大分移住手帖

自然保護活動に繋げるために林業へ従事。大人だけでなく子どもたちにも伝えたい林業の大切さ

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材者情報

お名前
武谷(たけや)ちひろ
出身地・前住所
福岡県朝倉郡筑前町
現住所
日田市天瀬町
年齢
41歳

愛知県で出生後、福岡県太宰府市で過ごし、結婚後は福岡県朝倉郡筑前町に家を建て旦那さんと生活を共にしていたという武谷さん。新型コロナウイルス感染症が流行したことをきっかけに、自分のやりたいことを仕事にしたいとの想いから林業に従事することを決め、大分県日田市と福岡県朝倉郡筑前町での二拠点生活を始めました。そんな武谷さんが林業を選んだきっかけや、現在の暮らしについてお話を伺いました。

インタビュー中の武谷さん

インタビュー中の武谷さん

日田市の方々の温かさに惹かれた

筑前町で10年程度生活し、現在は自身の住む日田市と旦那さんの住む筑前町での二拠点生活を送る武谷さん。そんなライフスタイルを選んだ理由について伺いました。

武谷さん:元々飲食店でパートとして働いていたのですが、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた頃からシフトが減るなど厳しい状況にあり、時間ができて自分の未来について考えるようになりました。40歳手前であること子どもがいないことなど色々な事を踏まえて、自分のやりたいことをやろうと決め、夫に話をしました。こうあるべきだとか世間の目を気にしたり、無理なのではないかと考えたり年齢を気にしたりなど、これからの時代はそういうことを気にせず「もっと自由に生きていって良いのでは」という思いに辿り着き、今があります。

以前から自然が好きで、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)について目にする度に自分でも自然のために活動できたら良いと思っていました。そんな時に林業で活躍している女性をテレビで拝見し、夫も「やってみたら良いんじゃないか」と背中を押してくれたので、林業にチャレンジすることにしました。

最初は福岡県内で職を探していて、福岡市天神にある林業の組合へ出向き、たくさんの資料を頂いて林業とは何かを詳しく教えてもらいました。その後、2021年の3月に福岡県で行われた林業の会社説明会で色々なブースが集まる中、おおいた林業アカデミーで話を聞きました。アカデミー自体はすぐに入学できる状態だったのですが、2021年度の入学まで期間が2週間程しかなくて夫とも話をしていないため、2022年度に入学したい旨を伝えました。知識もないまま林業会社に入るという道も考えたのですが、年齢のことや長期的に続けたいとの気持ちなどから、アカデミーに通って林業について詳しく学んでから職に就こうと決めました。

福岡県内にはアカデミーがないためおおいた林業アカデミーへの入学を決意したのですが、入学するには大分県の住民票が必要とのことでおおいた暮らしというイベントに参加し、日田市で移住促進の活動を行う河津さんの人柄に引き込まれて移住を決めました。アカデミーのある由布市への移住も考えましたが、河津さんとの出会いから日田市の方々と交流していく中で人の温かさを感じたことや福岡県から近いということもあり日田市を選びました。2022年3月に日田市に住民票を移し4月にアカデミーへ入学、2023年3月に卒業して3月末から田島山業で働いています。夫も応援してくれていて、元気があれば週末には筑前町の自宅へ帰省しています。

田島山業に関してはこちらの記事をご覧ください。

大分県で働こう!〜林業編〜大分県で森と共に暮らしてみませんか

職場の休憩所兼応接室

職場の休憩所兼応接室

筑前町に帰るつもりだった

アカデミーへの入学を機に日田市へ移住した武谷さんが、どのように家を探したのかや、移住に際してお世話になった方や使った制度に関して伺いました。

武谷さん:河津さんの協力もあり空き家バンクで見つけた2階建ての一軒家に賃貸で住んでいます。1階だけで5部屋ある程一人で住むにはとても広い家なので、近所の人にも「よくこんなところ一人で住めるね。怖くないの?」と言われます(笑)。移住する方は「ここで暮らす」という明確な目的を持って家を探すので苦労することもあるかと思いますが、私の場合はアカデミーに通うためだけの家を探していたので気楽に探せました。河津さんがすごく頼りになりましたし、私が入居する前に今の家に住んでいた方もとても良い方だったのですんなりと家が決まりました。アカデミーの期間だけの予定でしたし、条件が色々とあったので移住補助金関連の制度は利用しませんでしたが、移住する時には女性・若者・シニア起業支援資金子育て支援などがあると一通り説明を受けました。

元々アカデミー卒業後は筑前町から通える大分県内の林業会社に就職するつもりでした。5、6社のインターンシップに伺ったのですが、単に椅子に座って話を聞くだけではなく、実際に会社内を見学することもできるし、長ければ1週間程度働くこともできるので、自分に合う職場かどうかの判断材料になるので助かりました。インターンシップで伺った中でも田島山業に強く惹かれて就職することを決意し、筑前町から通うには距離があるため引き続き二拠点生活をにすることにしました。

