大分移住手帖

父親の想いを引き継ぐために湯布院へ。ゼロから湯布院屈指の人気店へと育て上げた移住ストーリー。

Tomoe Sato

取材者情報

お名前
菊池武久
出身地・前住所
福岡県小郡市
現住所
由布市湯布院町
年齢
38歳
家族構成
妻、長男(11)、次男(9)、長女(4)
職業
鞠智オーナー
Webサイト
https://cucuchi.jp/
Facebook
https://ja-jp.facebook.com/cucuchiyufuin
Twitter
https://twitter.com/cucuchiyufuin
Instagram
https://www.instagram.com/cucuchi.official/?hl=ja

おんせん県で知られる大分県の中でも屈指の人気を誇る温泉地「湯布院」のメインストリートに店舗をかまえる、和洋菓子店「鞠智(くくち)」。日本の古き良き趣がありつつも古めかしさを感じさせない外観に、店頭から香ばしく甘い匂いが漂ってくる鞠智は、今では多くのお客さんが訪れる人気店の一つです。オーナーである菊池武久さんは、福岡県出身で大学卒業後は東京でサラリーマンをしていましたが、湯布院で事業を始めるために移住されてきました。

菊池さんがゼロから鞠智を今の人気店へと育てあげるまでのお話や、湯布院への移住後の生活についてお聞きしました。

父親の想いを引き継ぐために湯布院へ

湯布院で鞠智を開業するまで、東京でサラリーマンとして働いていた菊池さん。湯布院へ移住されるまでどのように暮らしていたかお聞きしました。

 

菊池:出身は福岡県の小郡市です。父が湯布院が好きだったので子どもの頃は年に1~2回ほど湯布院を訪れては亀の井別荘に泊まっていました。ただ当時はまだ子どもだったので、退屈であまり楽しくなかったという記憶があります(笑)。

東京の青山学院大学へ進学しそのまま東京で就職しました。サラリーマン時代は今より休みが多く、仕事とプライベートをしっかり分けることができていた様に思います。

 

東京にいた頃の菊池さん

 

 

福岡県から上京され、ずっと都会で暮らしていた菊池さんですが、働き始めてまだ間もない頃、大分県へ移住するきっかけとなる出来事が起きます。

 

菊池:東京で働き始めて一年半ほど経った頃に、福岡にいる母が病気になり地元の近くに戻ることにしました。その時に、以前から湯布院が好きだった父が何か商売をしたいと考えていたところ、今の鞠智の土地が売却され購入できることになり、

 

「何かやってくれ」

 

と言われ私が引き継ぐことになりました。25〜6歳の頃に湯布院へ移り、お店を始めて方寸さんが作るおにぎりを置かせてもらったり栗まんじゅうを売ったりしていましたが、最初の方は客足が悪かったですね。そこで新商品を作るため試行錯誤を重ねてできたのが今人気のどら焼きやコンフィチュールです。

 

湯布院が好きだった父親の想いを引き継ぎ事業を始めた菊池さん。鞠智という店名は菊池の古い呼び名からきているそうです。

「ふるいもの」を「あたらしいもの」へ

caption:鞠智店内

 

今や鞠智は、地元の方を始め海外の方まで多くのお客様が足を運ぶ、湯布院の中でも屈指の人気店です。そんな鞠智の特徴やコンセプトをお聞きしました。

 

菊池:鞠智のコンセプトは‘‘どこにでもあるけれど、どこにもないもの‘‘です。商品としてはどら焼きやスイートポテト、ジャムなど、どこのお店にも置いてある馴染み深い商品ですが、一口食べてみるとどこにもない味わいを感じることができる商品を置いています。また、商品は一つひとつ手作業で、地産地消にこだわり、包装も温かみのあるものをご用意しております。

全て手作りしているどら焼き

 

どら焼きはふわふわの厚い皮が特徴的で、中に挟まれる甘さ控えめの餡がよく合います。季節に応じて作られる新商品は、通う度に新しい味わいを届けてくれます。また鞠智は商品だけでなく、店の外観にも特徴があります。

 

菊池:鞠智の建物は飛騨高山の古民家を移築して作りました。古民家を一度解体しカタチを変えながらも、古材がもつ温かい風合いが感じられるよう新しく建て直したものです。商品と同じように、歴史あるものを残しつつも新しさを感じられるお店にしたいと思っています。

鞠智外観

 

高級旅館のような外観は、前を通るとつい足を踏み入れたくなる雰囲気があります。開店当時から内装を少しずつリニューアルしており、菊池さん本人がDIYをすることもあるそうで、そのためにDIY専門店に足を運ぶこともよくあるんだとか。

