大分移住手帖

ワクワクする環境で子ども達に伸び伸び育って欲しいという願いから、たどり着いた大分市での暮らし。

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取材者情報

お名前
品川皓亮(こうすけ)・瑶子(ようこ)
出身地・前住所
出身地:東京都・新潟県
前住所:東京都杉並区
現住所
大分市上宗方
年齢
35歳
家族構成
夫婦・長女・長男・次男(2022年10月3男予定)
職業
皓亮さん : 株式会社リブ・faaam 共同代表
瑶子さん : すこママプラス+♪ おおいた 代表・抱っこdeダンス プロデューサー・バレトン インストラクター・faaam 共同代表
Webサイト
https://faaam.jp/
Twitter
https://www.instagram.com/yohko.shina/
Instagram
https://www.instagram.com/shina.papa/

東京都出身の皓亮さんと新潟県出身の瑶子さんにとって、皓亮さんの司法修習のため訪れるまでは、足を運んだことがなかったほど縁遠い場所だった九州。そんな2人は結婚後の東京でのマンション暮らしから、子ども達が伸び伸び過ごせる環境を求めて、全国各地で移住候補地をゼロベースで探した結果、大分市の自然豊かな環境へ移住を決断したそう。都会と現在の生活の違いや子育て、これから先などについてぜひお聞きしたいと思い、品川さんご一家を訪ねました。

週末は家族で公園によく足を運ぶそうです。

都会からの移住を決断

東京で生まれ育った皓亮さんと、新潟県で生まれ育ち京都の大学へ進学して大阪で就職した後に花嫁修行のため実家に戻った瑶子さんは、大学時代のミュージカル劇団で出会い27歳で結婚。皓亮さんの勤務地である東京で生活をスタートし、3人の子宝に恵まれたそうですが、コロナ禍で生活環境が激変し、より良い子育てのために地方への移住を考えたそうです。

皓亮さん : 2015年に結婚し弁護士として法律事務所で働いていましたが、ビジネスの力で社会をより良くしていく挑戦がしたいと思い、2016年にワークシフト支援を行う株式会社リブというベンチャー企業に転職しました。私を含めてほぼ全社員がフルリモートワークで、仕事をする上で時間と場所の制約がないので、東京で暮らす必要がなくなりました。都内のマンションで生活する中で、子どもが3人いる家庭として騒音問題やスペースなどに限界を感じ、妻と相談して子ども達が伸び伸び暮らせる環境を探すことになりました。

瑶子さん : 2020年のコロナ禍をきっかけに、夫はフルリモート・子ども達が通っていた保育園が休園になり、家族5人で2LDKのマンションに閉じこもる毎日となりました。自粛生活が長引いて先が見通せない日々が続き、育ち盛りの子ども達にとって手狭な環境下でも楽しめることを模索する中で、家に庭や家庭菜園があればなと考えるようになりました。そんな生活が1年ほど続いたある時、ふと「東京に住み続ける意味はあるのかな?」と思い始めました。夫はリモートワークなので、コスパの良い地方で気楽に暮らした方が良いのではと気づきました。

こうしてより良い子育て環境を求めて、全国で移住先を探し始めた品川さんご一家。皓亮さんの実家がある東京と、瑶子さんの実家がある新潟県を結ぶ上越新幹線の中間地点で、仲良しのママ友の実家があり、野菜の産地で馴染みもあった群馬県高崎市が最初の候補地でした。

瑶子さん : 実際に高崎市に行ったことがなかったので、家族で足を運んでみました。民泊して公園やスーパーや観光地を訪ねた結果、子育て環境として申し分なかったのですが、夫の「海の幸が新鮮で美味しいところが良いな」という発言であえなく断念しました(笑)

皓亮さん : 移住候補地探しが振り出しに戻ったので、まず自分たちの価値観から「軸=基準」を決め、その軸に合致する移住先を選ぶことにしました。

その結果、品川夫妻は
・自然が豊か、子どもが環境を楽しめる
・住宅に関する物価が安め
・海の幸が豊富なところ
・気持ち的にワクワクする土地
・雪が多い場所は除く
の条件で都道府県を絞った上で、

・障がいのある長女が通える療育施設が近くにある
・買い物や保育園などの環境が不便過ぎない
・自然災害の心配が比較的少ない
・車を持たなくても生活できる
という条件で生活可能な、ある程度の規模のある地方都市を探した結果、大分市に辿り着いたそうです。

