大分移住手帖

伊井さん写真

地域の方と悩みを共有しながら支え合い生きていく。困難も楽しみに変える前向きな島暮らし。

fujiwara

取材者情報

お名前
伊井誉思香(いい よしか)
出身地・前住所
出身地:新潟県新潟市
前住所:韓国ソウル
現住所
東国東郡姫島村
年齢
29歳
家族構成
独身

“お酒がまったく飲めないのに、ほぼ毎日が飲み会だった人”という、不思議なキャッチフレーズが付くほど、地域のコミュニティにすっかり溶け込んだ女性が姫島村にいるらしい。

離島への移住は憧れが大きい一方で、独特の風習や文化に馴染めず、島暮らしを諦めてしまう人が多いと言われています。「姫島エコツーリズム」で働く伊井誉思香さんの知り合いもいない小さな島に単身移住し、地域の方々と助け合い、支え合いながら暮らしを楽しんでいる姿は、まさに移住のお手本。

島生活を存分に満喫する伊井さんに、移住先での苦労や苦悩はなかったのか、コミュニティへの溶け込み方の秘訣などについて伺うべく、いざ海を渡り姫島村へ行ってきました!

村八分を覚悟して、姫島へ。

小さな島にすっかり溶け込んだ女性は、フェリーを降りてすぐ目の前の場所にある「姫島エコツーリズム」にいました。小麦色に焼けて愛らしい笑顔を向ける伊井さんは、ここで小型モビリティのレンタル事業や観光案内、カフェの運営などを行っています。

観光案内所の外観

新潟出身の彼女は高校卒業後、外国語を学ぶため韓国の大学へ進学。そのまま韓国に定住しホテルや観光系の仕事への就職を検討していたそうですが、ある時知人から「日本に面白い企業があるから観光がてら行ってみない?」とのお誘いが。

そのお誘いこそ、「姫島エコツーリズム」の運営を行う「T・プラン(株)」でした。姫島村はもちろん、九州本土にも初めて足を踏み入れたという伊井さんが一度訪れただけの島へ移住を決めたのは、姫島村へのひとめぼれだけではなく、何かこの島に可能性を感じたから。

伊井さんの写真

「初めて職場体験のような形で姫島に来たときに、地元の方たちがみんな挨拶を交わしてて、まるで島の人たちみんなが家族のような感覚を覚えました。その感じが良くて島に魅力を感じましたね。でも一番の移住のきっかけは、島を案内してくれた人に“伊井さんは、これからココに住むんで!”って、就職する前提で話をされて。断れない状況に追い込まれたというか(笑)。冗談ですけどね。自分が必要とされている場所があるなら、ここで外の目線を持って、島の観光業を盛り上げられたらと思い、姫島に来ることを決めました」。

観光案内所から見える景色

父が鹿児島の沖永良部島出身ということもあり、島が持つ独自の風習やコミュニティの距離感などについては多少認識していたという伊井さん。そのため離島で暮らすことの厳しさや難しさも理解して「村八分も覚悟して来た」そうですが、それでも1年間は「泣かない日がなかった」というほど濃い日々が続いたのだとか。

ちゃ・ちゅ・ちょが多くてわからん!

移住したその日から島の方との飲み会に参加し、翌月には青年団にも加入。それ以降もどんどんどんどん人脈が広がっていったという彼女。順調な滑り出しのように聞こえますが、知り合いが1人もいない環境での暮らしに慣れるまでは精神的にきつかったと話します。

姫島の手拭いを持つ伊井さん

「最初は飲み会に参加しても、知らない地元の人の名前がバンバン出てくるから会話にも入れないですし、そもそも方言が分からなくて、なんか言葉の最後に“ちゃ・ちゅ・ちょ”が多いな…と。(笑) 何言ってるか全然わからなくて(笑)。それに知り合いがいなかったので、誰を信じたら良いかもわからなかったですね。冗談も本気で受け止めてしまって、落ち込みまくりでした。最初はありもしないウワサが出て人間関係が壊れたこともあり、辛い経験もしました」。

さらに「T・プラン」への就職とともに「姫島エコツーリズム」の店長を任せられることになった伊井さん。新卒で入ったため社会人経験がないままに役職がつき、仕事内容を覚えることから、年上のバイトの方たちと上手く関係を作っていくことまでさまざまな苦労があったそうですが、それでもめげなかったのは「友人や家族と離れ、海外で働くという夢も捨てて来たので、最低3年間は絶対に島で頑張る」という強い意思があったから。

伊井さんがつくるドリンク

そこで取り組んだのは、

  • 方言を積極的に覚えて使う
  • お酒は飲めないけど、知らない島民がいる飲み会に誘われたら基本断らない
  • 島の行事には絶対参加する
  • 年齢関係なく島民みんなが先輩だと思って接する

ということ。

こうして徐々にコミュニティに溶け込んでいき、苦悩を克服!

会社としても「姫島エコツーリズム」内にあるカフェを島民向けに解放し、島外の人と交流できる場所を作ったり、姫島盆踊りのお面を作って販売したり、島民の方が作った作品を販売したり、太陽光で発電したエコカーで島を周遊する観光コースを作ったりと、さまざまな施策をアクティブに打ち出して実行したことで、伊井さんの島で暮らすモチベーションとともに売上も右肩上がりになっているそうです。

姫島お面の写真

この先も、この場所で。

移住して3年半、伊井さんの島暮らしの楽しみは釣りと星空鑑賞。飲み会で知り合ったという船乗りのおいちゃんと毎週火曜の早朝から船で釣りに出かけ、島の高級魚アコウやひらめなどを釣り、夜には海水浴場で波音を聴きながら星を眺めるのが彼女の贅沢な過ごし方。

釣り竿レンタルの写真

地域の方々と交流を深めながら、釣りや料理の腕前はもちろん、会社の別事業で行う青パパイヤ栽培事業にも取り組むことで、草刈機やチェーンソーなどの機械も使いこなせるようになった彼女。姫島村で生活するスキルを楽しみながらどんどん身につけています。

伊井さんの写真

「きつかった時期を乗り越えたからこそ、今は島での暮らしがかなり楽しいです。地元では隣近所に住む人のことも知らないし、学校もマンモス校だったので、知らない同級生がいたりしたんですよね。でも島はみんな知り合いで、困ったことがあったらなんでも教えてくれるし助けてくれる。この先もずっと島で暮らしていきたいですね」。

伊井さんの写真

今後は自らの経験を活かし、「子どもたちに前向きな生き方を提示するビジョンコーチにもなりたい」と夢を語る伊井さん。姫島村での移住を検討するなら、まずは苦悩を乗り越え、地域の方々とともに島暮らしを満喫する彼女を訪ねていくのが移住成功の第一歩となるかもしれません。

WRITER 記事を書いた人

fujiwara

大分県大分市出身。「見たがり」「聞きたがり」「知りたがり」の“たがり”精神で活動する、好奇心旺盛なライター。竹田市地域おこし協力隊として移住者支援、空き家バンクの管理・運営に携わった経験を持ち、自身も竹田市に小さな空き家を購入。大工さんと二人三脚でリノベーションを行い、現在は収益物件として賃貸中。大家さん業で一攫千金を夢みるも、うまくはいかない今日この頃。

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