大分移住手帖

パティシエールからIT技術者へ転職。企業主体のITファームで学び、働ける玖珠町への移住。

Tomomi Imai

取材者情報

お名前
岡﨑寧乙
出身地・前住所
出身地:秋田県
前住所:秋田県秋田市
現住所
玖珠郡玖珠町
年齢
24歳
家族構成
単身
職業
会社員
Webサイト
https://itfarm.t8s.jp/

移住者は、自分らしい暮らしを考えて独立する方が多い昨今ですが、サラリーマンでももちろん移住は可能です。スキルがあればなおさらかもしれませんが、今回ご紹介する岡﨑さんは、なんと業界未経験からのスタート。そんな彼女をバックアップしたのは、玖珠町を含め東京都・福岡県・大分県と複数拠点を構えるIT会社「株式会社ティーアンドエス(以下、T&S社)」と、T&S社が提供するIT人材育成事業「T&S IT FARM」の人材育成カリキュラムでした。学費無料、生活費支給まで行う本事業によって、秋田県から玖珠町へ移住した岡﨑さんに、お話をお伺いしました。

自分の将来を思い、IT業界へ転職したくて。

秋田のご実家兼パティシエとして働いていたお店

秋田県生まれの岡﨑さんは、実家の家業である製菓店を継ぐために、専門学校へ通った後、パティシエールになりました。その後、家族と共に家業を守っていましたが、続けていったとしても、今の暮らしに変化が無いのではと思い、自身の進路を再考し始めました。元々パソコン作業などは比較的得意だったことから、IT業界に興味を持つようになったそうです。

岡﨑さん:パティシエールの仕事は充実してはいましたが、続ける中で将来何か成し遂げられるだろうか?このまま人生に何の変化もなく生きるのかとふと思ったんです。まだまだ挑戦できる20代の間で転職を考えるようになりました。両親は、好きなことをして良いと背中を押してくれました。

きっかけは大分県による移住プロジェクトと学費無料のITスクール。

OITA IT MIGRATION PROJECTのwebサイトより

そこで、早速ITスクール探しを始めた岡﨑さん。多くは関東にありましたが、学費が比較的高額で、かつ学習環境に差がありすぎで選べなかったのだとか。そんな中、大分県が大分市にあるITスクール「OITA CREATIVE ACADEMY(以下、OCA)」と共に、OITA IT MIGRATION PROJECT」という移住支援プロジェクトを行っていることを知り、申し込んだそうです。

岡﨑さん:OCAを見つけた時は、人生の転機だと感じました。

OCA」は私塾のようなスタイルで、数か月間、現役のエンジニアにサポートしてもらいながら、自分が学びたい言語をオンラインで学習。ポートフォリオを1つ作成しました。T&S IT FARMへ入校・就職活動の際にこのポートフォリオがあることで自信に繋がったそうです。

岡﨑さん:移住支援プロジェクト受講後の就職先についてはOCAがいくつか情報を提供してくれました。その中で見つけたのが「T&S IT FARM」の募集でした。詳細を見ると、未経験でもプロになれるよう人を育ててくれる環境が整っていて、成長できそうだなと。学費が無料なのに、半年間は月20万円のお給料まで出るという高待遇にも惹かれました。また、廃校した中学校をサテライトオフィスとして活用していたのもあって、面白いプロジェクトだなと感じたんです。他にも、学習環境が用意されている企業がありましたが、比較しつつ、学費や費用の面で待遇の良かったT&S社を選びました。

元中学校を活用した玖珠町のオフィス(サテライトオフィス)

早速秋田県から応募した岡﨑さん。わからないことや実際の土地感等、現地に赴かないと知れない情報は、OCAの担当者がT&Sへ出向き確認してくれたそうで、とても安心感があったと言います。試験内容は当日にならないとわからず不安もあったそうですが、無事試験を突破し、IT FARMへの入学許可が出た時は、とてもうれしかったそうです。

取材したお部屋は元中学校の教室

移住支援プロジェクトにもT&S IT FARMにも1期生として入校し、晴れてT&Sの社員として入社した岡﨑さん。取材当時は入社後3ヶ月のOJT中で、いくつかある開発チームの中で先輩についてもらいながら実際に開発を進める日々。OJTが終わるといよいよ本格的な製品開発に入るそうです。

岡﨑さん:クライアントは民間から行政まで幅広く、やるべき仕事はアプリの開発やwebサイトの構築、グラフィックなど多岐に渡ります。元中学校が社屋なので、休日には目の前にある体育館や校庭で気晴らしに同期とスポーツをすることも。自然に囲まれた環境の中で、伸び伸びと学べるこの環境に感謝です。

申し込めば誰でも借りることができる体育館

デスクワークに疲れたら目の前にある校庭で深呼吸。

自分の足で頑張った家探し。

自宅の様子

秋田県から受験し、見事T&S IT FARM」の第1期生となった岡﨑さん。最も遠方からの入校となり、玖珠町へ移住することが同時に決定!そこで、早速家探しを始めたそうですが、苦労したそうです。