皓亮さん : それまでは九州に足を運んだことがなかったのですが、2014年に司法修習のために大分市に住んで、10ヶ月ほど裁判所・検察庁・弁護士事務所で学びました。もちろん、当時は全く移住を考えていませんでしたが、その際に環境や人柄などについて良い印象が記憶に残りました。商業施設や学校・病院などもあり程良く都会ですが、海・川・山に囲まれ自然にも恵まれているので、家族でワクワクできる土地だと思いました。

瑶子さん : 夫の司法修習先ということで、私も結婚前に何度か大分県を訪ね、別府市の地獄めぐり湯布院、臼杵市の磨崖仏に足を運んで満喫しました。私は越後平野で生まれ育ったので、大分の海と山が広がるダイナミックな風景に圧倒され、カルチャーショックを受けたことを覚えています。我が家に縁がある土地ですし、旅行好きなので2人で全国各地を訪ねましたが、その中でも特に印象深く場所で、またいつか行きたいと考えていたので、自然と移住先として浮かびました。

移住について「田舎暮らしがしたいわけではなかった」と話す品川さん夫妻。自然が豊かという田舎の良さと、子育てなどに関する利便性を求めた結果が大分市だったそうです。

皓亮さん : 障害のある長女の療養のために、病院に通いやすい場所であることが重要でした。大分県内でも日出町や杵築市に足を運び物件を内覧しましたが、実際に住んだ時の生活を想像すると難しいと感じました。

瑶子さん : 長女のリハビリやサポートが受けられる施設が、大分県内では大分市と別府市にしかありません。長女の障がいをきっかけにSNSで繋がった別府市在住の女性に、住んでいるからこそわかる現地のリアルな情報を教えていただけて本当に助かりました。その他にも、日常の買い物や子ども達が通う保育園・小学校が便利な場所にあるか、自然災害が少ないこと、車がなくても生活できるかなどの条件を考慮しました。

また、移住の検討から移住後まで一貫してサポートしてもらえる特典があるおおいた暮らし倶楽部に登録したり、大分県のオンライン移住相談を2回利用するなどして、知見を得ました。大分県は移住支援に積極的なので、移住を検討している方は利用をお勧めします。

こうして大分市を移住候補地として選んだ品川さんご一家でしたが、最も大切な住環境を確認するためには、実際に現地で見なければわからないということで、何度も足を運んだそうです。

瑶子さん : 住宅情報サイトで良さそうな物件を探して内覧を依頼し、長女と夫を留守番で残して、息子2人を連れて2021年6月に久々に大分市を訪ねました。移動の自粛が推奨されていた頃ですが、抗原検査を受けるなどして注意を払いながら、2ヶ月で計3回大分市内の物件を内覧し、住みたい場所を絞り込んでいきました。

皓亮さん : 家族で地方に暮らすのは初めてで、いきなり家を買うというのはリスキーだと考え、戸建ての賃貸を最優先に探していました。ところが、大分は高齢の大家さんが多く、手間や費用を避けるため早く手放したいことから、売却物件の一軒家は多いのですが、賃貸物件は市場にほとんど出回っていませんでした。

そんな中でも、物件巡りが好きな妻が頑張ってくれ、実際に足を運んで具体的なエリアや物件を絞り込んでくれました。その後、妻の「この物件のこのポイントを自分の目で見てきて!」という司令を受けて私も大分に飛び、複数の候補物件を見て回り、最終的に二人で話し合って、山や川や田んぼなどの自然環境に恵まれ、学校・保育園が近く、買い物や通院にも便利な場所にある、築50年・フルリフォーム・賃貸一戸建ての今の家に決めました。

トレッキングのように物件まで20分歩いたり、周辺の探索や勾配の確認をするなど、次々とスマホに送られて来る妻からのミッションをクリアしながら、真夏の炎天下の大分市内を歩き回ったのは良い思い出です(笑)

公園内を散策する品川さんご一家

移住後の仕事や活動について

皓亮さんが前職の法律事務所に勤務していた際は、毎日帰宅時間は夜は11時頃で土日も仕事のため、ほぼワンオペで3人の子育てに奮闘する毎日を送っていた瑶子さん。皓亮さんも子育てに思う様に参加できないもどかしさを感じていたそうです。そんなお二人の様々な体験や、たくさんのご家庭のリアルな実情を聞いて得られた知見を、明日から使える方法論として発信する「faaam~子育て家庭の平和学~」という活動を行っています。

