大分移住手帖

大分県佐伯市で移住支援をしている「困り事お助け協会」さんに、移住の失敗事例・成功事例の体験談を聞いてみた

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材者情報

お名前
小園健一
現住所
佐伯市
家族構成
奥様・娘10歳・息子2人(8歳、6歳)

「集落の寄り合い」に関して、面倒だと思う人もいれば、地域の人と関われると捉える人もいますよね。移住で出てきたイベントを失敗と捉えるか、成功と捉えるかはその人次第なのではないでしょうか。

大分移住手帖のサイトでは「▲▲市 移住 失敗」キーワードで多くのアクセスがあります。今回は自身も実際に佐伯市へUターンし、移住してきた人と関わることの多い、困り事お助け協会の小園さんに事業内容や移住に関して事前に知っておくべきことなどについて伺いました。

困り事お助け協会のオフィス

困り事お助け協会のオフィス

困り事お助け協会について

遺品整理・生前整理・特殊伐採・草刈り・蜂駆除・害獣駆除などを行う困り事お助け協会。佐伯市を駆け巡り、困っている人を助けるというイメージで作られたキャラクター「こますけ」「おたすけ」がとても可愛いです。そんな困り事お助け協会の代表である小園さんに、現在の活動内容などについて詳しくお聞きしました。

今回お話を聞かせていただいた小園さんは、生まれも育ちも大分県佐伯市ですが、土木の現場管理やトンネル土木作業員として働きながら全国を回っていました。結婚して子どもが生まれたものの、仕事で家を空けがちなため電話で子どもの様子を聞くような生活が続き、直接子どもの成長を感じられない生活に違和感を感じていたそうです。そんな中で30歳までには佐伯市に帰ろうと決意し「佐伯市に戻ったら起業しようとぼんやり考えていた」と話します。

移住して子どもと過ごす時間が増え、現在は10歳・8歳・6歳の子どもと共に生活している小園さんに。困り事お助け協会が設立された経緯について伺いました。

小園さん:元々土木関係の仕事に就いていたこともあり機械を触ったり作業をしたりすることが好きで、お客さんのニーズに合わせて対応できるよう、2007年に「ベンリー」という名前で便利屋業を始めました。そんな中、テレビなどで「遺品整理」「断捨離」「終活」という言葉を聞き、遺品整理専門として社名を「困り事お助け協会」に変更して2014年に法人化しました。遺品整理を主に行っていくうちに、「裏庭の木をどうにかして欲しい」「お墓をきれいにして欲しい」「蜂の巣を駆除して欲しい」などの相談にも対応するようになり、現在は幅広い相談内容にも対応するようになりました。

蜂駆除

蜂駆除

佐伯市内の困りごとはおまかせ

2019年には「NPO法人 空き家サポート大分」に所属、2020年には佐伯市に会社を構える17社を揃えて、片付けや外構工事、電気関係、登記や名義変更など、さまざまな困りごとに対応できる「困り事サポート佐伯」を設立し、副理事として運営を始めたそうです。

小園さん:さまざまな工事や登記など困りごとがあり、ネットで調べるとたくさんの業者が出てきて頼るべき業者がどこなのか分からなかったり、頼んでも高い見積もりを出されて損してしまったりすることもあります。また、年配の方は市役所などに相談することが多いものの、役所自体が直接対応したり特定の会社を紹介することも出来ず、相談者を無下にも出来ないので結局解決には繋がらないんですよね。「それなら佐伯市内の信用できる会社を集めて安く対応できるようにしたら良いのでは」と考え色々な人と話をしていましたが、人脈も実績もなかったので設立までに時間がかかりました。

以前、佐伯市内にある空き家の元々の持ち主の最終的な親族に当たるご夫婦が東京都内から尋ねて来られ、時間や交通費をかけてまで自分たちで対応するのは難しいとのことで、家の片付け依頼を受けたことがありました。片付けたあと空になった家をどうするのか尋ねたところ、「今後この家にも佐伯市にも来る予定もないから管理しておくことができない」と話しており、買い手を探しているようでした。ちょうど、空き家のすぐそばに倉庫や駐車場を探している会社があることを知っていたので、困り事サポート佐伯のメンバーに相談したところ、司法書士や不動産屋に連絡してくれ、最終的にその会社の社長が買い取って社宅にすることで話がまとまりました。結局、話を始めて1時間もしないうちに解決できたので、「団体を創るにあたって実現したかった理想系だ!」と思いました(笑)。

特殊伐採

特殊伐採

移住して空き家を購入した方から「庭木が多いから切って欲しい」「床が凹むからなんとかして欲しい」「オール電化にしたい」など相談を受けた際は、基本的に団体に所属する17社の会社に振り分けて対応を行っています。所属する会社で対応できなくても、団体内の誰かのツテで対応できる業者を紹介することができ、全てが困り事サポート佐伯だけで完結するのでお客さんをたらい回しにすることがなく安心して頼ってもらえます。行政の人や移住・定住を考えている人に団体のことを知ってもらえると嬉しいですが、それぞれの業者が既に抱えている仕事もあるので、あまり忙しくなりすぎないように積極的なPRはしないようにしています(笑)。

