大分移住手帖

自分で作った自転車で旅をして、気づけば流れ着いた佐伯。仲間と好きなことをして緩くホームを生きる佐伯暮らし。

ImaiTomomi Tomomi Imai

関東で生まれ育ち、何不自由なく生きてきた秀人さん。漠然と田舎の人の繋がりに憧れつつ、退職時に作った自転車で国内外を放浪。気づけば流れ着いた佐伯の町では、バンドを組みつつまた自転車屋に。町の同世代に愛される彼の佐伯暮らしと今後についてお話を伺った。

就職できず、自転車にハマりそのまま仕事に。昇給するも漠然と田舎暮らしに憧れて旅に出る。

横浜出身の金井さんは、中学校から桜美林大学付属の学校に通い、大学もそのまま桜美林大学の経営政策学部へ入学。卒業後新卒としては就職できなかったものの、自転車好きが高じて東京・経堂にある中古を買い取り、直して販売する自転車屋「サイクルパラダイス」に就職し、5年ほど働いていたそうです。その後店長になって2年目の頃、「俺ずっと関東にいるのかな。このままいれるけど別のところで暮らす可能性は無いのかな」と思ったそう。東京には友人もいるし、仕事もあり、不自由なことはなかったそうですが、今まで都会で生きてきた金井さんにとって、漠然と田舎での人のつながりの方が面白いのではないかと考え始めたのが、移住に至るきっかけだったそうです。

「田舎って当たり前なのかもしれないけど、都会で生まれ育った僕はその当たり前なことに憧れがあったんです。好きで始めた自転車の仕事だったのに、忙しくて乗れなくもなってて、辞めようと思いました。」

会社を辞める際に塗装から部品までこだわって自分用にスーパー自転車を作って、それに荷物を積んで、旅に出た金井さんは当時28歳。それまで旅に出たことは特になかったそうです。暮らしたい町に出会えたらいいなという気持ちで旅をし始めて2ヶ月目の頃、熊本地震が起こりました。時間があった金井さんはそこへ手伝いに行き、そこでのご縁で東北へ、四国へ、時には台湾へも行っていたそうです。

旅の友人が紹介してくれた佐伯という町。一緒に旅をしていた友人が地域おこし協力隊に採用されたことをきっかけに一緒に移住。

道中一緒だった友人が、佐伯で地域おこし協力隊の募集があるようだと教えてくれたそうです。金井さん自身はその仕事にはピンと来なかったようですが、当時一緒に旅をしていた友人が応募し見事採用。一緒についてくる形で移住することとなりました。

佐伯に来ると、周りの人たちがご縁を繋いでくれ、市役所とかの仕事を手伝ったりしていたそう。また、仲の良い市役所職員から紹介してもらい、友人のところで大工仕事を1年半ほど手伝うこととなり、佐伯に拠点を置きつつ、仕事に合わせて福岡や大分・竹田などを回ってきたそうです。移動しながらの仕事も楽しかったそうですが、“ホーム”が欲しいという想いが強くなってきたことで、縁を繋いでくれた佐伯にまた戻ってきたと言います。現在は友人たちと古民家をシェアしながら暮らしているそうです。

暮らす中で徐々にキャラクターを発揮。バンド「サイキシミン」を始め、音楽でつながっていく仲間の輪。

佐伯に戻ってきた金井さんは、持ち前の個性豊かで人に好かれやすい愛嬌のある性格を発揮していき、ついにはロックンロールバンド「サイキシミン」のベースとして活動し始めました。

「中学校の時、少しだけベースは触ったことはあったけどほぼ素人です。サイキシミンは元々あったバンドで、移住して半年くらいの時に1回解散したんです。(大谷さん記事参照)何回かライブをみたけど良いバンドで、もったいないなあと思っていたら1-2ヶ月後に大谷さんに声をかけてもらって、4人でやろうということになったんです。とはいえベースも持ってなくて、大谷さんが将棋盤をもらってきたので、それにネックをつけてベースにしたんです。めちゃくちゃ重いけど良い音鳴るんですよ。」

ライブは結成2年で26回ほど、月1回開催している頻度とのこと。金井さん以外はみんな家庭があるので様子を見ながらやっているそうですが、既にファンも多い様子。曲はバンドメンバーである大谷さんが全てオリジナルで書き下ろしています。

「最近シェアしてる家に新しくきたトミーも音楽好きで、ターンテーブルとMBCを持ってきてくれたのもあって、音楽でつながっていく仲間たちが増えてきていますね。おかげで楽しく暮らせています。」

佐伯にホームを感じるのは関わりやすい同年代の仲間たちがいるから。

金井さんの移住にとって大きな存在だったという大谷さん。移住直後から色々とお世話になり、時には家に泊めてもらうこともしばしば。彼からバンドに誘ってもらえたことも、仲間が増えた理由の1つだったと話していました。

「同年代が結構多くて関わりやすかったんですよね。実は佐伯は大して田舎でもなくて、もっと田舎だったら煮詰まってたかもしれないなあと。田舎と田舎の中継の町という感じです。ここが今の自分には心地よいんですよね。『すごい頑張って成功してやる!』というのがないのが気楽なんですよね。自分のサイズで居られることが心地よくて、結局帰ってきちゃう。佐伯はそんな場所です。」