岡﨑さん:私は単身での移住だったので、空き家バンクにあるような大きな家では持て余してしまいます。秋田県から大分県へ行くのは、遠いんです。家探しのためにわざわざ行くのは…と思いつつ、あまりに情報がなかったので、行くしかありませんでした。縁もゆかりも友人も居ない玖珠町で、3日間町中を歩き回り、空き家を見つけたら問い合わせて、なんとか2軒候補になるものが。その中で古いけれど大家さんが優しくて、少し広い今の家に決めました。

秋田県からの引っ越しは、距離も相まって決して安くはない引越費用がかかったのだとか。家電も持っていくと運搬費がかなりかさんでしまうので、現地で買うことに。エアコンが付いていない物件だったので、それも購入。玖珠町の移住担当者が相談に乗ってくれたり、県の移住プロジェクト・宿泊補助・移住支援金等、行政の補助があり大変助かったそうです。

岡﨑さん:大家さんが荷物運びなどを手伝ってくれました。秋田県からの移動を考え一回で引越を済ませたため費用はかさみましたが、部屋が広いので置き場所には全く困っていません。1軒家を2世帯に分けている物件で、お隣は子供が複数いる賑やかな家族だったため、1人でも寂しくありませんでした。近所の方が畑をしていたり、高校生の部活の声が聞こえたりと賑やかなので、なんだか暖かい気持ちになります。近くに新築アパートで同じ賃料の家があったのですが、せっかくなら地域に近いところで暮らしたいと思い、今の家にしました。

校舎の渡り廊下から見える雨上がりの景色

玖珠町で気に入っているのは、自然豊かなところだという岡﨑さん。 特に、雨上がりの景色がお気に入りで、周囲をぐるっと囲んでいる山々からおとぎ話のように湧き出てくる水蒸気が、とても幻想的で、家族や友人によく自慢するそうです。

また、玖珠町ならではなのが、一般道を戦車が走っていること。自衛隊駐屯基地がある町なので、一般車両と戦車が道で並ぶ光景も、ここでは珍しくないそうです。玖珠町役場サイトで、時刻・進行方向は公開されていますが、観光向けにマップやアプリ等として公開し、観光にしてみてはどうかとアイディアが出てくるのも、先のスクールでの学びがあってこその着眼点なのかもと、終始関心していました。

岡﨑さん:自然が豊かなので、春が楽しみです。玖珠町は雪や凍結があるので、車はどうしても必要だと感じていて、今後買うか検討中です。現在は職場へ徒歩で行けますが、今後行動範囲を広げる上では必要かもしれません。

休みの日に自宅で作ったお菓子

情報がなかなか手に入らないのが難点

家の情報だけでなく、医者や美容院の情報があまりなく、困ったという岡﨑さん。レビューがないので良いのかどうかがわからず、町の人に聞くしかないのだとか。とはいえ、新しい土地でどの程度地域と関わればいいのかの塩梅がまだわからず、少し不安はあるようです。

岡﨑さん:HP・SNSから情報が手に入らない場合が結構あるため、社内にいる地元出身者に聞きながら実際に行ってみて知るということがほとんどです。病院に関しては、緊急時にならないと注目しませんが事態が起きた時には遅いので、web上に情報(救急用まとめサイト等)があると良いなと思います。お祭りに関しては、人伝てに教えて頂き、開催日がわかるものはできる限り参加するようにしていました。最近、玖珠町観光協会に祭りの開催時期が掲載されていることを知ったため、今後も積極的に参加して、地域をもっと知りたいなと思っています。また、こういった告知もIT技術を用いて、よりわかりやすく、玖珠町に新しく入ってきた人でも過ごしやすい町にしていけたらいいなと思います。

新しい土地だからこそできることにも挑戦中

最近、趣味で始めたネイルデザイン

IT業界への挑戦は大きな一歩ではありますが、新たな土地に来たからこそ出会える新しい自分を常に探求している岡﨑さん。今までいた業界ではできなかったことを含め、IT以外でも色々挑戦しているようです。

岡﨑さん:飲食業界で仕事をしていた頃はなかなか服飾関係に手が出せませんでした。今の会社では基本自由なため、会社の先輩がしている素敵なネイルを拝見したことがきっかけで、現在はジェルネイルにチャレンジしています。数ヵ月続けていたら、結構綺麗にできるようになりました。また、髪型も自由になったので、以前から参加しているヘアドネーションでバッサリと髪を切ったタイミングで、ヘアカラーも何度かやってみました。仕事以外でも挑戦できる世界があるのは楽しいですね。

最後に

いつか業界の垣根を越えてITを掛橋に日本の発展に貢献できるような人になりたいと話してくれた岡﨑さん。公私で幅広くチャレンジしながら、新しい自分に出会えることを日々楽しんでいる姿がとても印象的でした。T&S IT FARM」では現在第3期生を大募集中。年齢・性別・国籍を問わないとのことで、是非この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

WRITER 記事を書いた人

Tomomi Imai

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25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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