大分移住手帖

導かれるようにたどり着いた理想の暮らし、新しいふるさと。

KAORI

取材者情報

お名前
原口 直子
出身地・前住所
シンガポール
現住所
大分県豊後大野市
年齢
33歳
家族構成
夫婦+子1人
Facebook
https://www.facebook.com/ryusenjifarm

はじめに

豊後大野市緒方町にある、穏やかな時間が流れる古民家で子育てに奮闘する原口直子さん。別府市出身、福岡県とシンガポールでの生活を経てこの田舎に移り住んだ直子さんと豊後大野市との出会い、そして世界中を旅した彼女がなぜここを選んだのか、お話を伺ってきました。

メキシコでの直子さん

大分からの旅立ち

別府青山高校を卒業後、英語と経済を学ぶため、北九州市立大学へ進学した直子さん。大学卒業後も、福岡県内で仕事に就きました。初めの3年間はシステムエンジニアとして、ソフトウェアの開発を行っていたそうです。その後、農業との新規事業の部署へ異動、退職を考えていた25歳の直子さんに、シンガポール勤務の話が舞い込んできました。

初めて勤めた会社の本社がある東京での研修を経て、5年目にしてシンガポールへ異動となったそうです。シンガポール赴任後の日々は慌ただしく、心身ともに疲れていた直子さんは、シンガポールでの勤務が3年経った時、退職を決めたそうです。そして、世界の人たちがどんな生活をしているかを知るために、旅行ではなく、”生活”をしながら、世界を回ろうと決めたそうです。

ベトナムにて、ヘルスケアの展示会でプレゼンをする直子さん

 

世界一周

なぜ安定した生活ができるシンガポールの仕事を捨てて、旅に出ようと思ったのか、直子さんに尋ねてみました。

直子さん:7年間ノンストップで働いたし、1年ぐらいは自分の好きなことだけをして生きていきたいと思ったんですよね。そうなると、まだ見ぬ世界を見たい、知りたい、感じたい、効率を考えると世界一周だよなぁと思ったんです。誰も私のことを知らない世界で「私を解放する」みたいな。

ワークアウェイを利用して世界一周の旅に出た直子さん。ハワイでは、苦手だったビーチが好きになったり、印象の悪かったメキシコではたくさんの人とのハグを通して”スキンシップは幸せの近道”だということに気づいたり、スペインで巡礼の道を780km歩いたり、ここには書ききれないほどのたくさんの経験を聞かせてくれました。
※ワークアウェイ・・・ホストに依頼された仕事をこなし、部屋と食事を無料で提供されるサービス

2019年の1年間で、ハワイ・メキシコ・ケニア・タンザニア・スペイン・イギリス・ポルトガル・クロアチア・ドイツ・フィンランド・日本(大分、屋久島、山梨)・インドを旅したそうです。

直子さん:”2019年は自分の好きなことを自分のタイミングで好きなだけやる”と決め、無事に実行できて、とても幸せな1年になりました。経済的安定を手放したら、圧倒的な精神的安定を手に入れることができたんです。今思えば働いていた頃は、偏頭痛の頻度が高かったり、肌が荒れてたり、突然涙が出てきたり、心も身体も満身創痍だったんですね。社会で生き抜くために、身の丈に合わない重い鎧を身に着けて、自分自身を苦しめていたけど、今はそういう鎧から解放されて、生身の小さな”わたし”がニコニコしてて、周りの意見は関係ない、”わたしはわたし!”と思えて、等身大の自分が心地よくて幸せを感じました。

暮らす実験室IKIで当時のシェアメイトたちと

帰る場所に大分を選んだ理由

文字通り世界中を旅した直子さん。世界を旅してたくさんの魅力に触れた彼女が、どうして大分県に帰ってくることを選んだのか、尋ねてみました。

直子さん:世界を旅して思ったのは、どこに行っても、どんな場所でも「住めば都」。”面白い人がいたらどこでも楽しい”と思いました。それなら親の近くにいようと思ったんです。あと、やっぱり日本のお米が好きなので(笑)。最初は日本に帰りたくなかったんです。日本でもうサラリーマンは考えられないなぁ・・・って思って。でも違う選択肢もあるし、まぁどうにかなるか!と思って帰ってきました。

大分県に帰ることを決意した直子さん。大分県のことを何も知らないと感じた直子さんは、楽しい場所を探すために、県内のシェアハウスを探し始めたそうです。4年ぶりに帰って来る日本に馴染めるのだろうかと、不安でいっぱいだった直子さんが出会ったのが竹田市にある”暮らす実験室IKI(以下略IKI)”。ワークアウェイのスタイルで、DIYを手伝うことで、無料で滞在できるシステムを導入しています。IKIで出会った人たちはみんな、偏見なく温かく迎えてくれて居心地がとてもよかったと話してくれました。

