大分移住手帖

世界一「心ときめく」チャレンジができる場所。農業を中心に広がる未来。

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東京でのサラリーマン生活から一転。「心ときめく」をテーマに由布市狭間町で農業法人を運営している濱原さん。元々スローライフに憧れはあったものの、実際に移住してみると想像していなかった様々な困難が立ち塞がったそうです。都会の喧騒とは対極にある、自然と向き合うでの生活で得た様々な経験をお聞きして、移住・就農を考えている方に伝えたいと思い、濱原さんの農場を訪ねました。

リモージュ農園

穏やかでのどかな農園

由布市狭間町の山奥にある濱原さんの「リモージュ農園」は、辺り一面が山に囲まれる見晴らしのいい場所にあります。空気は澄んでいて、鳥の囀りが聞こえるのんびりとしてのどかな印象。この農園を拠点として、農業やグリーンツーリズム※1 などに取り組んでいます。麦わら帽子を片手に現れたとても穏やかで優しい好青年にいろんなことを教えてもらいました。

 

■Jターンで真逆の生活

人見知りなので地域に馴染めるかなどの不安を感じつつも、いずれはスローライフをと考えていた濱原さんは、もう少し東京での自由な生活を楽しんでいたかったという気持ちを抑えつつ、祖父の介護を理由に2014年に大分県由布市へJターン移住をしました。

濱原 : 2007年から東京のNTTコミュニケーションズという会社で技術者兼営業として働いていました。正直、大企業の看板で日々ふわふわと生きていましたね。夕方5時前に仕事が終わっていたので、それから六本木や渋谷に繰り出して遊ぶ夜型人間でした。スローライフを夢見て移住したのですが、とにかく朝が早くて予想以上に大変でした。

リモージュ農園

地域に密着した仕事のカタチ

2016年に農業を主軸とする農地所有適格法人※2 を創業し、農業部門で社員1名と業務委託9名・飲食部門で12名を抱える濱原さん。中山間地域における「ひと」「しごと」「資源」の好循環による地域の自立・継続を目指す中山間地循環農業に取り組んでいます。夢を共有し、心ときめく「コト」作りで地域社会に光を灯し続ける世界一「心ときめく」チャレンジができる場所を企業理念とし、地域資源にクリエイティブな発想を加え、「美と健康」に貢献する魅力的な商品を開発し続ける事で、中山間地の雇用創出やワークライフバランス推進など地域産業を活性化し、持続可能性の高い里山の構築を目指しています。

濱原 : ビオトープと雇用を守り、里山を次世代への受け渡すための手段の一つとして、農業に取り組み、自分の目指すものを実現したいと考えています。中山間地からの地産地消と循環型農業を目指し、グルテンフリー国産米粉・コーヒー豆・県産有機資材などの付加価値の高い商品に取り組む農業資材会社にしていきたいです。

中でも堆肥づくりには力を入れています。場所によって土の状態が異なるので、原材料の割合を調整することで栽培する作物に適した堆肥を製造しています。放置竹林の管理で発生する竹材や鳥獣害対策で栽培するハーブ、大分県産のカキ殻など、地域資源を循環させる持続可能な農業を目指しています。

また、栽培した特別栽培農産をジャムやペーストへ加工し、6次産業化※3 をすすめることで、中山間地域の高付加価値化と雇用創出を実現したいです。

白蜜トマトまた、飲食部門の大分市大在にあるCAFE LIMOGES(カフェ リモージュ/大分市大在)などにも、栽培した濃厚なトマトを使った白蜜トマトコンフィチュールやスイートバジルペーストなどの自社商品を展開しています。

濱原 : 現在、コロナ禍で観光客は減少していますが、由布院でOPEN予定の直売所兼加工場を拠点として、名湯「湯平温泉」と農村民泊をつなげると共に、いずれは観光の玄関口である別府や大都市圏へ出店したいですし、飲食のFC化にも取り組むつもりです。

濱原さんが手掛ける農村民泊

2017年から旅館とは違った農業体験などが可能な農村民泊・グリーンツーリズムにも取り組んでいます。県内の農村民泊と連携し、大分県を「第三のふるさと」として周遊滞在型観光を提案し続ける事で、交流人口増加と担い手育成を目指しています。

