取材者情報
- お名前
- 安部真さん・まり奈さん
- 出身地・前住所
- 真さん 大分県宇佐市
まり奈さん 福島県会津若松市
- 現住所
- 大分県豊後高田市
- 家族構成
- 真さん(44歳)・まり奈さん(34歳)・5歳のお兄ちゃん・1歳の妹
プロレス観戦という共通の趣味をきっかけに群馬県で出会ったという安部さん夫妻。夫・真さんが暮らしていた大分県宇佐市に妻・まり奈さんが移住後同棲を始めてそのまま結婚。その後豊後高田市へ移り住んだお二人。豊後高田市へ移住するきっかけや現在の暮らしについてお話を伺いました。
違う環境でチャレンジしてみたい
現在は豊後高田市で飲食店「呑もうっちゃ」を営んでいる安部真さん・まり奈さん夫妻。移住前はどのような生活を送っていたのでしょうか。
真さん:料理人の腕を磨くために1998年に滋賀県米原市、2001年に愛知県西尾市で働き、2006年に大分県宇佐市へUターンして飲食店を開業しました。妻とはプロレス観戦という共通の趣味があり、2014年に群馬県で行われたイベントに参加した際に出会いました。応援している選手が同じということから、また一緒にプロレス観戦する約束を交わして2〜3か月後に東京都で再会したのち、大分県と東京都の遠距離で交際を始めました。妻が宇佐市に遊びに来てくれた時は、私の友人も含め一緒に美味しいものをたくさん食べたり飲んだりして盛り上がりました。
まり奈さん:2008年に東京都世田谷区の大学に進学し、その年の9月からアメリカのボストンへ留学しました。2010年に帰国し、2012年に大学を卒業、そのまま日本橋にある旅行会社で働き始めました。夫が大分県に住んでおり、九州に訪れたことがなかったので遊びに行ったところ、空港を出た瞬間から気候が良く自然が多くて素敵な場所だと感じ、住んでみたいと思いました。私がキティちゃん好きということでハーモニーランドに行ったり、別府温泉や地元の居酒屋・寿司屋、うみたまごなど夫のおすすめスポットを巡ったりしました。大分県は本当に食べ物が美味しいですよね。大分県は唐揚げが有名だと知っていましたが、ケンタッキーが少なくて、唐揚げ店や食べる量が多いことには驚きました(笑)。
移住前は結婚すると思っていませんでしたが、仕事を続けていくべきか悩んでいた時期で、夫が住んでいた実家近くの格安アパートが空いたこともあり、引っ越しを決意して会社を辞め2015年に宇佐市に移住しました。元々は経営者で年上のアメリカ人と結婚したいと周りに言っていたのですが、実際の相手は経営者で年上の”USA(宇佐)”の人でしたね(笑)。
宇佐市で飲食店を経営していた真さん。豊後高田市への移住を決めたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
真さん:母と2人で店を切り盛りしていたのですが、妻が移住後しばらくしてから母の体調が悪くなり、妻に手伝ってもらうことになりました。その頃の店舗は3人で切り盛りするには狭く、籍を入れたタイミングで少し広めの店舗へ移転した頃に子どもが生まれました。2019年頃、子育てをしながらでも切り盛りしていける場所へ移転したいと思い宇佐市内で物件を探してる延長で、豊後高田市の空き家バンクに登録した際、店舗兼住居の物件の話を聞きました。宇佐市で新しい家や店舗を建てることも考えましたが、とてもお金がかかりますし、豊後高田市の店舗兼住居の方が子育てしやすく「この機会を逃したら今までと違う環境にチャレンジできない」と思い、豊後高田市への移住を決意しました。
移住前から住みたいと感じていた
豊後高田市にある店舗兼住居について、どのように知ったのでしょうか。
真さん:噂程度でしたが、同じように豊後高田市の店舗兼住居に住んでいる先輩から聞きました。市の計画であれば市議会の議事録に情報があるはずだと思い、開示されている議事録を隅々まで確認しましたね(笑)。2020年の冬に計画詳細の発表が行われ、2021年に見学会へ参加して書類の提出や市長・市役所の課長クラスの方・銀行の支店長・商店街会長・商工会議所会頭などとの面接がありました。無事、審査に通ることができ、2021年6月に豊後高田市へ移住、8月に移転オープンしました。
2006年にUターンしてから14年ほど宇佐市でお店を営んでいたので、移転に関してはすごく勇気が要りましたし、常連さんから「なんで?」とたくさん聞かれましたね。今までは飲み屋街にお店があったので、人の行き来があり多くの方に来店してもらえましたが、子どもを育てるのには適していないと感じました。豊後高田市の店舗は新町通り商店街にあるため、飲み屋街と比べたら人通りはあまりないですが、もしうまくいかなかったらそれは自分の腕がなかったんだなと思うしかないと腹を括って来ました。
ここではランチも営業するのが条件なのですが、昼夜営業することで色々な層のお客さんが来てくれるんです。夜に子育て世代の人が来店した際には、我が子も食事に混ぜていただけてとても助かっています。そして、夜の商店街はライトアップされているから普段と違う雰囲気を感じられますし、綺麗な夕日が見られる日もあるなど、色々な表情を見ることができるんです。その商店街の雰囲気や人々の温かさに惹かれて、可能な限り豊後高田市に住み続けたいと感じています。
まり奈さん:私は結婚前、豊後高田市に遊びに来た際に楽しそうな所だと感じ、ここに移住したいと考えていました。移住前は旅行会社で働いていて、海外の方と接する機会が多くありました。宇佐市では海外のお客さんと接する機会があまりなかったのですが、豊後高田市に来てから触れ合えていますし、お店に足を運んでくださるお客さんには、ぜひ日本を楽しんでもらえたら嬉しいなと思っています。
<h2>大分県は子育て環境が整っている</h2>
大分県は、まり奈さんにとって知り合いもいない全く知らない土地だったと思いますが、移住して大変だったことはあったのでしょうか。
まり奈さん: 方言の違いに戸惑いましたし、知らない人ばかりでどう接したらいいのかわからず悩んだことはありました。お客さん相手の仕事なので特に距離感や温度感の違いがわからず、この土地に慣れるまではホームシックになっていて、親友が遊びに来てくれた際には気が緩んで泣いたこともありましたね。気軽に話せる人が1人でもいたら違っていたのかなと思うことはあります。
あとは、台風の時に窓にガムテープを貼るのは衝撃でしたが、新しい文化に触れることができて楽しんでいます(笑)。最近は、義両親から「だいぶ馴染んできたね」と言われますし、子どもを通してお母さん同士で話すことも多くなりました。フランクな方が多く、子育ての悩みや気になることを相談しやすい環境になってきたと感じています。
豊後高田市は、真さんにとっても知らない土地だったと思いますが、移住してみてどのように感じましたか?
