住してきたように、現在では花田さんのもとに、移住者や別府市出身であるUターンの方からの相談もあるそうです。

花田:基本誰でもウエルカムです。Facebookやメールで結構相談がきます。Uターンだけど、別府市にあまり詳しくないからと相談を受けることもあります。

少し前に別府市から東京に出て結婚したけど、おじいちゃんが亡くなったこともあり帰ってきたいという男性がいて、地元のことをよく知らないから花田さんに魅力を教えて欲しいと相談を受けました。

彼が別府市に来た時に、地元の人しか通らないような路地や、ワンコインのご飯屋、共同温泉に連れて行ったりしました。彼は共同温泉に慣れていないこともあり、まずは温泉にいた地元の人に一緒に挨拶をして、‘‘(お湯が)熱いやろー‘‘、‘‘熱いっすねー‘‘なんて話してたら、他の地元の人が‘‘もう少ししたらここの主が来るけんちょっとまちよー‘‘となり、しばらくするとその人が現れて‘‘ぬりー(ぬるい)‘‘と更にお湯を足すんですよ。‘‘もう無理やねー(笑)‘‘って彼に話してその日は出ましたね。

色々地元の体験を教えて今や彼はこっちに戻ってきて自治会に入ってコーラス部にも入ったりして、すっかり別府市の地元民になっています。

僕自身土谷さんに出会って今があるので、今度は僕がそういう役目を担っていくという責任感もあります。別府市の表からみるきらびやかな部分だけではなく、気になるところも全てひっくるめて

「やっぱり別府っていいよね」

というところで共感してもらえたらいいですね。別府市にはお試し移住の制度も充実しているので、一度長期間滞在してじっくりこの町を知って欲しいと思います。移住を考えている方はいつでも相談にのるので連絡してきてほしいです。一緒に別府をもりあげましょう!

 

別府溝部学園での講義にて

 

別府市には地元の方はもちろん、立命館アジア太平洋大学などの学校もたくさんあり学生さんも多くいます。花田さんは地元の方との繋がりを広げるとともに、観光に携わる学生さんとも交流があることからさまざまな年齢層の人の、橋渡しの役にもなりたいと考え活動を行っています。

 

花田さん

 

最後に

大地震を経験したからこそ、いつかは実現したいと胸の奥にしまっていた別府市への移住を実現した花田さん。ただし夢を実現することは容易いことではなく、家族をはじめ支えてくれた多くの人の協力があってこそでした。

旅館のように美しく趣のある古民家に、明るく別府愛にあふれた花田さんが待つIn Bloom Beppu。一度訪れたらきっとリピーターとなり、花田さんにそして別府市の人々にまた会いたくなるそんな魅力がつまった旅になるはずです。

花田さんはこれからも地元の人と触れ合う機会を大切に、一緒に別府を盛り上げていきたいとさまざまな活動を繰り広げていくそうです。最近はディープな別府を楽しめるオンラインツアーも好評なんだとか。

移住を悩んでいる方は、まずは花田さんを訪ねて観光地ではないリアルな別府市を味わってみてはいかがでしょうか?

PHOTO

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WRITER 記事を書いた人

Tomoe Sato

大分生まれ、大分育ちの根っからの大分人。現在は子育てをしながら趣味の延長線でライターとして活動している。

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