人間関係の悩みは多い

自身も移住を経験し、移住者との関わりもある中での失敗談に関してお聞きしました。

小園さん:どの地域でも同じですが、やはり人間関係で「思っていたのと違った」ということは多いようです。地元民は近所にどんな人が移住してくるのか心配に思ってる人が多いですし、移住者側もトラブルになってしまうような人が居ないかなどを気にしています。前もってその地域を訪れてみて、日当たりや災害に関して地域の方に聞くことはできますが、流石に人間関係については聞けないですからね(笑)。

地元の方には、主に地区の行事を盛り上げている世代が引退してしまったらどうすれば良いのかという悩みがあります。そのため、地区の役員を引き受けてくれたりお祭りや草刈りなどの行事に参加してくれたりする若い人を求めているんですよね。朝早くからの作業も多いですし消防団に入ったりなど大変なことも多いので、「やりたくない」と思う移住者の方もいると思います。そうなると地域の方とうまく関われなくなってきてしまうし、「移住 失敗」に繋がってしまうのかなと思います。

移住での失敗を避けるためにはどうしたら良いのでしょうか?

小園さん:佐伯市自体が結構人気があるようで移住者が多いのですが、各エリアによって待遇が変わります。ある地域は世話焼きの女性がいるから困った時にすごく頼りになったりしますが、ある地域は移住者に対して「よそ者」意識が強くてなかなか受け入れられなかったりもするのでエリア選びは大事ですね。地域性がすごく出るので、一度足を運んで短期間だけでも住んでみると良いかもしれません。

また、移住前後で「聞いてなかった」などのいわゆる失敗を減らすために、令和4年度に佐伯市が県の支援を受けて地域カルテ(地区の区費、地区行事、地区のインフラなどの決まりごと)を作成するために全区長を通じてアンケート調査を実施しました。その際のデータ入力などの取りまとめ業務を、委託により困り事お助け協会がお手伝いしました。

移住後のサポートとして、令和5年3月には移住者交流会が実施されました。本匠の大水車でのソバ打ち体験と共に移住者通しの交流が図れたと思います。その際の運営についても、我々が主体となって市からの委託を受けて実施しました。参加者の皆様の楽しそうな表情に私どもも貴重な体験をさせてもらいました。

小園さん

小園さん

移住のターゲットを絞るべき

小園さんがこれからやりたいことについて伺いました。

小園さん:2010年には自然の多い佐伯市ならではのアクティビティを楽しめるように「童心に蛙」という団体を作り、キャニオニングツアーを行っています。観光地のアクティビティを増やしたり、空き地や空き家を活用してできる商品を増やしたり移住してきてもらえる環境や楽しめる基盤作りをしたいと思い、始めました。

また、準備段階ではありますが「おもしろ空き家バンク」というサービスも始めています。

例えば、「大きな木があって困る」という家でも見方によっては、「ムササビの住む木がある家」「ツリーハウスが作れる家」という売り出し方もできるんですよね。移住・定住を盛り上げていくためにも色々な角度から来ていただきたいので、そういう面白い空き家ばかりを集めたサイトを作っていきたいと思っています。単に「安くて海辺に住めるから移住しよう」という考えだけだったり終の住処にするために移住してくる人だけでなく、まだまだ働ける人や子どものいるような若い人にも来てもらえるように、できることはなんでもやっていきたいです。

キャニオニングツアー

キャニオニングツアー

移住希望者へのアドバイス

佐伯市に住んでいる人や移住者を増やしていくためにさまざまな事業を行っている小園さんに、移住希望者へのアドバイスを伺いました。

小園さん:佐伯市は地震や台風など自然災害の被害はあまりないので、立地的に快適で住みやすいと思います。

与えられたりお膳立てしてもらわないと事業などが出来ないような人は、佐伯市に来ても「何もない」と捉えてしまって退屈に感じてしまうかもしれません。しかし、全体的に人手不足ですしビジネスチャンスもたくさんあるので、やってみたいことがある人や野心のある方なら、魅力的な街だと感じられると思います。そんな方と話が出来たら良いですし、一緒に何かやりたいですね(笑)。移住で困ったことなどがあれば窓口として困り事お助け協会に連絡いただき、困り事サポート佐伯の適切なメンバーにご案内します。出来ないことは一緒に悩みましょう!

最後に

小園さんの話を伺い、移住後に後悔しないためにも、事前に情報を集めたり短期で住んでみることだけでなく明確な目的を持つことが大切だと感じました。佐伯市では年齢制限はありますが「佐伯市お試し滞在補助制度」が利用できます。交通費や宿泊費の一部補助があるので、こちらを利用してみるのも良いかもしれません。起業したいなどの目標があり、実際に佐伯市への移住を考えている方はぜひ、小園さんとお話ししてみてはいかがでしょうか!

WRITER 記事を書いた人

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材 : くろき かおり
豊後大野生まれ豊後大野育ち。高校卒業後は横浜・東京にて、外資コスメ会社で経営学・マネジメントを学ぶ。その後、石垣島・オーストラリアへの移住。オーストラリアでも同ブランドで勤務したのち、2019年に大分へUターン。現在はフリーランス。趣味は映画を見ること・旅行・サウナ。

ライティング : あべ みさき
東京生まれ大分育ちで、趣味は手芸。介護福祉士として働き、長男出産を機に退職。現在は、子育てをしながら在宅でライターとして働いている。

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