大分移住手帖

温泉街でつくる交流の場!別府移住で叶えたカフェと温泉のある暮らし

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材者情報

お名前
八木 みちる
出身地・前住所
栃木県宇都宮市
現住所
大分県別府市
年齢
52歳(大分県へ移住したのは38歳)
職業
コトリカフェ
Instagram
https://www.instagram.com/kotoricafe_beppu/

温泉が好きすぎて別府市へ移住し、「コトリカフェ」を運営する八木さん。2014年に別府八湯温泉道名人会の取り組みの一環として始めた「美人温泉道」の隊長も務め、女性の温泉ファンを増やす活動を行なっています。現在は200人以上が入会し、好評を博しています。地域に根ざした取り組みを続ける八木さんに、移住を決めたきっかけや別府市での暮らしについてお話を伺いました。

NPO法人別府八湯温泉道名人会設立10周年記念式典での1枚

NPO法人別府八湯温泉道名人会設立10周年記念式典での1枚

<h2>温泉との縁が導いた別府市への移住</h2>

神奈川県大和市出身の八木さんですが、どのような経緯で別府市への移住を決めたのでしょうか。

八木さん:20歳の時に栃木県へ移り、保険代理店の事務や県庁の臨時職員、ペット関連のネットショップ運営など、多様な仕事を経験しました。元々自由な働き方が好きで、時間や場所にとらわれない仕事に魅力を感じていたため、ネットショップでは犬の名刺やバッグの制作、イベント出店などを行っていました。

2005年に初めての大分旅行で、由布院や黒川、別府の温泉にすっかり魅了され、その中でも「別府最高!」と感じたことが大きな転機となりました。もともと「定年したら暖かい場所に移住しよう」と考え、伊豆や房総なども候補にしていましたが、別府市を訪れた瞬間に「ここしかない!」と確信しました。それ以来、「別府市に移住できますように」と神棚に毎日祈るほどの強い思いを抱くようになりましたね(笑)。

その後、リーマンショックの影響で大分県に移住する機会が訪れました。移住前に栃木県主催のワークショップに参加し、店を作ることで街をつくるというコンセプトに興味を持つようになりました。別府市には観光資源としてのポテンシャルがありながら、まだ活かしきれていない部分が多いと感じていたので「自分が活性化させたい!」という思いが芽生えました。ワークショップを通じて「別府市に移住したら、どんなお店を作り、どんな街にしたいか」と考えるようになり、観光客と地元の人が交わる場所としてカフェを開くことを決意しました。そのために、栃木県内のカフェ巡りをしながら、メニューやサービスの研究を重ねました。

移動販売のカフェ「ことり号」

移動販売のカフェ「ことり号」

大分市へ一時移住したのち、別府市で「コトリカフェ」を開くまでの経緯を教えてください。

八木さん:移住前から「mixi」の別府組コミュニティに参加し、別府市に住む人だけでなく全国の別府好きな人たちと交流しており、「カフェを開きたい」と話していたことで、多くの人が応援してくれたのが大きな支えになりましたね。カフェを開くことを決意したものの、お店を作る経験をしたことがなく、資金調達にも苦労したため、まずはキッチンカーから始めることにしました。コミュニティでできた友人たちにキッチンカーの改装や大工仕事を手伝ってもらい、2012年6月に自作のキッチンカーを完成させ、移動カフェ「コトリカフェ」の営業をスタートしました。

そして、2013年の初め頃に別府市へ移住しました。別府の商店街やイベント、APU(立命館アジア太平洋大学)などでの移動カフェ営業を続け、2017年3月には実店舗を開店、移動販売の日以外は実店舗で営業するスタイルを取っていました。しかし、2020年に新型コロナウイルス感染症の影響で学校がリモート授業となり、APUへの出店が難しくなりました。さらに、感染症をきっかけにキッチンカーで営業をするお店が増えてきたこともあり、移動販売を辞めて店舗営業に専念することを決意しました。現在は実店舗「コトリカフェ」を拠点として、地域と観光客をつなぐ活動を続けています。

「コトリカフェ」オープン当初の1枚

「コトリカフェ」オープン当初の1枚

コトリカフェをオープンさせた八木さん。「美人温泉道」の隊長も務めているそうですが、立ち上げたきっかけはなんだったのでしょうか。

八木さん:旅行で訪れた際にスパポートでスタンプを集めるなどして楽しんでいたことや、「別府組」のメンバーに温泉好きが多かったことがきっかけで、私自身も「温泉道名人」になりました。その頃、別府八湯温泉道名人会の会長が「名人会特典を作りたい」と考えており、こうした色々な流れの中で、名人会に関わるようになったんです。

また、別府八湯温泉道名人会のメンバーの中には「車いす温泉道」に取り組んでいる人もいて、車椅子の方と一緒に温泉を楽しむ活動を行っていました。そうした取り組みを通じて、温泉の楽しみ方の幅を広げられることに気づきました。その後、別府八湯温泉道名人会がNPO法人化することになり、そのサポートをする中で理事に就任し、2014年9月に「美人温泉道」を立ち上げました。女性がもっと気軽に温泉巡りを楽しめるようにすることを目的とし、イベント企画なども行いました。美人温泉道のメンバーでもある温泉仲間とは全国の温泉を巡ることもあります。

本記事のTOP画像は、東京神父というカメラマンによる撮影で、温泉を楽しむ八木さんの姿を収めた1枚。温泉道を極める八木さんの活動を象徴し、別府市の温泉文化の魅力を感じさせる写真となっています。

