大分移住手帖

アートのために自然豊かな田舎暮らしへ。理想の住まいと巡り合い豊後高田市へ移住し、音楽と農業に勤しむ日々。

Kg

取材者情報

お名前
原 匠玄(はらしょうげん)
出身地・前住所
東京都
現住所
豊後高田市
年齢
42歳
家族構成
妻・猫4匹・亀1匹
職業
音楽家・農業
Instagram
https://www.instagram.com/harishougen/

ドラムを中心に様々な楽器を演奏する音楽家の原さんは、画家として活動する奥さんと共に、より良い創作拠点を求めて、自然豊かな田舎へ移住したそうです。慣れ親しんだ都会から豊後高田市へ移住した経緯や、現在の暮らしぶりについてお聞きしたいと思い、彼の元を訪ねました。

ライブ中の原さん

憧れの田舎暮らし

原さんは東京都で生まれ、4歳から家族で神奈川県に転居し、大学を卒業して仕事をしながら音楽活動を行なっていたそうです。

原さん : 在学中の20歳からバンドのメンバーとしてライブやレコーディング、CDのリリースを行い、ツアーで全国各地を回るなど精力的に活動していましたが、
25歳で脱退しました。

その後、当時交際していた画家である現在の妻と「アートや創作活動のために自然豊かな場所に住む方が良いので、田舎暮らしをしたい。」という話になりました。全国を色々と旅していましたが、いっそのこと一度住んでみようと思い立ちました。

こうして、2013年に香川県の小豆島へ移住した原さん。自然に囲まれた生活を満喫したそうです。

原さん : 小豆島はオリーブや佃煮、古い醸造所が手掛ける醤油が有名な瀬戸内海で2番目に大きい島で、車で一周するのに2時間ほどの広さです。都会とは違い、知らない人とすれ違っても会釈してくれるなど、田舎の暖かさを感じました。

一方で都会の暮らしでは見たことがなかった百足や雀蜂が多く、慣れるのに1年程かかりました(笑)。他にも楽器店や画材屋がないのは不便でしたが、ライブハウスや音楽イベントはあり、都会との生活のギャップはそこまで感じませんでした。

小豆島で音楽活動を続けながら観光施設で働き、島を訪れる方の対応などを中心に弁当配達なども行なっていた原さん。プライベートでは新たな試みに挑戦したそうです。

原さん : 自給自足の生活に憧れていたので、家庭菜園を始めました。自分達で作った作物を自分達で食べる素晴らしさを体感しました。島で結婚し、充実した日々でした。

念願だった自然豊かな生活を送る中で、島ならではの不安を感じることもあったそうです。

原さん : 島は陸続きではないため、問題を感じることがありました。店は同じで飽きますし、何より医療機関が不足していました。急病で重篤症状の方などはヘリで
島外の医療設備が整っている病院に運ぶのですが、間に合わず亡くなった方がいらっしゃいました。

島の暮らしは魅力的で、友達が増えたこともあり後ろ髪を引かれる思いでしたが、将来を考えて更なる移住を検討したそうです。

原さん : どの地域に住むかということではなく、暮らしたい物件を中心に探しました。その中でも、空き家バンクへの登録物件数が他の市町村に比べて多く、移住希望者への対応が良かった豊後高田市にある、広い敷地を持つ物件に魅力を感じました。

原さんの住居

理想の住居へ

豊後高田市 地域活力創造課とやり取りし、何件かの空き家の見学を経て、その中でも一番気に入った物件に移住した原さん。

原さん : 2016年に小豆島から豊後高田市へ移住しました。11Kの間取りの住居で屋根裏部屋まであり、今もまだ使っていない部屋があります。広い庭があり家庭菜園も作りました。

入居の際は豊後高田市の空き家リフォーム事業を利用し、業者に頼んで汲み取り式便所を水栓にリノベーションしましたが、それ以外は床の弛んでいるところを自分で張り直すなどDIYで随時修繕しています。

伸びた庭の木や、草原みたいになってしまった雑草の手入れが目下の悩みです(笑)。

葡萄を手入れする原さん

自然と関わる仕事

豊後高田市に移住した際は就農したいと考えていた原さん。偶然から縁が繋がって実現したそうです。

原さん : 自然と関わる仕事に就きたいという想いがあり、一度も農業を経験したことがなかったので興味を持っていました。市内にある唐揚げ屋さんで食事していた際に、葡萄と白葱を手掛ける農園を経営者の身内の方と偶然同席し、現在のオーナーをご紹介いただきました。本当にタイミング良く知り合えたと思います。

