大分移住手帖

夫婦で挑戦した古民家再生から夢だった民宿オープンへ。二人三脚で切り開く移住生活

Tomoe Sato

取材者情報

お名前
日淺聡士・日淺紗矢香
出身地・前住所
宮崎県
現住所
豊後大野市緒方町
年齢
聡士 :28歳
紗矢香:27歳
家族構成
夫婦二人
Instagram
https://www.instagram.com/asa_ya_ke/?hl=ja

日淺さんご夫婦と猫もんズ

 

原尻の滝で知られる豊後大野市緒方町の自然豊かで景色の良い場所にある古民家。このお家にはまだ20代と若い日淺ご夫婦が住んでいます。体験型民宿を始めるためにほぼ二人で古民家のリノベーションを続け、まもなく完成を迎えます。お二人は夢を叶えるため安定した仕事を捨て、地域おこし協力隊として豊後大野市で経験を重ねながら大変ながらも夢あふれる生活を送られています。今回は日淺ご夫婦に、移住のきっかけから現在の生活に至るまで詳しくお聞きしました。

夫婦ともに趣味だった山登りをきっかけに

ご主人の聡士さんは宮崎県出身、奥様である紗矢香さんは福岡県出身です。同じ宮崎県で就職し、趣味をきっかけに二人は出会ったそうです。

 

紗矢香:大学生の頃から屋久島が大好きで、在学中に10回以上は足を運びました。人生の軸として、自然・音楽・英語この3つは欠かせないものだと感じていて、将来はネイチャーガイドになって人を癒す活動をしたいと思っていたんです。でもそのことを両親に伝えたところ「いきなりネイチャーガイドになるよりも、社会経験を積んでいたほうが社会に疲れてやってきた人を迎える時に、共感力が付くよ」と言われ、まずは企業に就職することにしました。色々なところに行って様々な経験をしたいと思い、全国に店舗があって、海外転勤もある家具小売店に応募したところ採用していただき、配属されたのが彼の暮らす宮崎県でした。

 

聡士:大学進学で一度地元を離れましたが、就職は地元である九州内を希望していました。なので、宮崎に事業所がある飛行機の製造メーカーへと就職し、ものづくりに関して様々な経験を積みました。

 

同じ宮崎県で社会人として働き始めたお2人の共通の趣味であったのが山登り。聡士さんも、学生時代に住んでいた長野県の名だたる山を登ってきた山好きであり、登山の社会人サークルで出会い意気投合したそうです。

自然豊かなところで小さな宿をやりたい

家の前の通りから見える景色

 

2人が社会人となり1年が経った頃に、自然豊かな土地でいつか小さな宿を営みたいという共通の夢を持つようになります。

 

紗矢香:自然豊かな土地で宿を営みたいと思い、最初は夫が学生時代に暮らしていた長野県や旅行に行って好きになった阿蘇市がいいよねという話になり色々調べていました。その時に、ちょうど豊後大野市で地域おこし協力隊の募集をしていたのが目に留まり、いきなり宿をやるよりも勉強する期間が必要だと思い、豊後大野市に移住することに決めたんです。

 

お二人は豊後大野市に移住し、地域おこし協力隊として様々な業務に取り組まれたそうです。

 

聡士:市の商工観光課が指定管理するゲストハウス「LAMP豊後大野」の運営業務の全般や、SNSの情報発信、観光パンフレットを作ったりと豊後大野市の観光に関する業務も行いました。イラストレーターやフォトショップを独学で勉強し多くのことを学ぶきっけになりました。また環境省が狩猟を促進していることもあり、鳥獣対策として狩猟免許もとりました。狩猟は農作物被害の防止にもなりますし、食用のジビエとしても活用されます。(2021年10月時点)

 

紗矢香:私は豊後大野市役所のまちづくり推進課で移住定住促進のお仕事を主にしていました。移住定住ポータルサイトの更新や空き家バンクの対応などを市役所の職員の方と一緒に行っていました。他には、移住者の皆さんを取材し記事にして発信したり、写真撮影、取材、記事作成、デザイン、ホチキス留めまで一人で行ったフリーペーパー『ぶんごHOME』を発行したりしました。地域で頑張る人たちがこのフリーペーパーをきっかけにもっと大きなメディアなどに取り上げられて、多くの人に知ってもらえるといいなと思い作っていました。

フリーペーパーとは思えないクオリティの『ぶんごHOME』

 

お二人は今年で地域おこし協力隊を卒業されました。3年間活動する中で、地域を知り人を知り、豊後大野市を好きになった2人。最初は宿を開くまでのステップとして移住した豊後大野市でしたが、いつしかこの土地に定住し夢を叶えたいという想いに変わったそうです。

地域おこし協力隊の活動中に出会った古民家「朝山家」をリノベーション

これからインテリアなど内装を整えていく予定のリビング

 

豊後大野市に移住した当初住んでいた賃貸のお隣に住む方とのご縁から、現在住んでいる古民家と出会い、民宿「朝山家~あさやけ~」を開業すべく一棟丸ごと自分達でリノベーションすることに。

 