美人温泉道のメンバーでもある温泉仲間と長野県渋温泉の金具屋にて

美人温泉道のメンバーでもある温泉仲間と長野県渋温泉の金具屋にて

別府市民として10年以上生活する中で、店舗から10分ほどの距離で暮らしている八木さん。ツーリズム別府大使に任命されたとのことで、その経緯や活動内容について伺いました。

八木さん:別府市での活動が評価され、「ツーリズム別府大使」に任命していただきました。この役職を通じて、大分県東京事務所で別府市の魅力について話す機会をいただくこともあります。また、大使として名刺や竹細工の名刺入れをいただき、県外に出る際には別府市の代表として活動できることに誇りを感じています。別府市民のために働けると思うと嬉しいですね。

ツーリズム大使に任命

ツーリズム大使に任命

<h2>直感で「ここに住みたい」と思えた街</h2>

実際に移住してみて感じたギャップや困ったことはありましたか?

八木さん:初めて別府市を訪れたとき「ここだ!」と直感しました。新しいものと古いものが混ざり合い、路地裏の雑多な雰囲気は香港のようです。訪れたことはありませんが、鉄輪から町を見下ろす景色はカリフォルニアを思わせ、坂の下に広がる海の風景が特に気に入りました。実際に移住してみても、大きなギャップはなく「天国のよう」と感じました。他人に干渉されることなく、自分らしく生きられる環境で、移住者が多いため外部の人でも自然に馴染めます。これは持論になりますが、都会的な一面もあって旅館が多いことから、昔から人生の転機に訪れる人を受け入れてきた街なのではないかと考えています。助け合いながらも深く干渉しすぎない絶妙な距離感が心地よく、自由な空気が流れているのが別府市の魅力ですね。

生活面では不便を感じることはほぼありません。 買い物がしやすく、病院も多くて車がなくてもバスが利用できるため、日常生活には困らない環境です。ただ、九州は温暖なイメージがありましたが、意外と寒かったのは驚きでした。空港から別府までの道のりにヤシの木が植えてあり「南国だ!」と思っていたので、そこにはギャップを感じました(笑)。

別府市は車椅子の方や外国人が暮らしやすい環境が整っており、福祉の充実度も高い街です。 地域の声かけにより、バスのバリアフリー化が進み、車椅子の方の生活環境も整っています。別府重度障害者センターや自立生活支援のリハビリ施設もあり、市外から移住して定住する方も多いです。また、「太陽の家」という就労支援施設があり、障害のある方でも働ける環境が整っています。他の地域では「車椅子の方がいる」と特別視されることがあると思いますが、別府市ではそれが日常の光景になっており、違和感なく受け入れられています。外国人に対しても同様です。

地域の文化も魅力的で、屋台村やお祭りのカラオケ大会は地元の人たちに人気があります。 アーティストも多く、文化的にも活気のある街です。これまでいろいろな土地を訪れましたが「ここに住みたい」と思えたのは別府市が初めてでした。

ベランダから別府市の街と朝日を拝める幸せ

ベランダから別府市の街と朝日を拝める幸せ

<h2>移住を考えている人へのアドバイス</h2>

大分県や別府市への移住、カフェ開業を目指している方へのアドバイスを聞きました。

八木さん:移住を考えているなら、まずは3日〜1週間ほど滞在して、別府市の空気感を味わってほしいですね。3泊もすれば、自分に合うかどうかが分かると思います。特に、鉄輪の貸間ゲストハウスは短期間の滞在に便利で、空港からのアクセスも良く、移住前に生活の雰囲気をつかむにはぴったりの場所だと思います。また、別府はいろんな人がいるからこそ、暮らしやすい街です。どこでもそうですが、地域に馴染むには自ら積極的に行動することが大切なので、まずは大きな声で挨拶をすることから始めてみてください。

カフェ開業を考えている方であれば、別府市は家賃が安く、カフェを始めやすい環境が整っていると思います。地元住民だけでなく観光客も訪れるため、他の地域と比べてお客さんの層が広いのが特徴です。大分県の人は新しいもの好きで、「一回行ってみないと!」と思う人が多いので、挑戦しやすい街だと思います。また、友人や知人を作りやすい環境でもあるので、移住してからも自然と人とのつながりが広がります。

相談や話を聞きたい方は、ぜひコトリカフェに遊びに来てください!

「コトリカフェ」店内

「コトリカフェ」店内

<h2>最後に</h2>

八木さんのお話を通して、別府市の魅力は、温泉だけではないことを改めて実感しました。移住者や観光客を温かく迎え入れる地域性や自由な空気、そして地域と観光客が交わる場所としてのカフェやイベントが街の魅力をさらに引き立てています。「コトリカフェ」はそんな別府市の魅力を存分に感じられる場所の一つです。八木さんの思いが詰まったこのカフェでは、地域の人々や観光客が自然と交わり、心地良い時間を過ごすことができます。

別府市を訪れた際は、ぜひ「コトリカフェ」に立ち寄り、八木さんのお話を聞きながら、温泉と共にこの街の温かさを体感してみてください。

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WRITER 記事を書いた人

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材 : くろき かおり
豊後大野生まれ豊後大野育ち。高校卒業後は横浜・東京にて、外資コスメ会社で経営学・マネジメントを学ぶ。その後、石垣島・オーストラリアへの移住。オーストラリアでも同ブランドで勤務したのち、2019年に大分へUターン。趣味は映画を見ること・旅行・サウナ。

ライティング : あべ みさき
介護福祉士として働き、長男出産を機に退職。現在は、子育てをしながら在宅でライターとして働いている。趣味は手芸。

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