大分移住手帖

オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。

Kg

取材者情報

お名前
西村シモン
出身地・前住所
オーストラリア シドニー
現住所
速見郡日出町豊岡
年齢
28歳
家族構成
妻と二人
Instagram
https://www.instagram.com/dekoboko.hiji/

オーストラリアで生まれ育ったシモンさんは、日本人の母の影響もあり、昔から日本に親しみを覚えていたそう。そんな彼が、奥さんと共に来日し移住先を探して全国各地を旅する中で、大分県を気に入り日出町に移住するまでの経緯や、現在の暮らしなどをお聞きしました。

移住先を求めて、奥さんと日本各地へ

移住先を探して、全国各地を巡る旅へ

シドニーで生まれ育ちクラフトビールの卸売り会社で働いていたシモンさんは、メルボルン出身で、建築家の奥さんのロクシーさんと2021年1月に結婚し新たな生活を迎えました。その中で、都会での生活に飽きた事もあり住みやすい田舎で暮らしたいと考えていましたが、オーストラリアは物価が高くより暮らしやすい国へ移住したいと思い、新婚旅行と移住先探しも兼ねて日本各地を巡る事にしました。

シモンさん : 現在のオーストラリアは物価が高く、住宅は投資目的で売買されて、2DKのマンションで1億円するなどバブルの状態だと思います。その分、例えばコンビニのアルバイトで時給2,000円などで給与も良いのですが、バブルが弾けた際にはどうなるかなど、将来に漠然と不安を感じていました。それに比べて、日本は土地や家屋が安いので、田舎暮らしをしたい私達にとって理想的だと考えました。

日本になかなか入国できず実現まで時間がかかりましたが、2021年に来日したシモンさん。東京での二週間の隔離の後は、車で東北に向かい、日本一周をスタートしたそう。

シモンさん : コロナの影響で入国まで時間はかかったのですが、逆にどこに行っても人が多くはなかったので、各地をじっくりと見ることができました。事前に「海が近い、自然が豊か、物価が安い」という条件を決めて、それに合う移住先かしっかり見極めたいと思いました。

労働と引き換えに”食と住”を提供してもらえるマッチングサイトのWorkawayを利用して、農作業などのお手伝いをしながら宿泊して、全国を巡りました。特に気に入った岡山県での1ヶ月半の滞在をはじめ、東北に2週間、友人がいる仙台に2週間、他にも京都の丹後半島や神戸・愛媛・高松・尾道・向島・大三島・直島・長崎・唐津など色々な場所に足を運びました。

予め住みたいと感じた場所のリストを作って来日しましたが、実際に行ってみて、周りの環境や住んでいる人と話した結果、移住候補地が増えたり減ったりしました(笑)。大分県に関しては、リストにはあるものの優先度は高くありませんでした。

例えば、長野県の夏は素晴らしかったけれど、夫婦共に寒さが苦手で冬の生活は厳しそうだと思い、移住候補地から除外するなど、実際に足を運んで見聞きする中で、移住候補地を絞り込んでいったそうです。

シモンさん : 海が綺麗な丹後半島のアクアファームやしまなみ街道を自転車で走るなど素敵な経験を重ねる中で、個人的にはお世話になったホストがいる岡山県への移住に気持ちが傾いていました。

ただ、奥さんが「温暖な九州にもっといいところがありそう」と言うので、九州に足を伸ばす事にしました。

四国を一周して九州に入ったシモンさんと奥さん。臼杵市でのお試し移住を皮切りに、九州内の気になる地域を巡り、人との繋がりを増やしていったそう。

シモンさん : 四国からフェリーでたどり着いた初めての大分県では、臼杵市のお試し移住施設で一週間泊まらせていただきました。その際に大分県を気に入ったのですが、九州のまだ見ていない地域を回りたくて、糸島や唐津市で農業を手伝いながら足を運び、九州内で色々な出会いを重ね、結局2ヶ月後大分県に戻ってきました。

実際に全国を巡ってみて、海や山があり物価が安い場所はたくさんありましたが、それ以上に人との関係や友達ができそうなところが大切だと分かりました。大分県は東京以外の地域で外国人の居住割合が一番高い場所だと思い、実際に足を運んでみると「外国人に慣れてる・受け入れてくれる」と感じました。他にも、色々な方に移住先の相談をしたら大分県が良いと何回も聞いたり、災害が少ない地域である点も好印象でした。