多趣味で、面白い趣味もお持ちの金井さん。前々からハマっていた「おじさんの帽子集め」も佐伯を楽しむ1つだとのこと。商店や漁業組合などでしか被れないような帽子が好きで、これをきっかけに町の面白いおじさんたちに思わず声をかけてしまうそうです。

また、佐伯といえば「釣り」と言われるほど釣り好きのメッカになっていますが、金井さんもそのうちの1人。今までそこまで釣りにハマっていなかったようですが、このまちで同世代と行くようになりハマってしまったそうです。

過去の経験が活きて、Uターンしてきた仲間の自転車屋を手伝うことに。

去年Uターンしてきた映像作家で演出家の工藤さんとも音楽や趣味を通じて仲良くなり、東京での経験を活かして工藤さんのご親戚の自転車屋「やまうち」での仕事も決まり、またもや自転車屋としてのキャリアを佐伯でスタートさせた金井さん。

「声をかけてもらったことは選り好みせずとりあえず全部やってみようかなって思ってますね。そうしたら良くも悪くも何かに繋がっていくだろうなと思ってます。ありがたいことに、ここの自転車屋での仕事も思ったより忙しいんですよね。(笑)

工藤くんの存在も今はここにいる大きな理由の1つですね。適度な抜け感が心地良いし、価値観が合うのでいつも一緒にいます。工藤さんとは佐伯をより面白く伝えていこうと、映像制作もしましたね。」

 

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バンドや自転車屋の仕事をやりつつ、仲間と立ち上げたドネーション方式の立ち飲み屋「New Mexico PERAPERA」

今後は変わらずバンド活動と自転車屋を続けていく中で、今年度中には立ち飲み屋をやりたいねと話していたところ、なんとついに開店。その名も「New Mexico PERA PERA」。場所は工藤さんの事務所の一画(ほぼ全部)を使い、大工で培った技術を活かして金井さんがバーカウンターなどを作成。まずは手軽にと季節仕様で開業したそうです。料理が比較的上手なシェアメイトのトミーさんがバーに立ち、基本的にはドネーション方式*、フードは持ち込みOKの気軽な立ち飲み屋です。

「佐伯は新しいことをやるにはしやすい町なんですよね。ガチガチに固めて始めなくても、まずは気軽に始めてみることができる風土があります。都会にはフラッと立ち寄れる立ち飲み屋が結構あったのですが、佐伯にないというのは来てからわかったことで、仲間が既に集まっているここにそんな場所があると、どんな人も気軽に来れるんじゃないかなと思ったんです。まずはやってみて、みんなの要素が入っていくことでより良くなればいいなと思っています。」

最後に

旅をしながら友人に連れられ流れ着いた町で、持ち前の人に好かれる独特のキャラクターを生かして選り好みせず同年代に絡んでいったら、自ずとそこがホームになって行った金井さん。そのきっかけである大谷さん主催の「魔界フェス」でもその個性を毎年発揮しているそう。どうしても移民のような意味になってしまいがちの日本国内の“移住”。何かを目的にするのではなく、彼のように緩やかに溶け込んでいくことで、気づけばそこがホームになるような移住の仕方を受け入れてくれる町なら、同じような年代にとっては移住しやすいのかも。その入り口には音楽や釣りなどカルチャーが一役買っているのも面白い点ですね。ぜひ彼らのバーに気軽に遊びに行っていろんな話を聞いてみてくださいね。

 

*ドネーション方式とは
金額が決められておらず、客が支払いたい金額で支払う方式。

 

 

 

取材者情報

お名前
金井秀人(かないしゅうと)
出身地・前住所
出身地:愛知県尾張旭市
前住所:東京都稲城市
現住所
現住所:大分県佐伯市鶴谷町
年齢
33歳
家族構成
独身
職業
自転車屋やまうち https://cs-yamauchi.jimdofree.com
Webサイト
https://saikishimin.wixsite.com/saikishimin
Twitter
https://twitter.com/saikishimin

PHOTO

  • 自分で作った自転車で旅をして、気づけば流れ着いた佐伯。仲間と好きなことをして緩くホームを生きる佐伯暮らし。
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FACILITIE

ドネーション方式の持ち寄りOKな立ち飲み屋

*場所や営業時間はインスタグラムよりご確認・お問い合わせください。

NEW MEXICO PERA PERA

佐伯内某所

自分で作った自転車で旅をして、気づけば流れ着いた佐伯。仲間と好きなことをして緩くホームを生きる佐伯暮らし。
WRITER ImaiTomomi 記事を書いた人

Tomomi Imai

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snufkiins LLC. 代表社員
離島移住計画 代表
Re-harmo PJ オーナー
25歳でフリーランスとして独立し、多様な分野にてプロデュースやディレクター業を経験。モノコトヒトをつなぐひと。多様な伴走を得意とする。国内外問わず事務局代行・企画編集など多様な業界を経て2018年に法人化。長崎県上五島にてキャンプ場兼カフェ「Re-harmo PJ」を展開し、島に仕事や場を作ったり。絶賛子育て中。ヨガ・サーフィン・音楽・映画・コーヒー・日曜大工が趣味。

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