濱原 : 移住希望の方などの「別荘を持ちたい・移住したい」などのニーズを具体的なビジョンにするお手伝いをしています。いきなり移住するにはリスクがあるので、地域の風習・スケジュール・区役など住まないと分かりづらい事をお伝えしていますね。

濱原さん自身は中山間地で付加価値の高い農業に取り組んでいますが、山の中の狭い農地のため集積化が難しいとの事で、規模の大きい農業に取り組みたい方には、集積化が進んでいる熊本や宮崎、大分県内では臼杵や豊後大野での就農をお勧めするなど、農業体験を通じて、移住・就農希望者のビジョンを明確化するなどのお手伝いをしています。

空き家バンク・区長さん・由布市の担当者と協力して、地域を回って空き家を月額10,000円以下の家賃で確保し、希望者に斡旋するなどの活動も行っているそうです。

 

地域に溶け込み人の輪ができるまで

地元大分大学で工学部福祉環境工学科を専攻し、音や光の波長が生物へ与える影響について学んだり、ベランダでプランター菜園を行ったりしていましたが、Jターンした翌年の2015年新規就農時、周囲に相談せずに独力で有機農業に独力で取り組んで失敗します。

濱原 : 猪・兎・鹿・鴉など鳥獣被害が酷くて、1年目の売上は8万円ぐらいにしかなりませんでしたね。売上が少なかったので、趣味で大切にしていたバイク2台を売却したほどです。このままでは駄目だと痛感し、農家の諸先輩方に教えを乞い、市の指導員・県の普及員の方を頼りまくり、先輩移住者の本や農業関係の資料を読み漁り、必死に改善に取り組んでいるうちに、まわりの農家の先輩方から「朝からようがんばりよん」と評価を頂け、収穫も増えていきましたね。

最初は若い新参者を訝しげに見ていた地域の方も、水の管理や草刈りなどの地域の区役などを担い、毎朝4時に起きて一所懸命頑張っている姿を見て、次第に好意を持ってくれるようになったそう。地域の決まり事やスケジュールは、次第に地域に溶け込めていく中で慣れていったそう。行政も悩み相談に乗ってくれて、色々な技術や人を紹介してくれたりすることで、少しずつ失敗しない手立てを見つけていけました。

 

濱原さん

スローライフとは真逆の農家生活

Jターンした際には、晴耕雨読・スローライフを送りたいと考えていたそうですが、実際はずっと仕事をしているという濱原さん。平均的な1日のスケジュールをお聞きすると、本当にハードワークで驚きました。

濱原 : 朝3時半に起床して、4時から9時まで農園で仕事をしています。一旦帰宅して、お風呂に入って録画したテレビ番組を見ながら食事して仮眠をとり、お昼過ぎに起きて事務などを行って、農園に戻って夜8時ぐらいまで作業して、帰宅してお風呂と食事をとり、日をまたぐ前に寝るというルーティンを毎日繰り返しています。昼夜で平均3時間ずつ睡眠をとっていますね。

新しい取り組みとして、昨年からカカオや蔦の長いバニラなどの栽培に取り組んでいるため、今は全く時間がないのも、解決しないといけない課題を見つけて、試行錯誤で改善していくことが楽しいから。大学の頃に創業支援スクールに通い、「寝ても覚めても夢に向かって頑張らないといけない」と学んだからだそう。

 

中山間地域

中山間地域ならではの悩み

リモージュ農園のある中山間地域は、農業生産条件の不利性から耕作放棄地も多く、農地確保に関しては問題ないものの、山の中ならではの様々な悩みがあるそうです。

 

濱原 : 中山間地の農地(5h)の農地には、斜面など管理が難しい場所があります。平たい大規模な農地と違って、機材が入らなかったり費用対効果が合わなかったりなどの理由で、機械化や自動化に向いていないため、どうしても人手が必要になります。

また、未使用の農地でも、放置すると隣接する他の農地などにも迷惑がかかってしまうため、定期的に草刈りなどの手入れを行いますが、工数がかかるものの人件費が出るわけでもないので大変です。滑落など作業自体が危険な上に、蜂やマムシなどの被害もあります。

さらに、温暖化のせいか鳥獣被害が増加して困っています。

収穫したトマト

「心ときめく」未来に向けて

こんなに多忙な中、なんと中期目標で2025年に福岡証券取引所の新興企業向けの株式市場Q-Boardに「LIMOGESホールディングス」として上場、長期目標で2030年に東証二部上場を目指しているとのこと。