また、大分県には訪問先にちょっと持って行く「おもたせ」のような商品が以前は少なかったそうで、パッケージにもこだわっている鞠智の商品はおもたせにぴったりだと買いに来られる方が多いそうです。

店頭に並ぶどら焼

 

ちょっと欲しいものがすぐ側にない不便さ

東京から大分県の湯布院へと移住してきた菊池さんですが、生活面などで大変に感じたことをお聞きしました。

 

菊池:湯布院は観光地ですので観光客向けのお店は多くありますが、それ以外のお店はあまり多くありません。そのため、衣料品や電化製品などちょっと欲しいものがあっても、大分市や別府市まで移動する必要があるのは大変だと感じました。後は本屋めぐりが好きなのですが、湯布院には本屋がないのも不便です。欲しいものがある時は車で出かけるか、あとは主に通販を利用しています。

鞠智前の湯布院メインストリート

 

山々に囲まれた盆地である湯布院は、市街地を一歩でると自然が広がる環境です。市街地には観光客向けのお店や日常生活用品を扱うスーパーなどのお店がありますが、品揃えは大分市などの都市部に比べるとやはり劣る部分があります。車があると大分市・別府市にもアクセスしやすく、1時間前後で訪れることができますが、冬場の山道は凍結するため冬用タイヤやチェーンの準備が必要です。

 

何気ない日常に四季を感じる幸せ

仕事のために湯布院へ移住することになり、当初は移住生活を満喫するどころではなく仕事だけで精いっぱいだったそうです。移住後に大分県出身の奥様とご結婚されて、湯布院での生活が長くなってきた今、移住前後の生活の変化をお聞きしました。

 

菊池:湯布院に移住する前から、引越しの経験も多かったため移住に関して不安は特になく、当初は仕事中心の日々でした。ただ、最初は大分の方言が強く感じることがあり、普通に会話をしていても「この人、僕のこと嫌いなのかな?」と感じることもありましたね(笑)。

今では湯布院に引っ越してきて、四季の移ろいを間近に感じることができるようになった事が嬉しいです。春の芽吹きや夏に葉が青々と茂るような自然の営みをこれまであまり体感することがなかったため新鮮に感じます。

仕事が休みの日は、なんでもない小道や湯布院の町内を家族でゆっくり散歩をしたり、川にいる天然のグッピーを子ども達と一緒につかまえたりすることが楽しいです。

夕暮れの湯布院

 

湯布院は季節毎に入れ替わる木々の装いや初冬に見られる朝霧など、季節の移ろいを肌で感じることができます。大分弁は聞く人によっては冷たく感じることもあるそうですが、聞きなれると大分県民をより身近に感じることができるかもしれません。その他にも、由布市は中学生以下のお子さんの医療費が無料であることなども、子育て世代として良いと感じることの一つだそうです。

また、菊池さんが今後どのようなことに挑戦していきたいか、また同じように大分県に移住し起業したいと考えている方に向けてアドバイスをいただきました。

 

菊池:今は湯布院と小郡にあるお菓子の工場を今後更に大きくしていきたいですね。後は、大分県以外にも事業を展開していきたいという思いもあるので、ECを含めて頑張っていこうかなと思います。

アドバイスとしては、大分の人は新しい物が好きだと感じるので、新商品を常々提供していくこと。あとは可処分所得が高い方が多いので、デパートの祭事でも地方の中では売り上げがよく、マーケットとしても面白いと思います。

取材中の菊池さん

 

大分県の老舗デパートであるトキハの催事でも人気の鞠智。お店でのお客さんの様子やSNSなどで新商品への関心の高さを感じると言います。また鞠智は他県のデパートから、常設店の出店の誘いがあるそうですが、これまで全てお断りをしているそうです。いつでもできたてを買うことができるのは大分県だけというプレミアム感があります。

 

最後に

最初は土地への思い入れではなく、事業の為に大分県への移住を決断した菊池さん。数多くのお店がひしめく湯布院で、横とのつながりを持たない他県から来た菊池さんが鞠智をゼロから今の人気店へ育て上げることは、決して簡単なことではなかったと思います。

今では湯布院にも慣れ、家族と四季折々の様子を楽しむ余裕もできたことで、豊かな移住生活を送られています。

また地元である福岡愛も強いそうなので、福岡県に気軽に帰ることができる距離であることも、嬉しいことだそうです。

これからも大分県を拠点に新たな挑戦を続ける菊池さんの活動と、鞠智の新しい変化が楽しみです。

WRITER 記事を書いた人

Tomoe Sato

大分生まれ、大分育ちの根っからの大分人。現在は子育てをしながら趣味の延長線でライターとして活動している。

記事一覧を見る

POPULAR ARTICLES 人気記事

CONTACT お問い合わせ

運営:おおいた移住計画

FACEBOOK

INSTAGRAM

運営:大分県