紗矢香:お隣さんから紹介してもらった家には高齢のおばあちゃんがお1人で住んでいたのですが、施設に入るために空き家になってしまうとのことでした。会ってお話を伺い、最初にこちらから購入する話をしましたが、おばあちゃんからご厚意で「いきなり購入するのではなく、地域を知るためのお試し期間を設けてはどうか」という提案をしていただき、半年ほど賃貸でお借りした後に最終的に購入することにしたんです。

レトロな雰囲気が漂う洋間

 

ご縁によりつながった空き家の持ち主である女性との出会い。90歳を過ぎていらっしゃるそうですが、日淺ご夫婦を孫のようにかわいがってくださったそうです。現在も施設で過ごし、とても元気にされているそうです。

日淺ご夫婦は空き家を購入する際に、屋根裏や床下もしっかりチェックして購入したとのこと。住み始めて、屋根からの雨漏りを補修するために専門業者に相談するも金額の高さに驚き、それなら自分達でと屋根の修理からリノベーションライフが始まりました。都会と比べて全ての物がそろうわけではないため、

「何かあれば自分達で何とかしないといけないという状況を繰り返すうちに、問題解決能力が高くなり、たくましくなった。」

と振り返ります。地域おこし協力隊の活動中、勤務終了後やお休みの日を活用して約一年半かけて、完成まであともう一息のところまできました。

元の建築資材を活かしてリノベーションした和室

これまで培った経験を元に豊後大野市という地域を広めていきたい

ご夫婦共に地域おこし協力隊の任期を終え、朝山家の開業に本腰を入れる中、2人の夢は広がり続けています。

 

紗矢香:屋久島のネイチャーガイドという夢の代わりに、豊後大野市のジオパークのガイドを夫婦二人で務めることができました。長い歴史をたどってきた自然のおかげで今の自分達があることや、自然と共生していくことの素晴らしさを少しでも伝えられたらと思っています。あとは、出張でピアノの先生もしています。豊後大野市に移住し環境が変わり、自分の行動に責任を持つようになって、それが生きる力となり夢を叶える力になっています。ここではずば抜けて上手じゃなくても少しできることがあれば、誰かのやってほしいにリンクすることがあって、それが仕事へと繋がっていくと思います。

 

聡士:朝山家のウェブサイトを作成中ですが、その中にオウンドメディアとして情報発信するページを持って、観光や暮らしの情報を発信していきたいと考えています。

床の間の壁は漆喰に竹炭を練りこみ、青の顔料を足して青鈍色を再現

 

紗矢香さんは豊後大野市に移住して、夢だった自然・音楽・英語すべてに関わる生活が実現できたそうです。朝山家のリノベーションも聡士さんが率先して計画・行動し、紗矢香さんの理想とする空間を現実のものへと形にしてきました。それぞれが持つ強みを最大限に活かして可能性はどこまでも広がっていきます。

縁もゆかりもない豊後大野市に夫婦でやってきて、地域の人に受け入れてよくしてもらった経験から自然と人の魅力でいっぱいの豊後大野市をもっと広めていきたいという想いが二人にはあります。

「朝山家」への開業に向けて

暖炉の設置も自分達で

 

リノベーションの完成まで残りあと少し。2021年末にはこのお家の元持ち主であった女性をはじめ、家族やお世話になった方に向けてプレオープン予定だそうです。どのような宿になるのかお聞きしました。

ヒノキの良い香りが包み込む和モダンな浴室

 

紗矢香:豊後大野の食材を楽しんでもらえる体験や、ゆったりと時間を過ごしていただいくおもてなし以外にも、田舎の自然や暮らしをご紹介したり、移住相談に乗ったりと豊後大野市や大分県への移住を考えている方のお手伝いができればと思っています。

場所によって異なるランプシェード

 

朝山家の情報やリノベーションの経過などは、現在インスタグラムで見ることができます。ウェブサイトも聡士さんが一から作成中であり、大変なことも多いそうですがオープンに向けて作業が進んでいます。また、現在日淺ご夫婦と一緒に住んでいる3匹(もん・とろ・じゃむ)の人懐っこい猫ちゃんも一緒にお客様を迎えてくれます。

お家の横にある別棟の上から見える景色

おわりに

まだ20代という若さで二人とも知らない土地へ移住し民泊を始める。そんなエピソードに始めは驚きました。地域を知り地域の人と繋がる機会を持つことで、今や豊後大野市は知らない土地ではなくお二人にとっては慣れ親しんだ住みやすいまちへと変わりました。試行錯誤しながらやっとあと少しまでたどり着いた古民家再生のためのリノベーション。朝山家に一歩足を踏み入れると、流れる空気は澄み時間がゆっくり流れるような不思議な居心地で、日淺ご夫婦とつい長話をしたくなる空間です。豊後大野市の観光情報も教えてくれるので、ノープランで訪れて観光の相談をするのもいいのではないでしょうか。

 

PHOTO

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WRITER 記事を書いた人

Tomoe Sato

大分生まれ、大分育ちの根っからの大分人。現在は子育てをしながら趣味の延長線でライターとして活動している。

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