大分空港から車で約40分の伊美港から、さらにフェリーに揺られて20分。たどり着いたのは、車エビやキツネ踊りで有名な国東半島北東部の離島・姫島村。
瀬戸内海国立公園に指定され、風光明媚な景観も魅力の姫島村は現在人口約2000人が暮らしています。しかし高齢化が加速し、人口減少が深刻化。島を存続させて行くために、昨今はITアイランド構想やエコツーリズムの推進などの先進的な取り組みに加え、移住者支援への取り組みを始めました。
※ITアイランド構想とは
「離島を舞台にした新しい雇用の形を創り、地元の活力を高めたい」という大分県と姫島村の共同プロジェクト。IT企業を誘致しIT人材を呼び込み、離島におけるITの可能性を広げ、人材の育成・創出・定着を目指す取り組み
そんな離島・姫島村の「暮らし」とは。
住まいや、仕事、移住支援などについて、姫島村役場の企画振興課長兼情報センター所長の須賀宣光さん、水産・観光商工課の桜井綾子さんにお話を伺いました。
まずは役場を訪れて、誰かに話しかけてみるべし!
移住の相談となれば、まずは役場や役所を訪れてみるのがメジャーな流れ。そのため、ほとんどの市町村には移住担当の部署があるのですが、姫島村は移住の総合案内窓口を特に設けていないのだそう。
もし、移住を考えているなら「移住をしたい!」と大きな声と強い気持ちで役場の誰かに話しかけてみましょう。役場を訪れる瞬間から、あなたの運は試されているのです…。
というのは言い過ぎですが、
よく言う島あるあるで、姫島村も村民みんなが知り合い。役場も2階建ての小さな建物ですし、どの人に声をかけても、住居や補助金など、要望によってさまざまな部署の案内や、キーマンとなる村民を繋げてくれるのです。
須賀さん「島の人たちはみんなフレンドリーですから。まずは気軽に話しかけてみてくださいね」
不動産屋はない! 家のことも役場へ相談を!
姫島村には不動産屋さんが一軒もありません。そのため、賃貸のアパートもゼロ。となれば、島で住まい探しをするにはどうすれば良いのか、その解決策も役場にありました!
<村営・県営住宅アリ!>
須賀さん「村には村営住宅や県営住宅があります。今までは所得によって制限があったため、移住者の方によっては入居できないということもありましたが、制限を緩和し、入居できる方の幅を広げました。平屋や長屋、メゾネットタイプの住宅などがあり、家賃は収入によって異なります」
<空き家バンクのような仕組みも準備中!>
桜井さん「姫島村ではまだ空き家バンクの整備が進んではないのですが、今後、村が空き家を借りて、希望者に貸すという仕組みづくりも進めています」
意外にも村営住宅はたくさん! 団地のようになっているため、隣近所の人ともすぐに仲良くなることができるのだとか。また、室内も結構キレイ! 安心して暮らせそうですね。
村営・県営住宅や空き家などについての相談は役場の建設課が窓口です。
姫島村役場・建設課:0978-87-2283
子育て関係の補助金が充実!移住で使える助成金
移住してからの暮らしにどんな補助があるのか、お金にまつわる話をまとめて教えていただきました。
<奨励金関係>
まだまだ移住者が少ない姫島村でも移住促進のための奨励金を用意しています。
須賀さん「村への定住を目的とした方には奨励金を用意していますので、ぜひご活用ください!」
【U・Iターン奨励金】
定住を目的とする方が対象。独身者10万円、夫婦20万円、扶養人数一人につき5万円
【就業奨励金】
学校卒業後、姫島村に戻って就職したら10万円
<仕事関係>
移住となれば、住む場所と同じく大事なのが、働く場所。大きな企業や工場などがない島ならではの働き口といえば、漁師です。姫島村では漁業従事者の高齢化が進み漁業就労者が減少していることから、新規就業者には奨励金を用意。村の漁業を担う若手を募集しています。
【就業奨励金】
学校卒業後、姫島村に戻って就職したら10万円
【漁業就業者奨励金】
姫島村に定住し、新たに漁業に従事した方に最大175万円。
須賀さん「姫島村はITアイランド構想を打ち出し、県外から『株式会社ブレーンネット』と『株式会社Ruby開発』というIT企業を2社誘致しました。募集が常にあるわけではないと思いますが、スキルがある方はIT企業で働くという選択もありますね」
桜井さん「他に漁師や役場、農協、車えび会社などがありますが、姫島から村外の職場へ通うという方も多くいらっしゃいます。そのために村ではフェリー代金の補助(定期代5000円補助)なども用意しています」
<住宅関係>
須賀さん「空き家や空き地など、住宅関係のことも全て役場で管理しています。実家を改修してUターンを検討している場合や、新たに建築する場合などに使えます」
【新規建設・住宅購入補助】
新規の住宅建設または購入に要する経費を最大100万円補助
※改修補助と合わせて最大100万円
【改修補助】
中古住宅や空き家に居住するために必要な改修に要する経費を最大100万円補助
※新規建設・住宅購入補助と合わせて100万円
【引越補助】
最大20万円補助
<子育て関係>
桜井さん「子育て関係の補助はかなり充実していると思います。村内に保育所と幼稚園はそれぞれ1箇所あり、保育料は完全無料。現在30人ほどの子どもが通っています。しかし村内に産婦人科はありません。そのため妊婦健診のためにかかったフェリーの往復費用を助成しています。また中学生以下は医療費免除にもなります!」
【出産祝い金】
第一子10万円、第二子20万円、第三子以降は30万円を支給。
【保育料免除】
保護者および児童が村内に住所を有する場合、無料。
【子ども医療費助成】
15歳以下の医療費を助成。
【チャイルドシート購入費補助金】
チャイルドシート購入額の2分の1、最大1万5000円を補助。
【妊婦健診交通費助成金】
妊婦健診のために要したフェリーの運賃を1回の健診につき妊婦と付き添いの方、900円を助成。(14回まで)
須賀さん「その他にも、村内に住んでいて、村外で仕事をする場合のフェリー代金の補助や、子どもが高校生になり村外で一人暮らしをする際に家賃補助、また村内で医療従事者確保のため、医療系の学校に進学した場合の補助など、様々な助成金を用意しています。移住を検討する際にぜひ参考にしてください」
姫島村の移住まとめ
姫島村の移住者といえば、ほとんどがUターンで、Iターン者はまだ10人ほど。まだまだ移住者は少ないですが、住宅の支援や助成金などの制度を整えているほか、漁業の新規就業のサポート、大分県と協力してIT企業の誘致なども行いながら、移住を推進しています。まずは役場を訪ねて職や住まいの情報を得ましょう。
そして最後に、これから先、島にどんな人たちに移住してきてほしいかをお二人に伺いました。
須賀さん「最近島でもイノシシの被害が出るようになってきました。そこで獣害対策として、銃の免許を持っている人、イノシシ被害を無くしてくれるような人を切望しています!!」
桜井さん「子連れのファミリー層が増えてほしいですね。子育て関連の補助金や助成金が充実していますし、今は移住体験や保育の一時預かりなどの支援はしておりませんが、ご要望があれば制度の検討も行います。ぜひ家族での移住を検討してもらえたらうれしいです」
狩猟免許を持った方や島暮らしにご興味があるご家族の方、姫島村は子育て世代も猟師も大歓迎ですよ!!