大分移住手帖

大好きな地元のために活動する日々。町も人も最高な日田暮らし。

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材者情報

お名前
坂本竜一
出身地・前住所
熊本県熊本市中央区
現住所
大分県日田市小迫町
年齢
46歳
家族構成
妻、長女、次女、三女、祖父、祖母

日田市の高校を卒業後、熊本県に進学したものの、日田市での日々の暮らしの風景が好きで、30歳までには大好きな地元へ帰りたいと思っていたという坂本さん。現在は理学療法士・人力俥夫の仕事をしながら、『ひた暮らし応援団』の団長としても活躍しているそうです。そんな坂本さんの現在の日田市での暮らしについてお話を伺いました。

靴屋時代の坂本さん

地元の当たり前の景色が好き

熊本県で靴屋に就職した坂本さんは、27歳の頃に一度日田市に帰ってきたと話します。

坂本さん:小さな頃から本家の長男はいずれ実家に帰るものだと思っていましたし、地元が好きだったので特に迷いなく当たり前に家督を継ぎました。

2004年に帰ってきた頃は今みたいに自分で事業を始めるというのが流行っていなかったので、仕事があるのかという不安がありましたが、有り難いことに知り合いから大分県西部振興局の仕事を紹介していただきました。林業課で砂防ダムの管理や補修のために山の中を駆け巡りながら、1年間臨時職員として働きました。

その後、幼なじみから「キャラに合っている」ことを理由に理学療法士を勧められた坂本さん。一念発起して資格取得のため、2006年に熊本県の学校に3年間通い、理学療法士の免許を取得後2009年に日田市へUターンしたそうです。

坂本さん:接客業をしていたので人と関わる楽しさを知っていましたし、地域の役に立ちたいという思いと理学療法士という仕事がマッチしたと感じます。

医師からリハビリの指示を受けて施術するのが仕事で、術後すぐのリスクの高い患者さまにも関わらせていただいてます。少しでも早く社会復帰できるように、処置の内容や経過などの記録にしっかり目を通してプランを考え、医師と連携しながら一人一人のリハビリプログラムを立てています。大変なことが多いですが、健康を損なった地元の方々を自分の手で元気にできるのは嬉しいですし、理解のある職場なので自分らしく過ごせています。

理学療法士の学生時代

集落営農のシステムを活用

現在は、2009年に建て直した実家で家族と共に同居をしているという坂本さん。

坂本さん:実家暮らしなのでかなり楽をさせてもらっていますが、同居はかなり大変だと感じています。実家は農業をしていたので、移住当時は自分が継ぐつもりでいましたが、今は営農組合に委託しています。住民が少なく高齢化してきているので、地域の農業をみんなで守っていくシステムを活用しながら、田畑を持っているけど自力で作業できない高齢者や、一人暮らし分の食料を必要とする若者を繋いでいます。さまざまな世代の人とコミュニケーションが取れるのが良いと思います。

地元に帰ってきたいとの思いがあった坂本さんですが、どの部分で地元の良さを感じていたのか伺ってみました。

坂本さん:学生時代は田園風景の中を自転車で通学していたのですが、その景色がすごく良かったんです。御幸橋を渡ると途中から城下町に景色が変わって、時代をタイムスリップした気分でした。今でもたまに千鳥足で、「毎朝通ってたよな」「やっぱりいいな」と思いながら美しい町並みに浸っています。

そして日田市は自然との距離がちょうど良い町だと感じます。総面積の8割が森林で、三隈川という穏やかで雄大な川がシンボルです。昔は泳いだり飛び込んだりして遊ぶ程度でしたが、今では時間があればその三隈川の船着き場でチェアリングを楽しんでいます。朝の時間が愛おしすぎて2020年9月19日から390日間連続で足を運び、三隈川の朝の景色を撮影し続け、ヒタスタイルというフリーマガジンに特集されました。

ヒタスタイルに掲載された坂本さんの写真

日田市に住み続けたい

日田市にUターンしてきて「やっぱり日田は最高」だと感じているという坂本さん。教育面や人付き合いなど日常生活で不便なことは特にないそうです。

坂本さん:近隣住民は小さな頃から知っているので人間関係の構築に苦労はありませんでした。妻とは友人を介して出会い、35歳で結婚しました。日田市は人の繋がりが身近にあるので、結婚に関して周りのお膳立てがあるし仲人がたくさんいるような感じで、「あの子は良い子だよ!」などの情報が結構入ってきます。苦手だと思う方がいるかもしれませんが、それが日田市独特のネットワークで何度も助けられていますし、私にとっては宝です。

周りの方達はみんな日田市に誇りを持っていて、愛が感じられます。高校生などの若い世代が、「日田市が好き」「県外に進学しても絶対に日田市に帰って来たい」と話す子が多いという話を聞き、心強いなと思いました。三隈川や周りを囲む山などの土地がそういう環境を作ってくれているのではないでしょうか。盆地の特性なのか、夏は全国一になるほど暑くて冬はとても寒いです。しかし、囲まれた山々に磨かれた水が流れ込むため、「水郷日田」といわれるほど水が美しく、そのお陰で野菜や果物など作物やお酒が美味しいです。 

