大分移住手帖

田舎と都会の暮らしを経験してたどり着いたのは、ちょうどいいサイズ感の「大分市」

Shizuka

取材者情報

お名前
井上 龍貴
出身地・前住所
千葉県松戸市
東京都
現住所
大分市
年齢
35
家族構成
3人
職業
ギャラリーカフェ mazeruオーナー
Instagram
https://www.instagram.com/gouniiruzu/

大分県玖珠郡出身の井上龍貴さんは、大分市内での工場勤務や玖珠町地域おこし協力隊員としての活動をしていくうちに、クリエイティブな仕事に憧れをもつようになったそうです。奥様の後押しもあり、大分県を離れて首都圏での生活をスタートしたのですが、千葉・東京でまちづくりやプロジェクトプロデュースの仕事をする中で、いつかは大分県に戻って都会での経験を還元したいと考えるに至ったということです。一度地元を離れたことで大分県に対する愛を再確認し、大分県で起業したいと考えた井上さん。そんな「おおいた愛」を力強く語る彼の大分市での暮らしと今後の夢についてお話を伺いました。

3人家族の井上家

次のステップに繋がる第一歩となった地域おこし協力隊の経験

大分市内の工場で勤務しながら、転職を考えていたという井上さん。生まれ故郷の玖珠町で地域おこし協力隊の募集があることを知り、自身の興味がある「まちづくり」の仕事だったため応募したところ、Uターンということもありすぐに採用され「観光」をテーマに玖珠町の地域おこしをすることになったそうです。

井上さん:地域おこし協力隊になって、玖珠町の観光に関する仕事をする役割だったのですが、工業高校出身の工場勤務で、観光の知識なんて何もないし、毎日何をしていいか分からなかったんですよね。

と、笑いながら語る井上さんは、とにかく玖珠町の観光のことを知るために玖珠町内の色々な所に行っては写真を撮ってSNSで発信していたとのことです。活動の参考にするために、他の市町村で活動する地域おこし協力隊員に会って話を聞いているうちに、玖珠町の観光を盛り上げるアイデアが自然と湧き出てきたそうです。

そんな中、都会から玖珠町への移住促進の現場に立ち会う機会があり、井上さんは移住に対するアドバイスが十分にできず自分の経験不足を痛感したとのことです。

井上さん:自分自身が都会の暮らしを経験したことがないので、都会の人が田舎に移住する時に求めることが分からなかったんですよね。なので、一度関東に住んで都会の暮らしを経験してみたいなと思ったんです。

田舎の玖珠町で生まれ育ち、幼少期は都会にほとんど出たことがなかった井上さんは、異なる暮らしを体験しようと家族で関東への移住を決断しました。

玖珠町地域おこし協力隊の活動風景

関東で得たスキルや価値観とともに大分市にJターン

井上さんが関東での生活の場として選んだのは千葉県松戸市でした。地域おこし協力隊時代に建築家や木工作家とものづくりをしていた経験を通じて培ったクリエイティブな感性を活かしてまちづくりの企業で働き、松戸市内で活動するアーティストやクリエイターにアトリエとなる活動拠点を紹介するエリアブランディングの仕事をしていたそうです。その後、もっとクリエイティブな仕事の最前線を経験したいと東京都心部のクリエイティブカンパニーに転職し、日本の最前線のプロジェクトデザインスキルを身につけながら都心の生活をたっぷりと味わったとのことです。

そんな東京でクリエイティブな仕事をしながらの生活の中でも、いつも心にあったのは「いつかは大分県に戻るんだ」という気持ちでした。都会での暮らしの中で地方で暮らすことの素晴らしさと大分県の魅力を再確認した井上さんは、自身のクリエイティブな技術で大分県のまちづくりに関わる事業を創り出したいと、常々思っていたとのことです。

ある時、大分県の企業のブランディング支援をすることになり、大分県出身の井上さんが抜擢され、企業理念の刷新や新規事業開発の仕事をすることになりました。それがきっかけとなり、大分県に戻って自身の事業を始めようと思い始めた井上さんは、大分県内のどの地域に住もうかを本格的に考え始めました。もちろん、生まれ故郷の玖珠町に住むことも考えたのですが、いつしか「大分県中を繋ぐような拠点を作りたい」という想いを抱くようになりました。大分県の県庁所在地である大分市には、ホテルなどの宿泊施設もたくさんあるのですが、ゲストハウスがないということに気がついた井上さんは、「玖珠町ではなく大分市でゲストハウスを作ろう!」と大分市への移住を決意したそうです。

街中でのゲストハウス開業を考えていたため、なかなか宿泊業ができる物件を見つけることができず、まずはスモールスタートとして、大分市府内町に事務所兼店舗のギャラリーカフェ「mazeru(マゼル)」をオープンしました。

機会があればソフトクリーム屋さんをやりたかったという奥さんのリクエストもあり、井上さんはソフトクリームをメインにしたカフェにしようと、メニューや内装を奥さんと一緒に作り上げていきました。

アートが好きな井上夫妻は、カフェにアーティストの作品をおいて展示・販売をしています。将来的にはゲストハウスとカフェ、オープンスペースショップが一体化したスペースにしたいと夢を語ります。大分市への移住というステップを経て、実現したいクリエイティブを地元大分県で創り出す第一歩を踏み出したのです。

