大分移住手帖

移住者の成功事例・失敗事例などの体験談を教えます!〜大分県日田市の移住支援団体 NPO法人リエラさんの場合〜

KAORI

取材者情報

お名前
NPO法人リエラ 河津 由美さん
家族構成
8人家族(ご主人の両親と、ご主人、河津さんとお子さんが4人)
Webサイト
https://www.re-area-hita.com/

NPO法人リエラのみなさん

地方に移住したいという人は年々増えています。「都会の喧騒から抜け出してのんびりと田舎で暮らしたい」「小鳥のさえずりで目を覚ますような自然豊かな生活に憧れる」という方もいるでしょう。しかし、準備が十分でないままに勢いだけで移住してしまうと、先入観とのギャップに苦しみ、”こんなはずじゃなかった”という事態に陥ってしまうことがあります。

大分移住手帖のサイトでも「移住 失敗」という検索ワードでの訪問が多いため、今回は日田市の移住に多くの実績を持つ「NPO法人リエラ」さんに、実際にあった失敗などの移住の体験談をお聞きし、”事前に知っておけば防げること”としてご紹介します。

商店街にあるオフィスの中の様子

NPO法人リエラについて

2019年に設立された災害支援と移住支援を行う団体 NPO法人リエラ。2017年に発生した九州北部豪雨の際に、近隣住民の方々から移住者が孤立している姿を目にしたことがきっかけで、ソフト面でのサポートをしたいという想いから発足されました。近年起こる様々な災害を目の当たりにし、災害時の円滑な対応・日常的な備え・防災意識の向上などが求められている昨今、命と暮らしを守るため日常からお互いに支え合い、安心して暮らせるまち・ひとづくりを目指しているそうです。

主な活動内容は、災害発生時の緊急支援・物資供給などを担う災害支援事業、災害時の対応・防災意識向上のための研修や実演などを行う防災活動事業、そして日田市の移住者が地域などのコミュニティーにつながる場作りの企画運営・移住定住に関する相談対応などを行う移住定住事業の3本柱です。

移住定住事業では、空き家バンクの管理をはじめ、東京・大阪で行われる移住相談会の実施や、イベントや移住者交流会などの企画運営を行っているとのことです。

空き家バンクだけでいうと、2022年度は内見者174名・内見総数299件に及び、その他にも利用登録者からの問い合わせや相談件数は679回という実績で、昨年度だけでリエラを利用して19世帯の方々が移住したそうです。

そんなリエラで事務局長として移住者や移住希望者に寄り添って活動している河津さんに、現在の活動などについて詳しくお聞きしました。

事務局長 河津 由美さん

今回お話を聞かせていただいたのは、生まれも育ちも大分県日田市で、生粋の日田っ子の河津由美さん。お子さん4人とご主人のご両親も合わせた8人の家族で暮らしています。10〜20代の頃は日田から出たいとばかり思っていた河津さんですが、今はちょうどいい街の規模感や自然の多さ・人の良さで、日田が大好きになったと話してくれました。以前は「山の中には住みたくないと思っていた」そうですが、今では山奥にあるご自宅の窓からの景色が一番好きな景色のひとつになっているそうです。

日田市内でずっとOLをしていた河津さんでしたが、少し飽きて違うことしたいと考え始めていた時に”集落支援員”という言葉を知り、「なんだか面白そうだな」と思って応募し採用された後、3年間働いて任期満了を迎える頃に九州北部豪雨に見舞われたそうです。その際に災害支援のため日田市を訪れた、以前からご縁があった松永さん・河井さんと活動を共にしたことがきっかけとなり、リエラを始めるに至ったそうです。

今では「歩く住民票」と言われるほど広い繋がりを活かして、日田に魅力を感じて移住してくる皆さんが「ひた暮らしを始めてもっと日田を好きになり、孤独にならない」ようにサポートしているとのことです。

河津さんのご自宅周辺から見える景色

過去にあった移住失敗談

多くの移住者に寄り添ってきた河津さんに、実際にあった移住に関する失敗例についてお聞きしました。

河津さん:都会から来た方だと「思ったより虫が多かった」という環境の変化や「方言がわからない」と言った言葉の壁、「家を買ったけど思った以上に改修費がかかった」などの金銭的な内容など多岐に渡りますが、その中でも「地域の方との関わり方」で悩む人が一番多いと感じます。特にご年配の世代は「余所者を受け入れられない・自分たちが守ってきた集落を乱されたくない」という気持ちが強いようですし、行政は関係構築の手助けまではしてくれないので、どうすれば地域の方と仲良くなれるのか方法がわからず困る人は結構います。