 

パートナーとの出会い

2019年8月、30歳の時に大分に帰ってきた直子さんは、9月末にIKIに出会い、11月半ばに竹田のお祭り竹楽で、現在のパートナーに出会いました。

直子さん:IKIの史帆さんが、夕飯に招待してくれて、11月末に初めて一緒に食事をしたんだけど、楽しすぎて、その夜ぜんぜん眠れなかったんです(笑)。実はその後にいつ帰ってくるか未定のインドの旅に出発したんですけど、結局最短で帰国してすぐ付き合いました!(笑)

直子さんは幸せそうな、キラキラした笑顔で話してくれました。実は直子さんのパートナーも福岡出身で、竹田市を経て、豊後大野市に移住してきた方だそうです。現在は地元に根づいた大工さんをしているというパートナーの原口さん。直子さんとの交際が始まったときには、すでに現在のお二人のお住まいである古民家に一人で住まれていたとのことで、2020年3月に現在の住まいに直子さんも移り住み、二人の生活が始まったそうです。

 

パートナーの原口さんと大和くんのお宮参り

 

コロナで変わっていく世界

2020年4月、豊後大野市へ移り住んだ翌月、緊急事態宣言が発令され、事実上のロックダウン。この先世界はどうなるんだろうという漠然とした不安の中、直子さんが始めたのは、農業。初めてのことに苦戦しつつも、自然の美しさとたくましさに魅了されていったそうです。

大分県に帰って仕事はあるのか、楽しいことやワクワクすることはあるのかと不安に思っていた直子さんでしたが、念願の畑仕事ができたり、子ども向けの英会話教室を開いたり、やりたかったことを着実にこなしていきました。コロナウィルスの影響を悲観せずに、田舎だからこそできる有意義な生き方を楽しんでいるように思いました。

 

直子さんの畑

豊後大野市に住んで感じたこと

どんな場所でも「住めば都」という直子さんに、豊後大野市で苦労したこと、大変なことについて聞いてみました。

直子さん:コロナの影響もあるけど、友達に会いにくいですね。今まで住んでいた福岡や東京、シンガポールに比べると空港も遠いし、アクセスがどうしても悪いのはしょうがないですよね。その分、のどかで穏やかな暮らしが送れているのですが。あとは虫が多い!(笑) 古民家なので、虫だけじゃなく、ハチ、ムカデ、ねずみ、あなぐまとか・・・ある程度対策はするけど、最後は諦める心も必要です。夏はクーラーいらずで涼しいので、 なるべくポジティブな面を考えて乗り越えてます。

続いて住んでいる地域のご近所付き合いについても聞いてみました。

直子さん:ご近所付き合いは田舎ならではなので、苦手な人は苦手かも?私の地域はみんな優しいので嫌な思いをしたことはないです。夫が以前から自治会の行事に積極的に出席していて、地域の人と良好な関係を築いていたのが大きいかもしれませんが。あと、配達の人がガラガラと玄関を開けるのはびっくりしました(笑)

毎日のお散歩コース

最後に

これから移住を考えている方にメッセージをお願いしてみました。

直子さん:息子を連れて毎日お散歩に行くんです。車もめったに通らない田んぼの中を歩くお散歩コースは最高です。昨日は咲いてなかったお花が咲いているなど、毎日新しい発見があります。寒い冬の日は温かい昼の時間に、暖かくなってきた最近は朝のうちにお散歩したりして、田舎ならではの四季を感じながら、のどかなひとときに幸せを感じています。豊後大野市だからというこだわりがあるわけではなくたどり着いた場所ですが、保育園も選べてしまう程、子育てには最高の場所だし、やっぱり”住めば都”だと思います。移住するぞ!という意気込みではなく、気負いせずにまず来てみたらいいと思います。大分県にはおもしろい人がたくさんいますよ!

都会でキャリアウーマンとして働き通した直子さん。自分の家族だけじゃなく、友人家族や大事な人達と一緒に暮らしていきたい、そして人が集まる笑顔の溢れる場所を作っていきたい、最終的には”農業と拡大家族”が彼女の夢だと話してくれました。そこには、四季を感じて地球と寄り添う豊かな暮らしが実現されていました。その姿から、”自分らしく心地よく生きる”という生き方を教わったような気がしました。

WRITER 記事を書いた人

KAORI

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くろき かおり
豊後大野生まれ豊後大野育ち。高校卒業後は横浜・東京にて、外資コスメ会社で経営学・マネジメントを学ぶ。その後、石垣島・オーストラリアへの移住。オーストラリアでも同ブランドで勤務したのち、2019年に大分へUターン。趣味は映画を見ること・旅行・サウナ。

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