大分移住手帖

楽しい時間はみんなで作ろう!人と町が大好きなUターンガールが作り出すみんなが集える暮らし。

Tomomi Imai

取材者情報

お名前
小出知佳
出身地・前住所
東京都
現住所
大分県竹田市
家族構成
4人
職業
おちゃのま たぴあ
Facebook
https://www.facebook.com/Ohchanoma.tapia/

小出さんは、竹田市玉来の生まれ育ち。そんな彼女は東京都などでの暮らしを経て、8年前にUターンし、家族が所有する物件を活用して「おちゃのま たぴあ」を開業しました。3人の子育てに奮闘しつつ、自分たちが楽しめる暮らしを実践している小出さんに、竹田市へUターンした経緯などをお聞きしました。

子育てしにくかったマンション暮らし。

マンション暮らしの様子

マンション暮らしの様子

進学で上京した小出さんは、そこから10年ほど東京都で暮らしました。大学卒業後にアパレル系へ就職した後に結婚。子どもを2人授かりました。当時マンションに住んでいた小出さんは、子育て環境における窮屈さを感じていたそうです。

小出:マンションに子育て世代が2組しかおらず、エレベーターに張り紙で『子どもの足音をさせないで』『ベランダで水遊びさせないで』と注意されてしまうこともあったので、正直なところ過ごしにくさを感じていました。マンションを出る頃には少しは良くなったものの、ここに長くいるイメージがつかなかったですね。

東日本大震災が起こった時に子ども連れで頼れる地域との関係性がない不安を感じたという小出さんは、地元へ戻りたいと思うようになったと言います。

子どもが実家を明るくした。

祖父母との暮らしの様子

祖父母との暮らしの様子

子育て生活への息苦しさを感じた東京暮らしを辞め、8年ほど前に竹田市へ戻ってきた小出さん。近所の飲食店を手伝っている中で、3人目を出産。その後離婚し、改めて仕事を探している中で、移住者が始めたトマト農家を手伝いつつ、給食センターでの勤務をしながら家族や町の人達との関わり合いを模索したそうです。

小出:地元に戻ったら田舎だしつまらないかなと思っていたんですが、予想外の事ばかりでした。実家に帰ってきたことで、子どもたちの面倒もみてもらえるし、母は孫がいて楽しいみたいです。引きこもりがちだった弟は、子どもの世話相手をする中で、とても前向きになってきました。祖母は要介護2程度とあまり調子がよくなかったのですが、子どもと過ごすうちに一気に回復していきました。子どもの存在ってすごいなと感じました。子ども達自身も沢山の価値観に触れられる良い環境にあったと思います。

地元が面白くなりつつあった。

以前暮らしていた竹田市には、あまり魅力を感じていなかったという小出さん。地元の同級生は福岡県などに出ていて、知り合いも少なく話題も無いという印象だったため、町の暮らしにはあまり期待せずに帰ってきたところ、同じくUターンをしてレストランを起業した先輩や、竹田市に移住してゲストハウスを始めた移住者など、個性豊かな面白い人たちが集まり始めていたそうです。

小出:28歳は人生のターニングポイントと言われるようですが、私もまさにそうでした。都会での生活を続けることも考えましたが悩んだ結果、竹田市に戻ってくることにしました。面白いことが町の至る所で日々起きていて、意図せずして良かったなと思っています。

選択肢は意外と多く仕事はある。地域によって雰囲気は様々。

トマト農家を手伝っていた頃の様子

地方の山間部として例外なく過疎高齢化であらゆる産業の担い手が減っている今の竹田市だからこそ、選ぶのに困るほど仕事は結構あるという小出さん。自身のライスワークと、隙間時間で農家さんや季節仕事のお手伝いと掛け合わせるなど、興味関心を組み合わせながら暮らす事も可能だと言います。

また、人との付き合い方においては、古くからあるコミュニティは人との距離が近いですが、小出さんが暮らす玉来地域は比較的付き合いは薄いようで、地域によって距離感は様々なのだとか。

まちづくり会社での様子

小出:玉来地区は竹田市の中ではベッドタウンのような立ち位置です。人も物も程良い距離感にあるので、暮らしやすいです。大型スーパーやアパートが結構ある地域なので、単身でも親子でも住みやすい地域だと思います。そして徒歩圏内や車ですぐの距離に川遊びや山登り、湧水や温泉といった本物の自然環境に恵まれています。私にとってはとても居心地の良い場所です。仕事面では、私は兼業としてまちづくりたけた株式会社で週2日勤務しています。まちづくりたけたの活動の一つに地域のサポート役として、新たなチャレンジをしたい企業と働きたい方を繋ぐ事業もあり、竹田ならではといった多様な職種のお仕事も紹介していますので、そちらも是非ご覧になっていただけると嬉しいです。

家族が管理する物件地元の空き店舗で飲食店を始める。

おちゃのまたぴあ店内

近所にある50年以上受け継がれたチキン南蛮が人気だったお店が閉店し空き店舗に。旧道の商店街組合は解散してしまうほど個人商店は減ってきています。そんな中DRUM TAOが開催するイベントに、町の仲間達とお弁当作りなどを手伝っていた小出さん。その仲間達にその場で「店をやってみたい」と相談してみたところ、メニューやレシピを一緒に作ってくれることになり、空き店舗での開店に至ったそうです。