そんな悩みを解決するために、リエラで取り組んでいるサポートについて教えてくれました。

河津さん:リエラでは、まず空き家バンクとして物件を登録できるかの調査をするのですが、その時に地域の自治会についても調べるんです。地域のお祭りなどのイベントはどのくらい参加するのか・町内会費はいくらかどいう各地で共通する内容から、みんなで引いている水を使うのに初期費用がかかるといった独特な事例など、移住を考える方に事前にお伝えできることはするようにしています。

班長さんや公民館長さん、自治体への挨拶などな必要な場合、一人で行くことに不安があれば、顔のきいた河津さんやリエラの方々が一緒に足を運んでくれるそうです。できるだけ孤立せずに心地よく過ごせるように、みなさんでサポートされているのが凄く伝わってきました。

移住相談会での様子

移住を成功させるポイント

移住を成功させるためのポイントを河津さんは「しっかりとした事前調査」だと話してくれました。

河津さん:大分県といえば温泉ですよね。「温泉付きの家に住みたい」という移住希望者はたくさんいるんですが、温泉ってメンテナンスが大変なんです。この前ご紹介した移住者の方は、しっかりご説明して他の方法などをお伝えした上で、温泉付きの家ではなく毎日温泉に通える場所にある家をご紹介したら即決でしたね。

事前に地域に住む皆さんの情報をしっかり得ることで、ネガティブなギャップを減らすことができると思いました。しっかりした体制で長期に渡ってサポートしてくれるリエラは、移住希望者にとってとても大きな存在です。家や地域を選ぶ際には、リエラのスタッフが希望の子育てやライフスタイルについてまで、しっかりとヒアリングをしてくれるのでミスマッチを防ぐことができます。

河津さん:以前、「農業をしたい」という沖縄からの移住希望者から相談がありました。「全く農業をしたことがないけど、小さい頃からの夢だったからその準備をしたい」という要望を叶えようと、見学ツアーをオーダーメイドで組み、農業委員さん・農業組合さん・農業を実際にやっている人たちに会ってもらいました。農業のおっちゃんたちは「農業はそんなに甘くないよ」など厳しいことを言うんですけど、先輩移住者にも会ったりした上でその方が思ったのは「大変だろうけど受け入れてくれている、そして農業ができる環境がある」ということだったそうです。移住を決意し、もう2年ほどしっかり農業をされています。

移住前に候補地の土地を実際に訪れて、そこで暮らし働くことになった際に触れ合う人たちに事前に会えることで、想定される不安要素を知ることや払拭することができます。リエラを利用して移住される方は、事前訪問で心の準備や覚悟ができるためなのか、スタッフが賃貸を勧めたとしても、家を購入される方が多いそうです。

移住者交流会での様子

移住希望者へアドバイス

河津さんから移住希望の方へメッセージを頂きました。

河津さん:日田は良いところです!ただ、都会から移住を考えている方は、職場のコミュニティで悩んだ結果「田舎でゆっくりしたい」と思う人が多いですが、田舎にもコミュニティがあることは知っておいてください。だから中間支援の方にもっと頼って、移住先を選んでみるといいと思います。もしコミュニティが嫌なら市街地の集合住宅も良いし、そういった提案を受けることもできます。周りに相談できる人を見つけた方が暮らしが楽です。ぜひ移住者交流会に遊びに来てください。

日田市三隈川の夕日

最後に

移住前に気になる地域を知るためには、インターネットや紙など情報がメインとなりますが、実際に現地で暮らす住人の話を聞いたり、仲介してくれる中間支援を受けたりすることで、事前に生の情報を得てミスマッチを防ぐことができます。日田市は県外からの移住者数が大分県内で6年連続1位という人気の地域ですが、立役者としてNPO法人リエラがあると感じました。

どこに住もうか悩んでいる方は、充実したサポート体制の中間支援がある地域から選ぶと良いかもしれません。

WRITER 記事を書いた人

KAORI

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くろき かおり
豊後大野生まれ豊後大野育ち。高校卒業後は横浜・東京にて、外資コスメ会社で経営学・マネジメントを学ぶ。その後、石垣島・オーストラリアへの移住。オーストラリアでも同ブランドで勤務したのち、2019年に大分へUターン。趣味は映画を見ること・旅行・サウナ。

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