井上さん:ブランディングの考え方に「要素分解」というのがあるんですが、ソフトクリームを分解していったら、色々なものが交ざっているということに行き着いたんですよね。ゲストハウスも色々な人が交ざり合う場所ですし、アートも感性が交ざり合ってできるものです。だからお店の名前は「mazeru」がいいなと思ったんです。

そんな想いで付けられた店名は、玖珠町・千葉県・東京都・大分市、それぞれの土地の特徴を合わせ持つ井上さんだからこそぴったりのネーミングだと感じました。

mazeru店内

地域社会の課題を解決する「mazeru」

都会よりコストがかからない大分と言えど、中心市街地にお店を構えようとすると初期費用が相当かかります。移住するための引越し費用などもあり、開業のため補助金などが活用できないか検討していた井上さんは、移住を相談をしていた自治体担当者に「地域課題解決型起業支援補助金」という存在を教えてもらったそうです。かなりハードルは高かったそうですが、開業のための資料を作り込み、その相談や添削など自治体担当者が常に伴走をしてくれたおかげで、なんとか補助金の採択を受けることができたとのことです。

開業について語る井上さん

歩道の広さで実感した住みやすさ

のどかな田舎町と忙しい都会の両方の暮らしを経験した井上さんご夫妻が、大分市に移住して初めて住みやすさを感じたのは「歩道の広さ」だったそうで、今では小学生のお子さんの子育てをしている井上さん夫妻は、都会と比べて子どもと一緒に歩きやすい大分市の歩道にとても助けられたそうです。

奥さん:街中を歩く時に道幅が狭いと、ベビーカーが通りにくかったり、子どもが飛び出したりするんです。大分市の中心市街地にある歩道や横断歩道は「こんなに大きいの!?」と驚いてしまいました。

また、子どもをすぐに病院に連れて行ける環境は、子育て世代の井上さんご夫妻にとって重要とのことです。

奥さん:玖珠町で暮らしていた際は、近くに小児科のある病院がなかったので、夜に発熱したりすると高速道路を使って大分市内まで1時間かけて行く必要がありました。それと比べると、大分市は病院がたくさんあって本当に助かります。

さらに井上さん夫婦は「大分県の良さと言えば、何といってもおいしいごはん!」と口を揃えて言います。都会と比べてお魚や野菜のクオリティが全く違うので、毎日の食が楽しくなったそうです。

大分市と都会の暮らしを比べると、美味しい食材が揃う・歩きやすい・固定費が安い・医療環境も整っていて、豊かな生活を送ることができ、悪いところを探そうとしてもなかなか出てこないほど心地いいそうです。

家族写真

体験したら好きになる街「大分市」

「移住を検討している人に向けて何かアドバイスはありますか?」と伺うと、井上さんから「とにかく一度来てみてください!大分県に来て美味しいご飯を食べて温泉に入ったら、もう言葉はいりません。絶対に好きになります。」と力強いお言葉を頂きました。ゲストハウスを作るのも、大分県の豊かさを一人でも多くの人に体験してもらいたいからこそだそうです。

井上さん:大分県の人は、ビジネスを県内で完結させますし、地元では実現できないから県外に出るということが少ないと思います。一見すると「閉鎖的」なように見えますが、たくさんの方にお会いするうちにそうではないことがわかったんです。地元の人はみんな「満ち足りている」のだと思います。美味しい食をはじめ、住みやすさやビジネスや娯楽に至るまで、地元にある資源だけで満足できるので、県外に出なくてもきっと幸せなんです。

そう語る井上さん自身も、とても満ち足りて活き活きとした表情でした。

井上さんご夫婦

最後に

田舎の玖珠町と都会での暮らしの両方を経験した後に、ちょうどよく住みやすい街であると感じた大分市に移住した井上さん。まちづくりの経験や、プロジェクトデザインスキルを活かして、これからは街全体のエリアブランディングを進めていき、まだ見つかっていない「新しい大分市のエリア」を作っていきたいそうです。細々とでもいいから、自分がいいなと思える人と、素晴らしいと思える場所で、自然体に生きていくことが井上さんにとって心地良いライフスタイルであり、それが大分市でした。

都会から地方への移住ブームはまだまだ続いていますが、どの街が自分にとって一番心地いいと思えるのかは、やはり足を運んで滞在して、その土地の人と触れ合い、その土地のものを味わい、自身の価値観とすり合わせることがとても大切かもしれません。大分市にお越しの際はぜひ「mazeru」で美味しいソフトクリームを食べながら、移住に纏わる話を聞いてみてください。

PHOTO

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FACILITIE

手作りワッフルのソフトクリームと、アート作品に触れ合えるカフェ mazeru

大分市府内町にあるカフェmazeruは注文が入ってから丁寧に焼きあげる自家製ワッフルコーンでいただくソフトクリームがおいしいオシャレなカフェ。
店内には店主の井上さんお気に入りのアート作品がずらりと並び、可愛らしいアート作品を眺めながらゆっくりできる空間です。
お気に入りの作品を見つけたら、お買い求めいただくこともできます。

mazeru

大分市府内町3丁目5−17 第一石松ビル 303

田舎と都会の暮らしを経験してたどり着いたのは、ちょうどいいサイズ感の「大分市」
WRITER 記事を書いた人

Shizuka

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宮城県出身で大分へ移住。大分の魅力に取り憑かれ、大分の素敵な場所を訪れては、ライターや動画クリエイターとして活動しています。

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