小出:賑わう点もある中で、全体的には寂しくなって行く町の様子を感じていて、お互いの事や町の事など色んな人と話がしたいと思っていました。飲食店は幅広い人たちの居場所になると思いました。例えば子育てしているママって、夫と喧嘩した時、子どもを置いて出ていけないんですよね。そういう時に近くに親類がいなくても頼りになるような場所を作りたいと思ったんです。

見様見真似でママ友と一緒に準備を始めた小出さんは、友人・知人とDIYで店づくりを進め、老若男女合わせると総勢20人の協力によって「おちゃのま たぴあ」が作られました。名前の由来は、近くにあった馴染みのスーパー「玉来ショピングセンター タピア」から取ったもの。実はこのスーパーの名前を付けたのは祖父で、「たまらいユートピア」を文字ったものだそう。カレーをメインにしたのは「カレーはみんな好きだろう」と思ったから。店内には子育て真っ最中だった小出さんならではの工夫が施されています。

個室感にこだわった店内

トイレにはおむつ交換台を設置

小出:自分の今の状況から、子連れでもゆっくり食事をする時間を楽しんでもらいたくて、開放感や明るさ、座席などにこだわりました。また、おむつ交換台や、キッズスペースを設けるなど、自分でも使いやすいと思える空間作りを意識しました。今は友人ともオンラインで繋がれるのだけれど、同じ空間の中で安心できる場があるといいなと思っていました。コロナ禍でしたがオープンしてもうすぐ2年になります。今は地元で馴染みになって来てくれる方や、阿蘇久住に抜けていく道に面しているため、休日は観光の方達も立ち寄っていただいてます。当初の想定はファミリー層だったのですが、予想に反してご年配の方がお一人でお喋りにきて下さることが多く、介護の話からアイドル歌手の話や武勇伝まで世間話も楽しみの一つになりました。

ゆったりと取られたキッズスペース

竹田市のプロジェクト「たけたん野菜もりもりメニュー」の協力店舗である小出さんのお店。メニューの材料には積極的に地元の野菜やお米を使い、店頭での販売も行っています。

小出:農家さん達が良い物を本気で作ろうと試行錯誤しながら作られている野菜は、この豊肥地域と呼ばれるほどの豊かな土壌の恵みを蓄えて、美味しさも栄養も愛情も満点です!そんな野菜を元気が出るカレーと一緒に味わって欲しいです。

カウンターから見える作業風景

今が一番大変だけど、無いなら自分で作っていく。

ハロウィンイベント時の様子

Uターンして8年。明るくはつらつとした小出さんに、困ったことや大変だったことを聞くと、「今が一番大変だ」と即答。その理由は、、県下でも深刻な高齢化の止まらない過疎地なので、少ない若者の力で出来る事が限られてくる事だそうです。

小出:帰ってきた頃は、竹田市は地域おこし協力隊を40人ほど採用したりと、外の風が結構グイグイと入っていました。大小様々なイベントが開催されるなど、いろいろな場面に参加させてもらっていました。お祭りやイベントなどが大好きなこともあり、参加者からサポート役に移り、今では主催側になることも多くなってきました。近頃では移住ブームも落ち着いた印象もあり、かつて程のグイグイした勢いのようなものはありませんが、個々での“濃くて深い”活動が増えたように思います。地域の行事や活動では1人ひとりが担う役割が多くなってきて子育てと両立の負担もありますが、地域と関わることで子ども達を見守る目や手が増えたり、野菜のお裾分けがあったり、夕食の品数がポンっと増えたり良いことも多いです。

町の行事に参加している様子

地域のお祭り組合に入っている小出さん。夏祭り、盆踊り大会、餅つき大会と年間を通して地域の方々と共に積極的にお祭り運営に関わっているそう。メンバーは年配者が中心ですが、同世代のママ友と一緒に自分達がやりたいことを提案して、子ども達と楽しめる取り組みも増やしている最中。また、小出さん自身は、商店街を巻き込んでハロウィンイベントを企画したり、お寺で移住者同士が集まるイベントなどを開催し、例年大人気だとか。手作りのイベントでは、イラストレーターの方に講師を頼んでイベントチラシを子どもが作るなど、様々な関わりや繋がりを意識して広げている。

小出:私の実家は小さな頃から常に人がいて毎日のように宴会場になるような家だったので、人に囲まれて暮らしている方が心地良いんです。1人分のご飯が作れないくらい(笑)。なければイベントも作りますよ!楽しいことや面白い人にはどんどん関わりたいですね。

最後に

元々育った町の人や風土を知っていて、都会を見てきた小出さんだからこそ、楽しく暮らすためには自分で動こうという意思の強さを感じつつ、どんなことも仲間と楽しみたいという気持ちをとても感じました。自分が暮らす町に居場所を作りつつ、それを仲間と共有していきたいという想いがあるからこそ、小出さんのファンが増えていくようです。元々あるものだけで町を評価せずに、共に作っていこうという気持ちが、移住後の暮らしをより良くするのだと、小出さんの明るい笑顔で逆に応援してもらえたような時間でした。

WRITER 記事を書いた人

Tomomi Imai

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25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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