田島山業に惹かれたポイントとしては、会社の人たちの温かさです。私は、働く会社は人で選びたいと思っており、就職説明会などで何度か田島山業の方と話をしていてこの人たちと働きたいと感じました。また、私は環境問題改善に取り組んだり、自然や動物たちの環境作りにも関われたらと思っていました。田島山業の取り組みについて伺った際に、Jクレジット30by30にいち早く取り組んでいて、会社自体がそういう取り組みをしつつ森を守る林業を行っていると知り、是非この会社で林業をしたいと感じました。

家探しには苦労しなかった武谷さんですが、地域の方との関わりや日常生活で大変なことはないのでしょうか。

武谷さん:地域の方は本当に優しい方ばかりで、私の二拠点生活も理解してくれています。町内の集まりや活動なども「無理しなくていいからね」と心配してくれるほどです。近所には自動販売機くらいしかなく、買い物は車で行く必要がありますが、10分ほどで日田市内に行けてお店も十分揃っているので特に不便を感じたことはありません。筑前町にある家も周りは住宅街で買い物には車が必要でしたから(笑)。病院も車が運転できれば問題なく行けますが、どの病院が良いのか迷うことはあるかと思うので周りに頼れる人がいないと困るかもしれないと思いました。

大変なことといえば、冬の雪問題ですね。スタッドレスタイヤを付けるように言われていたので初めて付けたんですが、どれだけ滑るかも大丈夫な雪の降り方とそうでない降り方も分からなくて、運転するのが怖かったです。トンネルを出た所で一度滑ってしまって、ぶつけることはなかったもののどうしたらいいか分からなくなってしまったこともありました。また、虫嫌いで林業を始めてしまったので、虫よけは大変です(笑)。あとは今の家は庭や畑が大きくて手入れが大変ですし、ネズミも出るので困ってるくらいです。大雨と暑さは周りの人に心配されますが、どこにいても暑さ寒さに苦労することはあると思いますし、逃げ出したくなるほど困ることはありません。

現場までの林道

現場までの林道

林業のイメージを変えたい

地域の方との関係も日田市での生活も充実しているという武谷さんですが、今後も日田市で生活していきたいとの思いがあるのでしょうか。

武谷さん:日田市には知り合いも増えてきて楽しいので今後も住み続けたいとの想いはあります。温かくて優しい人が多いので移住するにはおすすめだと思いますし、私も人と人を繋げていきたいです。

日田市が林業の町だということを知らずに来ましたし、林業は木こりのイメージしかなかったのですが、そういう方も多いと思います。また、木を切ることで環境破壊をしているのではと考える方もいます。田島山業では森の手入れをするために間伐を行ったり、切った木をは丸太材などに加工して提供したりしています。森を手入れしていかないと土砂崩れが起こりやすくなってしまいますが、森を整えることで川や海の水が綺麗になっていきます。そうやって色々なことに繋がっていくことなどを子ども達を始め、多くの人に伝えていけたら林業へのイメージも変わっていくと思います。

職場の皆で作っている美味しいほうじ茶

職場の皆で作っている美味しいほうじ茶

移住希望者へアドバイス

日田市への移住を考えている方に向けてメッセージをいただきました。

武谷さん:とにかく一度足を運んでみることをおすすめします。また、NPO法人 リエラさんが移住前後のサポートをしてくれますし、男子会・女子会、玖珠・九重・日田合同の移住者交流会などたくさんのイベントを行っています。周りに馴染めるのか友達ができるのかなど不安なことも多いかもしれませんが、日田市はそういう楽しみやサポート体制がしっかりしてるので安心して移住できると思います。

NPO法人 リエラに関してはこちらの記事をご覧ください。

移住者の成功事例・失敗事例などの体験談を教えます!〜大分県日田市の移住支援団体 NPO法人リエラさんの場合〜

仕事中の武谷さん

仕事中の武谷さん

最後に

コロナ禍を機に林業へ携わる決意をし、二拠点生活を続ける武谷さん。環境保全に関して自分にできることは何かを考えた時に実現するのは難しい中で、働きながら自然環境保護に携わっていることが素晴らしいと思いました。日田市への移住や林業へ従事したいと考えている方は、ぜひ一度日田市へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

WRITER 記事を書いた人

取材 : Kaori ライティング : Misaki

取材 : くろき かおり
豊後大野生まれ豊後大野育ち。高校卒業後は横浜・東京にて、外資コスメ会社で経営学・マネジメントを学ぶ。その後、石垣島・オーストラリアへの移住。オーストラリアでも同ブランドで勤務したのち、2019年に大分へUターン。現在はフリーランス。趣味は映画を見ること・旅行・サウナ。

ライティング : あべ みさき
東京生まれ大分育ちで、趣味は手芸。介護福祉士として働き、長男出産を機に退職。現在は、子育てをしながら在宅でライターとして働いている。

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