皓亮さん : 仕事は東京に住んでいた時と同じくリモートワークを続けています。転職したわけではないので、収入は変わりません。周辺には緑もあり、広くなった自宅で伸び伸び働いています。打ち合わせなどのため、半年に一回ほど東京にも足を運んでいます。

また、妻と共にfaaam共同代表として「子育て家庭の平和学」を提唱し、ママ・パパ向けのオンライン講座を開催するなどして、夫婦が協力して子育てを楽しむ「チーム育児」の実践方法を発信しています。

瑶子さん : 10月に出産を控えているので無理はできませんが、その他にもママ達が心も身体も健やかでいるためにプラスになる運動と情報を届ける「すこママプラス+♪ おおいた」の代表や、赤ちゃんを抱っこしながら、または周囲で寝転がしたり遊ばせたりしつつ、音楽に合わせて身体を動かすことで、赤ちゃんとのスキンシップやあやし効果、産後のお母さんの運動不足やストレス解消を目指すコミュニティ「抱っこdeダンス」のプロデューサー、フィットネス×バレエ×ヨガの動きからインスピレーションを得たエクササイズ「バレトン」のインストラクターなどの活動も行っています。

品川さんのご自宅は自然豊かで閑静な住宅街にある

自然豊かで、利便性に富んだ暮らし

大分市での暮らしについて「期待した何倍も良い!!!! 最高!!!!!」と話す品川夫妻。衣食住環境について、想像していた以上に満足しているそうです。

皓亮さん : 東京で住んでいたマンションと比較すると、家が4倍以上の広さで家賃は3分の2になるなど、固定費が安くなりました。

瑶子さん : 東京で暮らしていた際は高額で気軽に購入できませんでしたが、スーパーに並ぶ野菜や肉・魚などの食品はお手頃で鮮度が良く、安心安全で美味しいと思います。野菜はご近所さんからのお裾分けもあり、ありがたい限りです。地産地消の食材を使った美味しい飲食店も多く、週に1度は夫婦でランチを楽しんでいます。

東京の時はプランターで野菜などを育てていたのですが、現在は広い庭があり天気にも恵まれているので、念願の家庭菜園にも取り組めました。同じように、東京ではできなかったことを暮らしの中に取り入れていきたいと思います。

公共交通機関が豊富な都会暮らしだったため、必要性がなく車を所有していなかった品川さんご一家。大分市に移住してからも、しばらくは購入しなかったそうです。

皓亮さん : 車がなくても生活できるので、今年の2月までは買わず、ずっと自転車や公共交通機関を利用していました。息子の通園のために自転車で送迎していたのですが、毎日の行き帰りで見る山や田んぼ、川、空などの自然の景色が素晴らしく、それだけで都会とはだいぶ違って感じます。わさだタウンやコープ、保育園や学校が近くて、恵まれた生活環境だと思います。

瑶子さん : 東京で暮らしていた頃は自転車すら持っておらず、専ら公共交通機関を利用していましたが用意も大変で、旅行などでない限りは子ども達3人を連れて出かけることにハードルを感じ気軽に利用しづらく、何をやるにも躊躇していました。毎週週末が近づいてくると「今週末どうしよう」と考えていました。ところが、大分では家族と一緒に気軽に出かけることができます。妹が舞台に出演するなどで、3ヶ月に1回ほど東京に遊びに行ったり、友人と会ったり、新潟の実家に帰るなどしていますが、空港までの道も整備されており、特に不満はありません。

その一方で、大分の公共交通機関に関して、不便な点も感じたそうです。

瑶子さん : 東京で暮らしていた頃はバリアフリーに整備されていて感じなかったのですが、大分ではバスに階段があるため、障がい児用のバギーを持ち込むのは至難の業です。障がいを持つお子さんがいる家庭の場合、マイカーを使わずバスなどの公共交通機関を多用するのは難しいかもしれません。

滑り台を降りる皓亮さんと息子さん2人と、それを見守る瑶子さんと長女

優しい県民性

2021年10月から大分市で暮らし始めた品川さんご一家。日々の端々で都会での生活との大きな変化を感じるそうです。

皓亮さん : 特に移住してから感じたのですが、隣人を知らず会話しないのは当たり前の東京の暮らしと比べると、大分県の県民性なのかどこに行っても知らない人が気さくに声をかけてくれて話しやすく、老若男女問わず子どもに優しいと感じています。ご近所さんはみんな私たちの親世代以上のご夫婦が中心ですが、子ども達にとても良くしてくれます。