真さん:商店街の中なので、長老がいてギクシャクするかもしれないというイメージがありましたが、全然違いました。子どもをみんなで育てるような雰囲気のある地域で、商店街の人たちと子どもが先に仲良くなり、そのことをきっかけとして私たちも親しくなれました。世話を焼きすぎるご近所さんがいる地域もありますが、この辺りは近すぎず離れすぎず、良い距離感で地域の皆さんが子どもを見守ってくれます。子育てが終わって余裕のある女性が多く、朝7時ごろでもバチッと化粧している方がいて色々な意味で刺激をもらえています。今の商店街は、高齢の方から僕ら世代へと世代交代しているところです。
まり奈さんは海外に住んだり旅行会社で働いたりしていたこともあり、様々な地域の良さを知っていると思いますが、他の地域に住みたいと思うことはありますか?
まり奈さん:先日福島県に帰省する際に東京都にも寄りましたが、豊後高田市に帰ったらホッとしたので「他の地域ではなくここでの生活が良いんだな」と思いました。新型コロナウイルス感染症の影響で海外に行けていなかったので、ハングリー精神を復活させるためにもそろそろ足を運びたいなとは考えています。
たまに東京都に遊びに行くのは良いですが、人とすれ違うことが多いと疲れますし、ベビーカーで満員電車に乗るのは大変ですよね。子育てをするなら豊後高田市みたいに環境が整った場所でないと無理だと再認識しました。約10年住んで、大分県にはうみたまごやアフリカンサファリ、ハーモニーランドといった遊び場や山、海、温泉、観光地など、何でも揃っていて良いなと感じました。
移住に至る経緯・大分県に決めた理由
豊後高田市への移住時にはどのような制度を利用したのでしょうか。
真さん:宇佐市からの引越しは、子育て世代いらっしゃい引越し応援事業、お店の開業では起業チャレンジウェルカム支援事業補助金や豊後高田市昭和の町並み魅力持続化事業補助金(昭和の町にマッチした店舗の修景)を利用しました。
他にも豊後高田市には、
・日曜祝日の休日保育(市内保育園)
・お子さんが誕生した際の子育て応援誕生祝い金
・小、中、高校など入学時の豊後高田市子育て応援入学祝い金
・0歳〜高校生の子ども医療費助成と入院時の食事代無料
・条件を満たす高校生を対象にした高校等の授業料無料
など、子育て世帯にとってありがたい制度がたくさんあります。
休日保育は、無料で17時まで預かってくれます。GWや12月31日でも利用可能で、お弁当を持たせる必要はありますが、サービス業からしたらすごくありがたいですよね。豊後高田市では国や県より先回りして市独自でできることをやってくれているので、例えば国が給食費無償化を提示したら、今まで給食費無償化のために市が出していた分を別の政策や新たな支援に回すことができるんです。そうやって色々な事業を通じて支援してくれるので、県外から昭和の町や建物、店舗兼住居などの視察に来ることが多いです。
もし家を建てていたらそう簡単に移住したりできないので、良いタイミングで豊後高田市に移住できなたと思います。子育て支援制度が整っているので宇佐市の友人から羨ましがられました(笑)。お金がかかるところや手が届かないところに、なるべく負担のないように市が上手く制度を作ってくれるので、市役所の職員さんは大変だけどやりがいがありそうですよね。毎年様々な政策を立ててくれるので、次は何がくるのかドキドキしています(笑)。
移住希望者へアドバイス
これから大分県や豊後高田市への移住を考えている方に向けてメッセージをいただきました。
真さん:これから子育てしようと思ってる方もそうでない方も、豊後高田市はすごくワクワクする町なので、個人的には大分県に住むことを考えているなら豊後高田市にぜひ来てもらいたいです!市役所の方が案内をしてくれる移住体験・空き家見学を利用してみるのも良いと思います。
最後に
豊後高田市へ移住し、楽しみながら仕事と子育てを両立している安部さん夫妻。行政が数多くの先進的な取り組みを行なっているからこそ、市民は充実した生活を送れているのではと感じました。見学会などを利用して、ぜひ一度豊後高田市の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。その際は、安部さん夫妻が営む「呑もうっちゃ」でお食事してみてください。