また、ほぼ隔月で特色ある大きなお祭りが開かれるので地域を楽しむ機会は多いと感じます。特に7月に開催される日田祇園祭にはUターンした年から毎年参加させていただいていて、毎月3日の例会や忘年会、新年会にも出席しています。

育児に関しては保育所の待機児童がおらず、中学校まで医療費負担なしとかなり助かっています。また幼児教育面では、森と里山を拠点に活動している『森のようちえん おひさまのはら』が注目されています。1泊2日・2泊3日で日田市移住体験ツアーが行われることがあるのですが、幼稚園の体験ができるプランはとても人気があるようです。日田市は移住に注力しているので、移住者交流会で新しい繋がりを広げることができます。自治体によって違いはありますが、移住者の受け入れ地域として、ご近所のサポートが手厚いように感じます。

坂本さんが撮影した三隈川からの景色

九州各地にアクセスしやすい

医療面での支障がさほど感じないと話す坂本さんは、2014年にヘルペス脳炎を患った経験があるそうです。

坂本さん:40℃の熱が続いて頭がパンパンになって痛くて病院に行ったら、髄液が濁っていたようですぐに入院しました。特効薬があったから良かったんですが、薬が間に合っていなければ、麻痺などの後遺症が残っていたと思います。日田祇園祭は悪疫退散などのご利益があるので、参加しているおかげだと感じ、それから今までよりももっと祭りが大事だと思えるようになりました。

胃腸科などは少ないですが歯医者や内科、外科などは自分に合ったところを探せるくらいの数はあるので、医療体制は充実していると言えるのではないでしょうか。また、福岡県が近いので大きな病院にアクセスしやすくて良いと思います。徳川幕府の直轄地である天領というのは九州全域から人が集まるし、アクセスのしやすさにあやかっています。日田市外に住むことは全く考えていません。

買い物に関しては県外のショッピングモールなどに足を運ぶことがありますが、24時間営業のスーパーが2店舗あるので不便は感じませんし、飲食店もちょうどよい規模で存在しています。また、同じ頃にUターンした同級生が、存続の危機に晒されていた『日田シネマテーク・リベルテ』という映画館を引き継ぎ、日田市の文化面を大きく担っています。

UターンやIターンで日田市好きの人がたくさん帰ってきていますし、移住者に日田市の良いところをたくさん教え合ったりして楽しく過ごしています。日田市に帰って来て良かったです。

日田祇園祭に参加した際の1枚

日田市に貢献していきたい

日田市が移住定住促進のために発足させたひた暮らし応援団の団長を始め、さまざまな活動を行なっているそうです。

坂本さん: 2014年頃に日田市が消滅可能性都市に該当していると知り、「大好きな日田がなくなってしまう!」と考え、成功できるかはわからないけど町のために活動を始めました。同じ頃に日田市観光協会が天領日田人力車を行なっていたので、人力俥夫として働くようにもなりました。そうしているうちに、日田市が始めたひた暮らし応援団の団長をしてほしいとの話をいただき、就任させていただきました。団長といっても移住者交流会や応援団の懇親会で乾杯の音頭をとるのが主な仕事ですが(笑)。

応援団は被災地支援や防災活動、日田市への移住支援を行っているNPO法人リエラに所属しています。スタッフの方たちのフットワークがすごく軽いため、日田市のために積極的に活動してくれることも、地域が良くなる理由のひとつだと思います。また、2015年に同級生から「豆田町の空き家を改修して開店したcafé&bar bajio(バヒーオ)の2階で一棟貸しの宿泊施設「水処稀荘(すいこまれそう)」を始めるからその民宿で番頭をやってみないか?」とお誘いを受け、初代番頭に就任ました。そして現在は、理学療法士の仕事を主とし、百姓のように人力俥夫や応援団の団長などさまざまな活動をして、ある意味で『百姓』を目指しています。

坂本さんが初代番頭に就任した「水処稀荘(すいこまれそう)」

移住希望者へメッセージ

日田市への移住を考えている方に向けてメッセージをいただきました。

坂本さん:ひた暮らし応援団のページに載っていますが、

「ひた暮らし」に興味がある方には

ひた暮らし推進室」が心強いひた暮らし支援政策情報を、

特定非営利活動法人リエラ」がとっておきの空き家バンク情報を、

ひた暮らし応援団」がとびっきりのひた暮らし情報を、お届けいたします。

 おいでひた!!

PHOTO

  • 大好きな地元のために活動する日々。町も人も最高な日田暮らし。
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WRITER 記事を書いた人

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材 : くろき かおり
豊後大野生まれ豊後大野育ち。高校卒業後は横浜・東京にて、外資コスメ会社で経営学・マネジメントを学ぶ。その後、石垣島・オーストラリアへの移住。オーストラリアでも同ブランドで勤務したのち、2019年に大分へUターン。現在はフリーランス。趣味は映画を見ること・旅行・サウナ。

ライティング : あべ みさき
東京生まれ大分育ちで、趣味は手芸。介護福祉士として働き、長男出産を機に退職。現在は、子育てをしながら在宅でライターとして働いている。

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