しまなみ海道での一コマ

日出町に巡りあって移住するまで

こうして大分県に戻ってきたシモンさんと奥さんですが、どの市町村に住むかはまだ決まってなかったそう。

シモンさん : 大分県に帰ってきてからたまたま紹介されたWalk Japan のポールとミミさんが住む杵築市(旧 大田村)の家にご好意で長く泊まらせてもらうことになって、色々な作業を手伝っていたらあっという間に3ヶ月が経ちました。そのおかげで、ゆっくり自分達の住まいを探すことができました。

当初は賃貸を探しましたが、田舎だからか安くていい物件がありませんでした。そのため売買も視野に入れてネット・不動産屋さん・各市町村の空き家バンクを活用し、実際に何十件も内覧するなどして一所懸命探しました。更に、各市町村の移住支援金などを比較しました。最終的に、条件に合う畑付きの空き家物件を日出町豊岡で見つけました。

日出町について色々調べて友達と相談した結果、僕達の移住に一番適していると思いました。二人ともオーストラリアの大都会シドニーとメルボルンで生まれ育ち、田舎暮らしに挑戦したくて来日したわけですが、電車も通っていて買い物や海にも歩いていける距離にある日出町は、田舎と町の中間的な雰囲気という感じがして暮らしやすいのではと思いました。長く住むのですから不安がないように、町の財政状況なども調べましたが、全く問題ありませんでした。

ようやく理想の住まいに出会えたシモンさんと奥さんですが、購入にはハードルがあったそう。

シモンさん : 山に囲まれ、海が一望できるロケーションの良さと敷地の広さなどが気に入ったのですが、念願の農地付き物件は日出町の農業委員会から許可を得る必要がありました。元々農業をやりたかったですし、幸いな事に日出町役場の担当者も応援してくれたのですが、許可が降りるまで1ヶ月かかってしまいました。

物件を所有していた家主の方も優しく対応してくれました。その方に聞いたところ、以前住んでいた方は大分県の英語教育の第一人者で、退任後は自宅で英語教室を開かれていて、家の中にはたくさんの英語の本が残されていました。先生の親戚である家主の方は、ずっと空き家になっていて心配だったそうで、私達の入居を歓迎してくれました。英語を通じて何か縁があったのではと感じました。

これからは移り住んだ家の敷地内で、農作業とDIYリフォームに挑戦するそうです。

漁船で佇むシモンさん

奥さんのロクシーさん

仕事に繋がった新たな縁

現在は自宅の農地を耕す傍ら、外でも働いているというシモンさんと奥さんのロクシーさん。お仕事についてお聞きしました。

シモンさん : 同じ日出町豊岡にあって素敵なカフェとギャラリーを持つKamenosと繋がって、すぐバイトをさせていただきました。オーナーの梶原じゅんこさんは日出町のキーパーソン的存在な方で、色々な面白い方を紹介してくれました。

私は元々オーストラリアでクラフトビールに関わる仕事をしていたのですが、大分市で物凄くかっこ良いクラフトビールとナチュラルワインのビストロ俊の俊さんと仲良くなり、2022年5月から開店予定の府内小吃というクラフトビールとワインを扱うお店で働く事も決まりました。

奥さんはオーストラリアでは建築家でしたが、子供が好きな事もあり、現在は大分市内にあるプリスクールの英語教師として働いています。

紅葉の前にて

新たな暮らしをスタート

シモンさんにとって日出町は便利で暮らしやすい町との事ですが、他にも日本人にはない視点で良いと感じる部分があるそう。

シモンさん : 東京以外で外国人が多く住み、外国人観光客も多い場所である大分県は、他の県よりも外国人を受け入れる土壌があると感じます。更に観光地が多いので、普通の田舎より盛り上がる可能性を感じる場所です。インターナショナルで観光地があり物価が安く、海や山が近いなど自然豊かな県はなかなかないので、外国人が日本で東京以外に住みたかったら、大分県がおすすめです。

その中でも日出町は大分空港・別府市・大分市にも近いため交通の便が良いと感じます。別府市まで足を伸ばせばフェリーで数時間で四国にも行けます。他の県の移住候補地と比べて、体感的に東京に近く、行き来がしやすいと思います。