濱原 : 農業も他の産業と同じように、AIを使った自動化に向かっているので、まずは試験的に1台150万円ほどのAI自動収穫マシンを導入して、深夜帯にトマトの収穫を行い、自動化に取り組んでいます。科学的な方法も取り入れようと考え、データをとり論文を読み成分分析をして結果を出しています。

販路拡大の施策としては、6次産業化※3 を推進している由布市の地域商社ユフイズムと協力して、ふるさと納税で使える加工品や周遊滞在セットなどに力を入れていきたいと考えています。

また、農園から歩いて5分の場所にある、地域科学研究所の廃校の中の加工場で、収穫したばかりのバジルなどを加工しています。そういった周囲の協力を得て、農園の規模拡大と6次化産業化#4 を進め、売上を伸ばしていきたいですね。

濱原 :日本は住みやすさで世界の上位に入る素敵な国だと思うのです。教育と医療のレベルも高く、貯金もできる環境。為替では安定性があり、マネーゲームの標的にならない経済規模を維持しています。そんな恵まれた日本にいるのに、やりたい事にチャレンジしないのは勿体無いですよね。田舎に行けば行くほど、手付かずの課題が残されていて、チャレンジができる環境にあると思います。

日本で心配な事は少子化対策で、これからの50年間が大切じゃないかなと。ドイツのような、しっかりとした少子化対策や町全体を観光地にするなど、地域資源の活用方法に真剣に注力すれば、日本の未来は明るいと思います。

 

移住・就農を考えている皆さんへ

最後にこれから移住・就農を考えている皆さんへアドバイスを頂きました。

濱原 : これから移住・就農する方はまず行政に相談をして欲しいと思います。次世代人材農業給付金など、素晴らしい制度もありますし、色々な人とつながりを作る事で、教わる事がたくさんあります。早起きは慣れるので大丈夫です。地域の方などまわりの人は見てくれていますので、努力すれば必ず報われます!

また、地域のグリーンツーリズム※4 の方々含め、私たちも利害関係なく協力しますので農村民泊をお試し移住と思って気軽に楽しんでください。

 

※1 グリーンツーリズム

グリーンツーリズムとは、農山漁村に滞在し農漁業体験を楽しみ、地域の人々との交流を図る余暇活動のこと。長期バカンスを楽しむことの多いヨーロッパ諸国で普及した。1994(平成6)年に、グリーンツーリズムの振興を支援する法律「農山漁村余暇法」が制定され、様々な地域で農家民宿の登録や基盤整備さらには体験・交流プログラムの作成がなされ、教育旅行の受け入れなど旅行者の受け入れが行われている。

via:JTB総合研究所

https://bit.ly/2RH8DRe

 

※2 農地所有適格法人

「農業法人」とは、法人形態によって農業を営む法人の総称。学校法人や医療法人等の法的に定められた名称とは異なり、農業を営む法人に対し任意で使用される。
法人形態は「会社法人」と「農事組合法人」とに分けられる。この農業法人のなかで、農地法第2条第3項の要件に適合し、“農業経営を行うために農地を取得できる”農業法人を「農地所有適格法人」という。

via : 公益社団法人 日本農業法人協会 農業法人と農地所有適格法人(農業生産法人)

https://hojin.or.jp/standard/what_is-html/

 

※3 6次産業化

農林漁業の6次産業化とは、1次産業としての農林漁業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、農山漁村の豊かな地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組。これにより農山漁村の所得の向上や雇用の確保を目指す。

via : 農林水産省 農林漁業の6次産業化

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html

 

※4 由布市グリーンツーリズム研究会「ゆふグリ」

via : https://www.yufuguri.jp

取材者情報

お名前
濱原健(はまはらたけし)
出身地・前住所
東京都町田市
現住所
由布市狭間町
年齢
42歳
家族構成
1人+3匹
職業
株式会社LIMOGES 代表取締役
Webサイト
https://www.limogesfarm.com

PHOTO

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WRITER 記事を書いた人

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自営業。Pdw代表/シロバーガー統括、府内5番街理事、SC-RECS.com/クラブイベントインフォ/SCLS/DubRize/PLay/合同写真展など主宰、サイト・DTP・DTM制作、ライター/DJ/ライブ/テルミン使い。
https://twitter.com/_pdw

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