大分移住手帖

アパレル商社を辞めて嫁の故郷へ。

Tomomi Imai

取材者情報

お名前
内山祐介・絵美
出身地・前住所
出身地:長崎県壱岐市・大分県玖珠群
前住所:福岡県
現住所
大分県玖珠郡
年齢
38歳
家族構成
5人
職業
米屋「伊勢屋」
Webサイト
https://www.facebook.com/iseyakome/

長崎県壱岐市出身の内山祐介さん(以下、祐介さん)と、大分県玖珠町生まれの妻・絵美さん(以下、絵美さん)は、福岡県で暮らしていましたが、3人目の子どもが生まれるタイミングでより良い子育て環境を求めて絵美さんの実家へ嫁ターンしました。そんな内山家の移住に至った経緯と、玖珠町での暮らしについてお話をお伺いしました。

子どもを預ける場所が見つからなくて。

お子さんの写真

祐介さんは長崎県壱岐市出身。大学進学とともに福岡県に引っ越し、大学卒業後アパレル関係の企業に就職。同じく福岡市の百貨店に勤務していた絵美さんとご結婚され、3人のお子さんを授かった内山家。2人目までは福岡県で子育てされていましたが、3人目ができた時に福岡県で子育てする難しさを感じたと言います。

祐介:私はアパレル関係、妻は化粧品販売の仕事をしていました。特別不自由もなくお互い忙しい中でもなんとか子育てをしていたのですが、3人目を授かった頃から福岡での生活に難しさを感じるようになりました。当時は子育て世代に人気の地域で暮らしていて、公園や学校が付近にたくさんありそこは良かったのですが、一方で保育園の待機児童がとても多い地域でもありました。なので、なかなか3人目を預ける場所を見つけることが出来ませんでした。それに保育料の支払いも重い負担となっていました。僕も妻もフルタイムで働いていたので、子どもが熱を出したら義母に早朝きてもらい、夜遅い電車で帰ってもらうなんていう日もありました。壱岐から僕の母に来てもらったことも。そんなこともあり、徐々に安心して子育てが出来る環境を求める様になりました。何度も妻と相談し、3人目の出産を機に僕も妻も仕事を辞めて、妻の実家である大分県玖珠町への移住を決めました。

玖珠町での子育て

切り株山からの夕日

現在内山家が住む地域には幼稚園・保育園が5つほどあるそうで、待機児童はほぼ0。人気の保育園には絶対入れるとは言い難いですが、積極的に迎え入れてくれる園の方が多いとのこと。玖珠町の保育園の良いところは「園庭の広さと催しの多さ」なのだとか。福岡県にいた頃は、マンションの一角を保育施設にしているところへ通わせていたこともあり、小さな遊戯室はあったものの、運動会の時だけ別の施設を借りて行うような環境だったそうです。一方、玖珠町で入園した保育園には広々とした園庭があり、自由に外で遊ばせられるようになり、嬉しいとのこと。また、玖珠町にきて保育料の負担もかなり減ったのだとか。

(R3年度現在、玖珠町は保育料が、3歳未満児は第1子が3〜4割助成、第2子以降は無料。3歳から5歳は無料となっている。)

(参考:https://www.town.kusu.oita.jp/soshiki/kosodatekenkoshienka/2/1/1/904.html

祐介:ずっと田舎にいたら都会に憧れるかもしれませんが、都会に長年いると、ある程度の年齢になったら結構遊び尽くしてしまうんですよね。家族を中心に暮らしを考えるようになると、やっぱり子どもがのびのびと暮らせる環境を優先したいと思うようになりました。子ども達が雄大な自然と地域の温かい人達に見守られながら、のびのびと成長していく姿を見れるのは、田舎でしかできない経験だと思っています。また、僕の出身地の壱岐市は、離島ということもあってか、幼少期のスポーツなどの活動に対する指導者がとても少なかったような気がします。その点玖珠町は同じ田舎でも、陸上や野球、サッカークラブ等、しっかりとした指導者がつき、小さな頃から色んなことに挑戦できる環境があるので、そこが羨ましくもあり、素晴らしいところだと思います。

嫁の実家の米屋に転職。

玖珠米は近年人気上昇中。

仕事を辞めてきた祐介さんは妻の実家が営む米屋「伊勢屋」へ転職しました。畑違いの米屋への転職について、経緯をお聞きしました。

祐介:最初はここに入るつもりではなかったんです。アパレル関係で営業を経験していたので、玖珠町でも営業系の就職には困らないと思っていました。就職先を探し始めた矢先に、社長であるお義父さんに声をかけてもらいました。伊勢屋は米屋だけでなく、ガス屋や高齢者施設の給食事業も行っていて、お手伝い出来そうなことが沢山ありました。仕事の説明を聞いている間に話がまとまっていましたね。