自転車で行ける範囲でも広々して自然が豊かな公園もあり、県内各地に魅力的な公園や子連れスポットがあります。コロナ禍の影響でまだまだ足を運べないものをありますが、ななせの火群まつりは凄く良かったですし、府内戦紙は見に行けませんでしたが子供が保育園で習いとても気に入っています。

瑶子さん : 私は子育て支援活動を中心にしているので、同じく子育て支援に携わるママやパパたちとの繋がりに助けられています。SNSで移住・大分の魅力を発信することで、大分県内のママたちからメッセージをもらうことがあり、そこで貴重な情報をやりとりさせてもらっています。

長女は療育や特別支援を必要とする肢体不自由児ですが、充実したリハビリや放課後等デイサービスを利用でき、とても助かっています。施設同士の連携が強く、相談するといろいろなところをスムーズに紹介してくれてありがたいです。

不満や不便を感じるところはないかお聞きすると、こんな答えが返ってきました。

瑶子さん : 車を持つまでは、長女の通院が少し大変だったというぐらいですね。また、支援学校は東京では送迎バスがメインですが、こちらでは親の送迎が必須などはあるものの、今のところあまり思い浮かびません(笑)。

子ども達は可愛い盛り

移住希望者へアドバイス

いつしか「大分が子ども達の故郷になれば良い」と話してくれた品川夫妻。これからも大分市で暮らしていきたいとのです。

皓亮さん : 東京では家で遊ぶことが多くアウトドア派ではなかったのですが、移住後は水槽を用意しておたまじゃくしとって育てたり、クワガタの罠を仕込んで昆虫採集をしたり、自転車で近所を散策したりと、屋外で子供と一緒にやれることの幅が広がったと思います。そろそろ長男と次男が物心つく年齢を迎えるので、これからは私と一緒に色々なアクティビティを体験させていきたいと考えています。

また、せっかく大分に移住したので、私の出身地の東京と大分を繋げる活動に取り組みたいと思います。東京の方に大分の良さを伝えて、ぜひ足を運んで欲しいです。

瑶子さん : これからも大分を中心に子育て中のママ達に関わり繋がりながら、私も一緒に子育てを続けつつ、みんなに必要とされる子育て支援の活動を続けていきたいと考えています。

また、自給自足に近い暮らしを送れるように家庭菜園などをもっと広げていきたいです。

理想の暮らしを手にした品川夫妻から、移住希望者の皆さんへアドバイスをいただきました。

皓亮さん : お試し移住でも旅行でも構いませんので、まずは何度も足を運んで、ワクワクする場所や好きな土地を見つけましょう。「この場所に移住するかも」と考えながら足を運ぶと、ただ訪ねる場合とは見え方が違うと思います。実際に移住するとなると色々な条件があると思うので、事前にしっかり考えて行動しつつ、何よりもワクワクを大事にした方が良い結果に繋がると思います。

瑶子さん : 私達の場合、移住先の大分市がお互いの実家から遠いため、最初はどうだろうと思う部分もありましたが、それ以上にワクワクしていました。実際に何度も移住候補地に足を運んで、自分達に合うか感覚で確かめるのがお勧めです!また、SNS等を通じて現地に住む相談できる人ができるととても助かります!

子ども達が作った家族の切り絵など

最後に

大分市の程よい利便性と自然に囲まれ、満足度の高い豊かな日々を送る品川さんご一家のお話からは、移住前にしっかりと条件を考えることや、何よりも自分達で何度も移住候補地に足を運び確認した上で、ワクワクできるか感じることの重要性を教わりました。これからも品川さん夫妻はfaaam~子育て家庭の平和学~などを中心に育児支援に取り組まれるそうなので、移住や子育てに悩む移住希望者の皆さんは、サイトやSNSを通じて相談してはいかがでしょう。

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  • ワクワクする環境で子ども達に伸び伸び育って欲しいという願いから、たどり着いた大分市での暮らし。
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WRITER 記事を書いた人

Kg

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株式会社モアモスト 取締役・一般社団法人まち元気おおいた 理事・Pdw 代表として、サイト・DTP・DTMなどディレクション〜制作をはじめ、ライターや撮影などの業務に従事。大分市府内5番街商店街振興組合の理事として、まちづくりにも携わる。

SC-RECS.com・クラブイベントインフォ・SCLS・DubRize・PLay・合同写真展などを主宰し、各種イベントのオーガナイズからDJやマシンライブなどまで展開中。テルミン使い。

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