農園では毎年3月から9月は葡萄を、それ以外の期間は白葱を育てているそうです。

原さん : 初めての肉体労働なので最初の一年は慣れませんでしたが、今は体力がつき問題なく働いています。

葡萄は不要な粒を間引いて形を整えるなどの作業があり、手間暇かけて作品を作るようで楽しいと感じています。白葱は土を掛けた部分が白くなるので成長に合わせて土を被せ、農協で販売するための規定である白い部分が27cmを超えたら機械で掘って、倉庫で皮を剥いて束にして出荷します。何度も同じ作業が必要で、手に匂いが着きお風呂に入っても取れないので、個人的に葡萄の方が好きです(笑)。

一方で、音楽活動もしっかり継続しているそうです。

原さん : 移住後にバンドを組んで、県内外のイベントに出演していましたが、現在はコロナの影響で、ライブができずメンバーにも会いにくい状況ですので、作曲とレコーディングに打ち込んでいます。自宅に音楽専用の部屋を設け、毎日奏でていますが、隣近所と距離があり大きい音を出してもクレームが来ることはないので、存分に楽しんでいます。

原さんの音楽部屋

豊後高田市での暮らし

都会で生まれ育ち、二度の移住を経験した原さんに、今までと豊後高田市での暮らしの違いについてお聞きしました。

原さん : 都会ではあまり隣人と接することがなく、逆に小豆島では良かれ悪かれぐいぐい生活に踏み込んでくる感じでしたが、大分県の方は程よい距離感で接してくれると感じます。たまに野菜を頂いたり逆にあげるなどの近所付き合いはありますが、そこまで深く踏み込んできません。面倒なことがなく平和なイメージです。

地域の行事などにも参加し、交流を図っているそうです。

原さん : 現在はコロナの影響でお祭りやイベントが少なくなってしまいましたが、昭和の町音楽祭にボランティアスタッフとして関わるなど、地域の行事に参加してきました。その結果、知り合いや友人にも恵まれました。

生活環境については、私の実家がある神奈川県や妻の実家の千葉県に帰省することがありますが、大分空港まで車で50分ほどですし、交通の便が良いと感じます。自宅から職場が近く、医療面も充実しており、不便を感じることはありません。敢えて言うのであれば、小豆島と同じく楽器店や画材屋はありませんが、ネットなどで購入しています。

災害がなく気候も良いですが、小豆島と比べると晴れているけど靄がかかっている日が多いと感じます。

食については、今までの暮らしと一変したと感じるそうです。

原さん : 意外に思われるかもしれませんが小豆島は漁師が少なく、食料品のほとんどが高松市経由で入荷されています。それと比べると、豊後高田市は肉や魚などが新鮮で美味しいと感じます。何より鶏肉が安いです。

また、九州の甘口な醤油は、関東のしっかりした味付けの濃口醤油や関西の塩味の強い淡口醤油とはまた違った味わいがあり、独特で美味しいと思います。

豊後高田市 昭和の町

移住希望者へアドバイス

いずれは後継者のいないビニールハウスを引き継ぎ、葡萄農家として独立したいと考えている原さん。葡萄農家は年間の3分の1が農閑期ですので、その時間を活用して音楽活動も続けていきたいそうです。

そんな彼から、移住を希望する方へアドバイスを頂きました。

原さん : 一番大切なのはフィーリングです。次に行動することだと思います。

例えば、春に移住候補地を見学しても、夏や秋でまた違ってしまいます。現地の方とコミュニケーションを取って、季節で暮らしぶりがどう変化するなどをヒアリングすることが大切です。特に気候や害虫害獣などは事前にしっかり調べましょう。

また、移住はゴールではなくスタートです。移住後は地域の行事などに積極的に参加して、溶け込む努力を続けましょう。無理し過ぎは良くありませんが、ある程度の歩み寄りは必要だと思います。

他にも、細かいところで言えば、何があっても良いように懐中電灯などの備えがあると便利だと思います(笑)。

出荷作業中の原さん

最後に

理想の物件に出会い、豊後高田市へ移住した原さん。自然豊かな環境で、念願だった農業や音楽活動に勤しむその姿から、自らの感性を信じて積極的に行動することで、偶然すらも味方につけ、理想の暮らしに辿り着けたのではと思いました。これから移住を検討する方は、彼のようにフィーリングを大切にしながら、移住先での理想の暮らしを思い描いてみてはいかがでしょう。

WRITER 記事を書いた人

Kg

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株式会社モアモスト 取締役・一般社団法人まち元気おおいた 理事・Pdw 代表として、サイト・DTP・DTMなどディレクション〜制作をはじめ、ライターや撮影などの業務に従事。大分市府内5番街商店街振興組合の理事として、まちづくりにも携わる。

SC-RECS.com・クラブイベントインフォ・SCLS・DubRize・PLay・合同写真展などを主宰し、各種イベントのオーガナイズからDJやマシンライブなどまで展開中。テルミン使い。

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