確かに都市部に比べれば仕事の種類や数はやや少ないですが、玖珠町でもやりがいのある仕事が意外に多いのだとか。転職活動に関して言うと、工業系の仕事は比較的見つかるそうですが、営業系の仕事は多くはなかったそうです。また、高速道路のインターチェンジがあるので、日田市など隣接する市に通勤している人も多いそうです。

地域の方から声をかけてもらえる基盤がある。

近年ギフト用として人気が出ている「キューブ」には玖珠町の名所が。

転職し、お仕事での苦労をお聞きしたところ、もちろん勉強すべきことは沢山あるものの、都心部とは違い、地域の方との距離が近いので、お客様の方から声をかけてもらうことが多く、おかげで営業にはあまり苦労していないのだとか

祐介:玖珠米は九州横断鉄道「ななつ星」でも提供されていることで有名になったのもあり、昨今売れ行きは好調です。全国各地からご注文の電話も来ますね。他県にいる友人や知り合いが美味しいと注文してくれることも多いです。

家族向け住宅の数が比較的少ない。

玖珠町に来て、家探しは結構苦労したのだとか。玖珠町には自衛隊の駐屯地があるのでその関係か単身者向けアパートは多いものの、家族5人で暮らせるマンションやアパートはあまり無かったとの事。空き家バンク等も見てみましたが、古い建物が多いため、買ったとしても、改修に思った以上に費用がかかると思い、辞めたとのこと。また、玖珠町の家賃相場は、大体5~6万円台のようです。(参考:https://www.athome.co.jp/chintai/souba/oita/kusu_kusu-city/

祐介:5人家族だと、3LDKほどの広さはないと結構厳しくて、なかなか見つかりませんでした。多くの人は家族が増えると家を建てるようで、家族向けマンションなどは、あまりありませんでした。貸し渋り等ではなく、物件があっても改修が必要だったり、アクセスが悪かったり。そこで、玖珠町を活性化しようと地域活動を幅広く行なっている義父に相談しました。商売柄、顔が広く、お付き合いのある会社も多かったため、知り合いの建築会社が自社保有する物件を見つけてくれました。現在は5LDKの戸建を賃貸で借りています。福岡県で住んでいた家の、半分程度の家賃で広さは倍以上の家に住めています。しかも、簡単なDIYならしても良いと許可をいただいています。そんなことができるのは田舎の良さですね。ただ玖珠町にもっと物件が増えるといいなと思いますね。

お祭りが多く活気がある田舎。

都会で暮らしてきたお二人に、玖珠町ならではの良さをお聞きしました。

祐介:今住んでいる地域はお祭りやイベントが多いんです。久留島武彦という童話作家の里でもあって、記念館もあり毎年5月5日に「童話祭」が開かれるんです。大きな鯉のぼりを掲げる大きなイベントです。それだけでなく軒先市など、子どもから大人までみんなが楽しめる大小様々なイベントがあるんです。何をするにもみんなで盛り上げようという気質がある楽しい場所です。

取材中に差し入れでいただいたご親戚が経営する店の名物「こいやき」

絵美:童の館という児童向けの文化教養施設があったり、童話祭があったり、子どもを中心にした施設や催しが充実しているのが良いなと思います。もっと宣伝した方が良いと思います(笑)。

とにかく寒い!

ご自宅から見た雪景色

田舎を知ってる祐介さん。とはいえ「島の田舎」と「山の田舎」では違うこともあるようです。玖珠町は盆地で標高が比較的高めな地域。この場所ならではの特徴をお聞きすると、「冬の寒さ!」と即答でした。

祐介:移住してきて、寒さだけはまだ慣れませんね。とにかく寒い。日中は暖かいですが、冬入りの頃でも夜には気温が-7度まで下がることもあります。壱岐は周りが海なので暖かい潮風で雪が溶けるため積もったりしませんし、福岡県は雪が降っても都心部のマンションは断熱も暖房もしっかりしているのであまり寒くないんです。移住したての頃車にスタッドレスタイヤをつけるべきか地域の方に相談したら「玖珠町は寒いけど雪は積もらないよ」と言われたのに、翌日大雪でした(笑)。雪が降ると子どもは楽しいみたいですけどね。今は一軒家に住んでいてエアコンが効かないので初めて灯油のファンヒーターを買いました。

最後に

子育て環境を考えて嫁ターンした内山家。田舎暮らしの醍醐味である「人に見守ってもらえる暮らし」がここにはあるなと感じました。お祭りやイベントがたくさんあり、明るく楽しい雰囲気の中で、町の方に見守られながら子育てができる環境が玖珠町にはあるようです。

伊勢屋外観

WRITER 記事を書いた人

Tomomi Imai

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25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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