現在お住まいの地域について、お聞きすると。

シモンさん : 豊岡の住民の皆さんは凄く優しいと思います。2022年3月末に移住してまだそんなに経っていませんが、想像していた以上に受け入れて頂いて、野菜などをお裾分けしてくれます。この間お世話になった方や友人を招いて自宅で引っ越しパーティー行った際には、区長さんをはじめ近隣の方々も足を運んでくれました。

移住したらゼロからスタートになるので、1年ぐらいは友達を頑張って作る必要があると想像していたのですが、大分県での定住を決めてからわずか3ヶ月で達成できました。その上、家がすぐ決まるなんて全くの想定外でした(笑)。

それもこれも、たくさんの出会いや縁に助けたられたからこそだと思います。特に大分県でお世話になったWalk Japanのポールとミミさん一家、ビストロ俊の俊さん家族とスタッフのみんな、Kamenosのじゅんこさんと仲間達、役場の移住相談窓口とホームズ不動産の眞島さんなど。皆さんのおかげで色々思ったよりスムーズに進める事ができ、本当に感謝しています。

順風満帆にスタートした新しい暮らしの中で、苦労した点がないかお聞きしてみると…

シモンさん : 特に妻にとって大変だった事は、やっぱり日本語力ですね。意外と英語が話せる方も町内や隣人に多いけれど、都会と比べると日本語が話せなくても暮らせるとは感じないですね。まだ移住して間もないので、逆に積極的に日本語を使う事ですぐ成長できると思います。

農作業中の一コマ

これから移住を希望する方へアドバイス

家が広い事もあり、将来的には敷地内で凸凹日出という名前のカフェとゲストハウスを立ち上げたいと考えているシモンさんとロクシーさん夫妻。たくさんの出会いや縁に恵まれながら、日出町で新たな生活をスタートした彼に、移住を希望する方や移住先の選択などで悩みを抱えている方にアドバイスを頂きました。

シモンさん : 毎日移住して良かったと感じるばかりなので、ぜひ皆さんにも移住に挑戦して欲しいです。個人的に、人が繋がりやすい大分県はおすすめの地域です。

私は全国各地を旅して自分達で実際に確かめた結果、最終的に日出町に移住しました。ネットの情報だけではわからない事がたくさんあるので、移住したい候補地や気になる地域があれば納得できるまで何回も足を運んで、住人の皆さんと実際に話してコミュニケーションをとってください。その中で、人との関係がうまくできそうな場所を選ぶべきだと思います。

各市町村が実施しているお試し移住などの制度も積極的に活用した方が良いです。実際に現地の綺麗な古民家に安く泊まれて、地域をじっくり見る事ができたのでおすすめです。暮らしや未来にも関わる事ですので、移住候補地の自治体の財政状況や移住に関する助成金などもしっかり調べておいた方が良いと思います。

縁側での一コマ

最後に

オーストラリアの都心部で何不自由ない生活を送ってきたシモンさんとロキシーさん夫妻は、いつしか田舎暮らしに憧れるようになり、来日して日本全国各地を旅した結果、大分県日出町で理想の暮らしに辿り着きました。自分達の目的を明確に持ち、自分達が納得するまで移住先を求めて色々な土地を巡り、地域や住人とコミュニケーションをとっていく姿勢は、移住を考える全ての方の参考になるのではと思います。シモンさんとロキシーさんが日出町でカフェやゲストハウスを開業した暁には、ぜひ立ち寄って色々なお話を聞いてみてください。

PHOTO

  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
  • オーストラリアの都会的な生活から、日本での田舎暮らしへ。理想の移住先を求めて全国各地を旅した夫妻の軌跡。
WRITER 記事を書いた人

Kg

  • ウェブサイト
  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram

株式会社モアモスト 取締役・一般社団法人まち元気おおいた 理事・Pdw 代表として、サイト・DTP・DTMなどディレクション〜制作をはじめ、ライターや撮影などの業務に従事。大分市府内5番街商店街振興組合の理事として、まちづくりにも携わる。

SC-RECS.com・クラブイベントインフォ・SCLS・DubRize・PLay・合同写真展などを主宰し、各種イベントのオーガナイズからDJやマシンライブなどまで展開中。テルミン使い。

記事一覧を見る

POPULAR ARTICLES 人気記事

CONTACT お問い合わせ

運営:おおいた移住計画

FACEBOOK

INSTAGRAM

運営:大分県